今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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品のかけらもない女

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「やあ、プリシア。」 

「ルーカス!一緒にお茶でも飲みましょう?!ほらこれ!さっきシェフに特別に作ってもらったの!」 

いつものように突然自分の執務室にやって来たプリシアに舌打ちしそうになったルーカスは、持っていた書類を置いてプリシアの正面に座った。 

「そうか。ではそうしよう。ところで、君の王太子妃教育は進んでいるかい?もうこれ以上教師陣が辞めていくということがないといいのだが。」 

「あの教師たちが厳しすぎるのよ!私が元男爵令嬢だったからってバカにしてるのよ!私は頑張っているのに何が不満なのかしら!」 

「そうか…。君が頑張っているのは素晴らしいことだと思うが、そろそろ何か君も王太子妃としての仕事を少しずつでもやっていかねばならない。エルザは第二妃で君が王太子妃として私に嫁いできたのだからね。」 

「そんな!ひどいわ、ルーカス…。エルザ様は長年王太子妃教育を受けてこられた方なのに、そんな方と私の王太子妃教育を比べるだなんて…。それにエルザ様が王太子妃の仕事をこなした方が周りの者も喜ぶでしょうし、私はルーカスとこうやっていつでも時間が取れるのよ?!」 

「君とエルザを比べてはいないよ、…。しかし、君にも少しずつ王太子妃の仕事をしてもらわないといけないと言っているんだ。」 

「私はルーカスとの子を身籠っているのよ?!今そんなことを言うなんてひどいわ!」 

「しかし歴代の王太子妃は、身籠っていようが王太子妃の仕事を同時に行ってきた。君だけ特別という訳では臣下にも示しがつかない。」 

「そんな!ルーカスは私のことなんてどうだっていいのね?!ルーカスは私のことを愛していないのね?!酷いわっ!」 

「そんなことを言っているわけではないよ…。」 

ルーカスはこの品のかけらもないプリシアとここまで深く関わることになってしまった現実に深く絶望した。
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