43 / 68
44
しおりを挟む
「大夫調子が出てきたな。」
「ええ、どうにか杖なしでこうして歩けるようになったのも、根気よくお付き合いくださったフェリックス様のおかげです。感謝してもしきれません。」
「それはマリア嬢の頑張りがあってこそだろう。…よくここまで頑張ったな。」
日々の鍛錬を欠かさないフェリックス様のでこぼことした掌が私の頭を撫でてくださいます。
「…されるがまま…気持ちよさそうにしているな、マリア嬢。ミャーとか言いそうだな。ははっ」
「私は猫ではありませんよ?フェリックス様。」
「様って…フェリックスでいいと、呼び捨てでいいと何度も言ってるのに。…はあ。いいよ、俺の負けだ。」
「ふふっ…」
「っ!…」
「フェリックス様?」
「…いや…マリア嬢…今…笑ったよな……」
「笑ってましたか」
「ああ…」
「そうですか…?」
「ああ…そうだ…そして笑った方がマリア嬢らしい…ような気がする。」
「そう…ですか?」
「ああ、そうだ。だからこれからもっと笑えるようになるといいな。」
「ええ…」
こちらに療養に来てから三か月が過ぎるころ王都に戻ることになりました。
いつまでも療養目的でのんびりするわけにはいかないのです。
「王都に戻ったのなら知らせてもらえたらすぐに駆けつけたのに…。知人にマリアを見かけたと聞いて急いで会いに来てしまった。マリア会いたかったよ…。」
「ヒギンス公爵令息様。先月もあちらでお会いしたではないですか…」
「その通りだよ。最後に君に会ってから二週間も経とうとしていたんた。今頃マリアが戻って来なければ私が馬をかけてまた会いに行くところだった。それで…こちらに戻ってきたということは足の方は良くなったのかい?」
「…ようやく杖なしで歩けるようにはなりましたが…夜はやはり一人崖の上から冷たい水にたたきつけられる夢を見てしまって...痛みと恐怖であまり眠れていないのです。」
「それは…すべて私の責任だ。是非その責任を私に背負わせてくれ。これからは私がずっと君の側に「ヒギンス公爵令息様、あなた様の心配には及びませんわ。ただ未だに傷が完璧には癒えていないのです。お医者様もおっしゃっておりましたわ。身体的にも精神的にもダメージを克服するには時間がかかることもあると…。ですからゆっくりと治療していきますわ。」
「それは…しかしやはり君が苦しんでいるときに私が近くで支えるべきではないのだろうか。私は君の婚約者だろう?」
「心配には及びませんわ。…それに私にはフェリックス様という頼もしいお方…いえお父様が手配してくださった護衛もついてくれておりますし…」
「納得いかないよマリア。何といっても婚約者である私が君に寄り添うべきだろう?それに他が君とその男の関係を誤解してしまったら嫌だろう?」」
「何度も言うようにこれは「お遊び」にも入りませんわ。私たちは肌を合わせているわけでも、唇を合わせているわけでも、愛を囁きあっているわけでもありませんもの。...そうですよね、フェリックス様?」
「その通りだマリア嬢」
「『私たちは』…ねえ。気に入らないな…」
不穏な空気がただひたすらに流れ続けておりました。
「ええ、どうにか杖なしでこうして歩けるようになったのも、根気よくお付き合いくださったフェリックス様のおかげです。感謝してもしきれません。」
「それはマリア嬢の頑張りがあってこそだろう。…よくここまで頑張ったな。」
日々の鍛錬を欠かさないフェリックス様のでこぼことした掌が私の頭を撫でてくださいます。
「…されるがまま…気持ちよさそうにしているな、マリア嬢。ミャーとか言いそうだな。ははっ」
「私は猫ではありませんよ?フェリックス様。」
「様って…フェリックスでいいと、呼び捨てでいいと何度も言ってるのに。…はあ。いいよ、俺の負けだ。」
「ふふっ…」
「っ!…」
「フェリックス様?」
「…いや…マリア嬢…今…笑ったよな……」
「笑ってましたか」
「ああ…」
「そうですか…?」
「ああ…そうだ…そして笑った方がマリア嬢らしい…ような気がする。」
「そう…ですか?」
「ああ、そうだ。だからこれからもっと笑えるようになるといいな。」
「ええ…」
こちらに療養に来てから三か月が過ぎるころ王都に戻ることになりました。
いつまでも療養目的でのんびりするわけにはいかないのです。
「王都に戻ったのなら知らせてもらえたらすぐに駆けつけたのに…。知人にマリアを見かけたと聞いて急いで会いに来てしまった。マリア会いたかったよ…。」
「ヒギンス公爵令息様。先月もあちらでお会いしたではないですか…」
「その通りだよ。最後に君に会ってから二週間も経とうとしていたんた。今頃マリアが戻って来なければ私が馬をかけてまた会いに行くところだった。それで…こちらに戻ってきたということは足の方は良くなったのかい?」
「…ようやく杖なしで歩けるようにはなりましたが…夜はやはり一人崖の上から冷たい水にたたきつけられる夢を見てしまって...痛みと恐怖であまり眠れていないのです。」
「それは…すべて私の責任だ。是非その責任を私に背負わせてくれ。これからは私がずっと君の側に「ヒギンス公爵令息様、あなた様の心配には及びませんわ。ただ未だに傷が完璧には癒えていないのです。お医者様もおっしゃっておりましたわ。身体的にも精神的にもダメージを克服するには時間がかかることもあると…。ですからゆっくりと治療していきますわ。」
「それは…しかしやはり君が苦しんでいるときに私が近くで支えるべきではないのだろうか。私は君の婚約者だろう?」
「心配には及びませんわ。…それに私にはフェリックス様という頼もしいお方…いえお父様が手配してくださった護衛もついてくれておりますし…」
「納得いかないよマリア。何といっても婚約者である私が君に寄り添うべきだろう?それに他が君とその男の関係を誤解してしまったら嫌だろう?」」
「何度も言うようにこれは「お遊び」にも入りませんわ。私たちは肌を合わせているわけでも、唇を合わせているわけでも、愛を囁きあっているわけでもありませんもの。...そうですよね、フェリックス様?」
「その通りだマリア嬢」
「『私たちは』…ねえ。気に入らないな…」
不穏な空気がただひたすらに流れ続けておりました。
2,216
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした
凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】
いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。
婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。
貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。
例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。
私は貴方が生きてさえいれば
それで良いと思っていたのです──。
【早速のホトラン入りありがとうございます!】
※作者の脳内異世界のお話です。
※小説家になろうにも同時掲載しています。
※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)
婚約解消したら後悔しました
せいめ
恋愛
別に好きな人ができた私は、幼い頃からの婚約者と婚約解消した。
婚約解消したことで、ずっと後悔し続ける令息の話。
ご都合主義です。ゆるい設定です。
誤字脱字お許しください。
完結 この手からこぼれ落ちるもの
ポチ
恋愛
やっと、本当のことが言えるよ。。。
長かった。。
君は、この家の第一夫人として
最高の女性だよ
全て君に任せるよ
僕は、ベリンダの事で忙しいからね?
全て君の思う通りやってくれれば良いからね?頼んだよ
僕が君に触れる事は無いけれど
この家の跡継ぎは、心配要らないよ?
君の父上の姪であるベリンダが
産んでくれるから
心配しないでね
そう、優しく微笑んだオリバー様
今まで優しかったのは?
【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに
おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」
結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。
「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」
「え?」
驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。
◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話
◇元サヤではありません
◇全56話完結予定
もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~
桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜
★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました!
10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。
現在コミカライズも進行中です。
「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」
コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。
しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。
愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。
だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。
どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。
もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。
※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!)
独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。
※誤字脱字報告もありがとうございます!
こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる