今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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思いがけない訪問者

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「エル…私の愛しいエル。出来たらエルと長生きしたかったんだけどね…すまない、エル… 

私はこの体が亡くなったとしてもずっとエルを愛しているという事を忘れないでくれ…。エルが私と夫婦になってくれて...私は本当に…本当に幸せな人生を送ることが出来たよ。…ありがとう、エル…。私の分も長生きするんだ。約束だ、エル…愛している…」 


静かにエルザにこう言い残したダグラスは、その日の夜エルザに見守られながら静かに息を引き取った。 

若干、五十八歳のことであった。  

ダグラスを亡くしたエルザは悲しみに暮れ、何も手に付かない日々を過ごしていた。 

愛しいダグラスがまさかこんなに早く亡くなるなんて思ってもみなかったエルザは、これからダグラスなしで一人で生きていく希望が持てなくなっていた。 

ダグラスが最後に長生きしてほしいと言っていたが、エルザにとってはダグラスなしにこれ以上生きる意味を見いだせず、ただ涙を流す日々を送っていた。 


ダグラスが亡くなって三週間が過ぎた。 

ダグラスの死後、顔色が悪く日々やつれていくエルザを周囲の者は心配した。

そして、その日、エルザを思いがけない人物が訪ねてきた。 

「ようこそいらっしゃいました、ルーカス様」 

「ご無沙汰しております、エルザ様。」 

これまであまり接点のなかったルーカスが、突然ダグラス亡きあと自分を訪ねてきた理由が思い当たらず、エルザは取り敢えずルーカスにお茶をすすめた。 

「エルザ様、実はダグラス前陛下から亡くなる直前にエルザ様へと手紙を託されていましたので、今日はそちらを持参しました。もう少し待ってからお渡ししようかとも考えたのですが......」 

ルーカスがおもむろに差し出したそれは、ダグラスからエルザに直接託されたのとは別の新たな遺言書であった。 
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