今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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新婚一日目

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しかし幸か不幸か、どれほど待ってもルーカスがその夜エルザを訪れることはなかった。 

一応初夜なので、ルーカスを置いて先に寝ることも出来なかったエルザは、一人幸せだったころを思い出しながら夜空を眺めて過ごした。 

朝になってやって来た侍女は、ルーカスが初夜の日にエルザを訪れなかったことに驚愕し、そしてその話は面白おかしく瞬く間に広まっていった。 

暖かい部屋だとは言え、薄着で一晩耐えていたエルザは案の定体調を崩し、嫁いだ翌日から熱を出し寝込んでしまった。 


そして初夜が明けた日の昼過ぎに、ばつの悪い顔をしたルーカスがエルザの元へやって来たのだった。 

「エルザ本当にすまない。プリシアがやきもちを焼いて、どうしても私を離してくれなかったんだ。本当に、君との初夜を放ってしまってすまなかった。 

風邪まで引かせてしまって、本当に私はダメな夫だな。はぁっ…。 

私は本当に君を心から愛しているんだ。日を改めて、私たちの初夜をやり直すことを約束しよう。」 


しかしルーカスがどんなに取り繕おうとしても、エルザからは表情が消えたままでルーカスに対して何の反応も示すことはなかった。
 

「エルザ…また来るからね…本当に申し訳なかった…」 


 これがエルザとルーカスの迎えた新婚一日目の夫婦最初のやり取りであった。 

しかし初夜をやり直そうと告げたルーカスであったが、嫉妬深いプリシアに引きとどめられ、強く言えないルーカスが足止めされる日々が続き、そうとは知らないエルザは一人寝の夜を繰り返していた。 

そして、体調の戻ったエルザの元には、プリシアの無能さと狡猾さに早くから気がついていた周囲の者達が集まってきていた。

プリシアの代わりに王太子妃の執務と公務を行い、それに加えてプリシアが元となって頻繁に起きている諸問題に対処することで、エルザは不本意にも忙しい日々を送ることになった。 
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