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偽聖女の顛末
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王家を騙し、聖女を偽ったプリシアは、処刑されることに決まった。
処刑の数日前、ルーカスはプリシアの牢屋を訪れた。
薄暗くジメジメした建物の中に、カツンカツンと靴音が響き渡る。
そこにはかつて贅を凝らし着飾っていた女がぼろきれ一枚を着せられており、ルーカスを目にした途端柵から手を伸ばして助けを求めてきた。
「ルーカス!!ルーカス!!やっぱり私を助けに来てくれたのね?!お願いよ!助けて!!!」
そう泣きわめく女は絶望の表情を浮かべ、どうにかルーカスに助けてもらおうと必死だった。
「お前のような女に騙されたなんてな…。いいかよく聞け、私はお前が聖女だと信じていたから大事にし、お前の汚い欲に応えて体を重ねてやっただけに過ぎない。
聖女だから手放せないと愚かな思い違いをしてしまった私が、心を殺してお前を愛したふりをしてやってたんだ!性格も見た目も下劣で、教養も品もないお前の相手をするのに苦労したよ。お前のような下品で汚い女のせいで私はエルザを失ったんだ!」
「そんなっ!ルーカスが私のことを愛していなかったなんて!嘘よね!そんなの嘘よ、私はルーカスに愛されてたわ!あんなに愛し合ったじゃない?!!だから、あの女をそっちのけで私を愛してくれたんでしょ?私のことを好きだから、愛してるから!」
「いいか最後だ、よく聞け、以前にもいったように、ただお前が聖女だというから私は仕方なくそうしただけだ。私が愛するのはエルザただ一人、私とエルザを引き離した罪をきっちり償うんだ。」
「そんな!待って、ルーカス―――――!!!!!」
その後偽聖女プリシアは、支離滅裂なことを喚き散らし手が付けられなくなったため、ついに最下層にある地下牢へ押し込まれた。
その数日後、プリシアは広場に引っ張り出された。
その広場には、前王太子妃プリシアに税を湯水のように使われたことを憤る民や、聖女を偽ったせいで被害にあったことに憤りを感じる民などが殺到した。
罵声や物が飛び交う中、新王太子ダグラスの合図によりプリシアの処刑が行われたのだった。
王太子ダグラスの傍にはプリシアに鋭い眼光を放つルーカスの姿もあり、プリシアは最後までルーカスの名を繰り返し呟いたまま最後の瞬間を迎えたのだった。
処刑の数日前、ルーカスはプリシアの牢屋を訪れた。
薄暗くジメジメした建物の中に、カツンカツンと靴音が響き渡る。
そこにはかつて贅を凝らし着飾っていた女がぼろきれ一枚を着せられており、ルーカスを目にした途端柵から手を伸ばして助けを求めてきた。
「ルーカス!!ルーカス!!やっぱり私を助けに来てくれたのね?!お願いよ!助けて!!!」
そう泣きわめく女は絶望の表情を浮かべ、どうにかルーカスに助けてもらおうと必死だった。
「お前のような女に騙されたなんてな…。いいかよく聞け、私はお前が聖女だと信じていたから大事にし、お前の汚い欲に応えて体を重ねてやっただけに過ぎない。
聖女だから手放せないと愚かな思い違いをしてしまった私が、心を殺してお前を愛したふりをしてやってたんだ!性格も見た目も下劣で、教養も品もないお前の相手をするのに苦労したよ。お前のような下品で汚い女のせいで私はエルザを失ったんだ!」
「そんなっ!ルーカスが私のことを愛していなかったなんて!嘘よね!そんなの嘘よ、私はルーカスに愛されてたわ!あんなに愛し合ったじゃない?!!だから、あの女をそっちのけで私を愛してくれたんでしょ?私のことを好きだから、愛してるから!」
「いいか最後だ、よく聞け、以前にもいったように、ただお前が聖女だというから私は仕方なくそうしただけだ。私が愛するのはエルザただ一人、私とエルザを引き離した罪をきっちり償うんだ。」
「そんな!待って、ルーカス―――――!!!!!」
その後偽聖女プリシアは、支離滅裂なことを喚き散らし手が付けられなくなったため、ついに最下層にある地下牢へ押し込まれた。
その数日後、プリシアは広場に引っ張り出された。
その広場には、前王太子妃プリシアに税を湯水のように使われたことを憤る民や、聖女を偽ったせいで被害にあったことに憤りを感じる民などが殺到した。
罵声や物が飛び交う中、新王太子ダグラスの合図によりプリシアの処刑が行われたのだった。
王太子ダグラスの傍にはプリシアに鋭い眼光を放つルーカスの姿もあり、プリシアは最後までルーカスの名を繰り返し呟いたまま最後の瞬間を迎えたのだった。
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