43 / 51
愛しい人
しおりを挟む
冬の寒さが残るその日、ついにエルザと新王太子ダグラスの挙式の日を迎えた。
エルザがダニエルの求婚を受け入れたその日から、たったの半年の出来事だったが国内外から多数の祝福の声が寄せられた。
その日は朝早くから準備のため磨かれていたエルザは、この数年で自分に起きたことを思い返していた。
まさか、ルーカスに浮気されて第二妃とされた挙句、白い結婚で家に戻った自分が聖女の力を覚醒し、今度はダニエルに望まれ王太子妃として王家に再び嫁ぐことになるとは…。
思い返してみればあっという間の出来事だった。
その全てが幸せな時間だったとは言い切れず、しかし、いつもダグラスが自分の傍に寄り添ってくれたのを思い返したエルザは思わず頬を緩めた。
そして、やっと準備が整ったエルザの元にダグラスが訪ねてきた。
「エルザ…私の愛する人。
これから再び君に王家に嫁ぎ、王太子妃として大変な苦労をさせてしまう私の我儘を許してほしい…。
君は、誰よりも美しくて、優しくて、身分など分け隔てなく思いやりを持ち、賢く、私の心をいつも熱くそして癒してくれる素晴らしい女性だ…。私がエルザの素晴らしいところを語りつくしたら式が終わってしまうので、今はこれだけ伝えさせてもうけれども。
エルザ、私の唯一の愛しい人。君がこれから立ち向かうであろう困難に一緒に私も立ち向かうと誓う。
そして、君と私の幸せな時間をこれからもずっと一緒に分かち合っていきたい。
この日を私と迎えてくれてありがとう…エル…絶対に君を幸せにして見せるよ。
だから必ず、私の元に後で来るんだよ?」
「ええ…ダグ…私の愛しい人…あなたのところに必ず参りますから待っていてください…」
我慢が出来ずに、メイクも着替えも完了していたエルザを抱きしめそうになったダグラスは、とっさの所で周囲から鬼の形相で引き留められ苦笑をもらした。
しかし、二人の幸せそうな様子に周囲の者達は瞳を潤ませ、二人の末永い幸せを心から願ったのだった。
エルザがダニエルの求婚を受け入れたその日から、たったの半年の出来事だったが国内外から多数の祝福の声が寄せられた。
その日は朝早くから準備のため磨かれていたエルザは、この数年で自分に起きたことを思い返していた。
まさか、ルーカスに浮気されて第二妃とされた挙句、白い結婚で家に戻った自分が聖女の力を覚醒し、今度はダニエルに望まれ王太子妃として王家に再び嫁ぐことになるとは…。
思い返してみればあっという間の出来事だった。
その全てが幸せな時間だったとは言い切れず、しかし、いつもダグラスが自分の傍に寄り添ってくれたのを思い返したエルザは思わず頬を緩めた。
そして、やっと準備が整ったエルザの元にダグラスが訪ねてきた。
「エルザ…私の愛する人。
これから再び君に王家に嫁ぎ、王太子妃として大変な苦労をさせてしまう私の我儘を許してほしい…。
君は、誰よりも美しくて、優しくて、身分など分け隔てなく思いやりを持ち、賢く、私の心をいつも熱くそして癒してくれる素晴らしい女性だ…。私がエルザの素晴らしいところを語りつくしたら式が終わってしまうので、今はこれだけ伝えさせてもうけれども。
エルザ、私の唯一の愛しい人。君がこれから立ち向かうであろう困難に一緒に私も立ち向かうと誓う。
そして、君と私の幸せな時間をこれからもずっと一緒に分かち合っていきたい。
この日を私と迎えてくれてありがとう…エル…絶対に君を幸せにして見せるよ。
だから必ず、私の元に後で来るんだよ?」
「ええ…ダグ…私の愛しい人…あなたのところに必ず参りますから待っていてください…」
我慢が出来ずに、メイクも着替えも完了していたエルザを抱きしめそうになったダグラスは、とっさの所で周囲から鬼の形相で引き留められ苦笑をもらした。
しかし、二人の幸せそうな様子に周囲の者達は瞳を潤ませ、二人の末永い幸せを心から願ったのだった。
425
あなたにおすすめの小説
裏切られ殺されたわたし。生まれ変わったわたしは今度こそ幸せになりたい。
たろ
恋愛
大好きな貴方はわたしを裏切り、そして殺されました。
次の人生では幸せになりたい。
前世を思い出したわたしには嫌悪しかない。もう貴方の愛はいらないから!!
自分が王妃だったこと。どんなに国王を愛していたか思い出すと胸が苦しくなる。でももう前世のことは忘れる。
そして元彼のことも。
現代と夢の中の前世の話が進行していきます。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
その結婚は、白紙にしましょう
香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。
彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。
念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。
浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」
身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。
けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。
「分かりました。その提案を、受け入れ──」
全然受け入れられませんけど!?
形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。
武骨で不器用な王国騎士団長。
二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。
〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?
ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」
その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。
「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる