愛を知ってしまった君は

梅雨の人

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ジョーンズ:内心は

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ルビーと二人だけの穏やかな時間を過ごす幸運に、二人の心が溶け合っていく感覚に酔いしれてしまう。 

朝起きて一日を共にし、毎晩共に湯につかっては癒される日々。 

常に欲望と希望を胸に秘めるのも悪くない。 

 

ルビーを幸せにしたい。 

幸せになってほしい。 

ルビーの望む幸せの隣に俺が選ばれる事を。
ルビーが心から俺を望み選んでくれたのなら…その時は… 

しどけない姿を見せることにためらいがないほど、自分のことを信頼してくれているのかと思えば、彼女を傷つけるようなことは出来ない。 

 

ルビーが好きだ。 

心からルビーを欲している。 

ずっとルビーがその答えを出せないままでも、俺はこのまま彼女に囚われ続けるのだろう。 
 


遂に、ソルト-街での滞在を終えた俺たちは、帰途についた。 

疲れてしまったのだろう、楽しそうにしていたと思ったのに急に眠ってしまったルビーの体を俺にもたれかけさせた。 

一緒にいたからか、互いに同じような匂いがすることに笑みが零れる。 

この旅から戻ってしまえば俺たちのなかで何かが変わっていくのだろうか。 

少しは期待してもいいのだろうかと不安と期待におそわれる。 

ルビーの屋敷に馬車が到着してしまった。 

 
窓からちらっと外に目をやれば、あのルビーの旦那が泣きそうな顔で視線をこちらに向けている。 

出来るものならルビーをこのまま俺の屋敷に連れて帰りたいのをぐっと堪えて、ルビーが馬車から降りるのを手伝う。 

ゆっくりとエスコートして、離れの彼女の部屋まで歩いて行く。 

途中、奴が我慢できないという風にルビーを抱きしめてきた。 

身体が強張ってしまったルビーから男を引きはがそうとしたがその必要はなかった。 

ルビーが自ら男を押し返したからだ。 

 

絶望の表情を浮かべる男は今度は俺に殺意の目を向けてきたのもつかの間、男は、はっとして表情を穏やかなものにかえると、おかえり、ルビー、と泣きそうな顔をした。 

 
チクリと胸が痛んだ。 

俺達のしていることがこの男を苦しめていることは分かっている。 

奴の自業自得だと割り切ろうとしていたが、本心では後ろめたく恐らくそれはルビーも同じだろうと内心感じていた。 

部屋の前でお休みと伝えた俺に、ルビーはいつものようにまたね、とは言ってはくれなかった。 
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