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留守番戦争
第一章:9話 『確かな強さ』
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―君の…君たちの『アルカディアル家の血』をもらうよ―
わけがわからなかった。
なぜ、ユーナの前の家名が出てくるのか。
なぜ、血を欲しているのか。
黒フルフェイスの目的は明確だったが、その先にある答えが見つからなかった。
そのためアレスは黒フルフェイスに問いかける。
「なんでアルカディアル家の血が欲しいんだ?何のために使うつもりだ?」
黒フルフェイスは珍しく一瞬間をおいてから答える。
「6歳にしては恐ろしいぐらい頭がきれる君になら教えてあげてもいいかな~。まあ、僕たちの仲間になることと秘密にしてもらえるっていう条件付きだけど……どう?」
「どうもこうもない、そんな条件受けるわけないだろ!大体、何で俺はいいんだ?」
「目が……目が似てるんだよ。僕たちと…。」
黒フルフェイスのその言葉は、今までの発言のどの言葉よりも真剣みがあった。
「俺の…目…?」
「そう、君の目だ。特別な力があるだとかそんな物じゃない。もっと単純、目的が似てる気がする…そんなところだ。」
「俺はあんな風に人を殺したことないぞ!」
「そんな目の前の目的じゃない。フィナーレのことだ。」
「フィナーレ?」
そのときの黒フルフェイスは敵意が薄らいでいた。それと同時に張り詰めていた緊張や殺意が、霧が晴れるかのようになくなっていく。
「そう。あれは一過程の犠牲に過ぎない。まあ、それも何者かに阻まれたんだがね。」
「お前たちの目的は何なんだ?」
「言ったろう。それを知りたければ僕たちの仲間になれ。おそらくやり方に不満が出るだろが、君の最終目標と利害は一致しているはずだ。」
「最終目標……。」
「さあ、どうだね?僕たちのもとに……っ!?」
黒フルフェイスがアレスに近づこう厨房の入り口に差し掛かったとき、男から見て左方向から電撃の矢が向かってきた。黒フルフェイスはそれを3mほど飛び、バク転の要領で後ろに避ける。
不意の一撃を発した者が遅れてやってくる。その雷撃の発動者は、外出していたもう一人のメイド―テーラ・メインドールだった。亜麻色の長髪を後ろで結んでおり、トパーズのような綺麗な黄色の瞳をパッチリとしたまん丸つり目に宿した美しい女性だ。
「アレス様!ご無事ですか!?」
その声は心配、焦燥、安堵、様々な感情の含み、通路中に響く高く。彼女は買い物から帰ってきたところだった。
「無礼者め!アレス様から離れなさい!」
よりいっそう目を鋭くさせて黒フルフェイスを睨みつける。
「いやはやいやはや、邪魔が入ってしまったね~。それに…君は『獣神』じゃないかい?獣や神々の力の数パーセントをその身に宿した完全とまではいかない超人…。確かに君のような存在がいれば、屋敷の警備なんて雇うのはまったく意味を成さない。」
「わかっているなら早い、手を引いてもらおうか。」
「手を引く…ね。僕を見逃すかどうかはあれを見てから言うといいよ。」
そう言って、ピエロのような動きでキッチンの方向に行くよう促す。
アレスの背後、その血溜り。中央には見慣れた人がぐったりと倒れている。テーラは警戒心を上げ、恐る恐る部屋を覘く。
「―――っ!!」
それを見たテーラの気配が変わる。
「ほ~ぉ。やっぱり考えは変わったかな?」
「お前…殺す!」
すぐさま後ろに振り返り、一歩で黒フルフェイスに飛び掛る。その勢いを利用し、右手で殴る。だが、そんなことはわかっていたかのように避けられてしまう。テーラもこんな攻撃があたると思っているほど黒フルフェイスを過小評価してはいなかった。空振りの勢いすらも利用し空中で一回転、そしてぶつかるべきだった壁に着地するように足をつけもう一度黒フルフェイスの懐に踏み込む。
「がぁっああ!!」
「むふふふ、いいですよ、その調子!」
下卑た笑みを浮かべているとしか考えられない笑い方だが、マスク越しではそれはわからない。すべてではないにせよ完璧なタイミングでテーラの拳や蹴りを避ける。横、縦、奥行き、すべての工夫を凝らした攻撃を仕掛けるもあたらない。黒フルフェイスは完全にゲーム感覚で遊んでいるように見えた、獣神の攻撃すらも。アレスには一つ一つの動きについていくだけで全神経を使わなければならないほど速かった。
「(やばい、ついていけない…)」
『獣神』対『狂人』。『超常』対『異常』。互角に見える戦いも徐々に、獣神が徐々に詰め寄っていく。黒フルフェイスは余裕がなくなっていく。
「どうした!動きが鈍くなってきてるぞ!」
テーラの言葉に嘘はない。たしかに黒フルフェイスの避けは完璧ではなくなってきている。最初はかすりもしなかったテーラの攻撃だったが、今の黒フルフェイスは腕や足を使って致命的なダメージを受けないようにガードしている。そして、
「はっ!!」
テーラの左足の回し蹴りが黒フルフェイスの顔面に直撃…する直前に男の腕がそれを阻む。しかし、ただでは転ばない。獣神の全力の蹴りはその腕のガードすらも吹き飛ばす。その次の瞬間、狂気の鬼が見せた初めての隙。獣神はそこを見逃すほど鈍くなってはいなかった。
「はぁぁぁぁっ!!」
黒フルフェイスの足元に蹴り終わった左足を踏み出し、回し蹴りの回転力を応用して思い切り握った右の拳を男の顔中央に叩き込む。パキィィィッッ!!という音とともに黒フルフェイスのマスクが中央から亀裂を生じ、時間とともに破壊の道をたどっていく。黒フルフェイスは隠すことすらしなかった。
マスクの中央が割れ、黒フルフェイスの素顔が明かされていく。
「痛いな~。自慢のマスクが割れちゃったじゃん…。」
その男の言葉とは裏腹にまったく遺憾さが感じられなかった。それよりも重要なことがある。
それは、
「いや~素顔見られると恥ずかしいね!」
アレスにはその男の顔には見覚えがあったことだ。
「―――っ!」
「―――カイン……ヴェーテン……!?」
わけがわからなかった。
なぜ、ユーナの前の家名が出てくるのか。
なぜ、血を欲しているのか。
黒フルフェイスの目的は明確だったが、その先にある答えが見つからなかった。
そのためアレスは黒フルフェイスに問いかける。
「なんでアルカディアル家の血が欲しいんだ?何のために使うつもりだ?」
黒フルフェイスは珍しく一瞬間をおいてから答える。
「6歳にしては恐ろしいぐらい頭がきれる君になら教えてあげてもいいかな~。まあ、僕たちの仲間になることと秘密にしてもらえるっていう条件付きだけど……どう?」
「どうもこうもない、そんな条件受けるわけないだろ!大体、何で俺はいいんだ?」
「目が……目が似てるんだよ。僕たちと…。」
黒フルフェイスのその言葉は、今までの発言のどの言葉よりも真剣みがあった。
「俺の…目…?」
「そう、君の目だ。特別な力があるだとかそんな物じゃない。もっと単純、目的が似てる気がする…そんなところだ。」
「俺はあんな風に人を殺したことないぞ!」
「そんな目の前の目的じゃない。フィナーレのことだ。」
「フィナーレ?」
そのときの黒フルフェイスは敵意が薄らいでいた。それと同時に張り詰めていた緊張や殺意が、霧が晴れるかのようになくなっていく。
「そう。あれは一過程の犠牲に過ぎない。まあ、それも何者かに阻まれたんだがね。」
「お前たちの目的は何なんだ?」
「言ったろう。それを知りたければ僕たちの仲間になれ。おそらくやり方に不満が出るだろが、君の最終目標と利害は一致しているはずだ。」
「最終目標……。」
「さあ、どうだね?僕たちのもとに……っ!?」
黒フルフェイスがアレスに近づこう厨房の入り口に差し掛かったとき、男から見て左方向から電撃の矢が向かってきた。黒フルフェイスはそれを3mほど飛び、バク転の要領で後ろに避ける。
不意の一撃を発した者が遅れてやってくる。その雷撃の発動者は、外出していたもう一人のメイド―テーラ・メインドールだった。亜麻色の長髪を後ろで結んでおり、トパーズのような綺麗な黄色の瞳をパッチリとしたまん丸つり目に宿した美しい女性だ。
「アレス様!ご無事ですか!?」
その声は心配、焦燥、安堵、様々な感情の含み、通路中に響く高く。彼女は買い物から帰ってきたところだった。
「無礼者め!アレス様から離れなさい!」
よりいっそう目を鋭くさせて黒フルフェイスを睨みつける。
「いやはやいやはや、邪魔が入ってしまったね~。それに…君は『獣神』じゃないかい?獣や神々の力の数パーセントをその身に宿した完全とまではいかない超人…。確かに君のような存在がいれば、屋敷の警備なんて雇うのはまったく意味を成さない。」
「わかっているなら早い、手を引いてもらおうか。」
「手を引く…ね。僕を見逃すかどうかはあれを見てから言うといいよ。」
そう言って、ピエロのような動きでキッチンの方向に行くよう促す。
アレスの背後、その血溜り。中央には見慣れた人がぐったりと倒れている。テーラは警戒心を上げ、恐る恐る部屋を覘く。
「―――っ!!」
それを見たテーラの気配が変わる。
「ほ~ぉ。やっぱり考えは変わったかな?」
「お前…殺す!」
すぐさま後ろに振り返り、一歩で黒フルフェイスに飛び掛る。その勢いを利用し、右手で殴る。だが、そんなことはわかっていたかのように避けられてしまう。テーラもこんな攻撃があたると思っているほど黒フルフェイスを過小評価してはいなかった。空振りの勢いすらも利用し空中で一回転、そしてぶつかるべきだった壁に着地するように足をつけもう一度黒フルフェイスの懐に踏み込む。
「がぁっああ!!」
「むふふふ、いいですよ、その調子!」
下卑た笑みを浮かべているとしか考えられない笑い方だが、マスク越しではそれはわからない。すべてではないにせよ完璧なタイミングでテーラの拳や蹴りを避ける。横、縦、奥行き、すべての工夫を凝らした攻撃を仕掛けるもあたらない。黒フルフェイスは完全にゲーム感覚で遊んでいるように見えた、獣神の攻撃すらも。アレスには一つ一つの動きについていくだけで全神経を使わなければならないほど速かった。
「(やばい、ついていけない…)」
『獣神』対『狂人』。『超常』対『異常』。互角に見える戦いも徐々に、獣神が徐々に詰め寄っていく。黒フルフェイスは余裕がなくなっていく。
「どうした!動きが鈍くなってきてるぞ!」
テーラの言葉に嘘はない。たしかに黒フルフェイスの避けは完璧ではなくなってきている。最初はかすりもしなかったテーラの攻撃だったが、今の黒フルフェイスは腕や足を使って致命的なダメージを受けないようにガードしている。そして、
「はっ!!」
テーラの左足の回し蹴りが黒フルフェイスの顔面に直撃…する直前に男の腕がそれを阻む。しかし、ただでは転ばない。獣神の全力の蹴りはその腕のガードすらも吹き飛ばす。その次の瞬間、狂気の鬼が見せた初めての隙。獣神はそこを見逃すほど鈍くなってはいなかった。
「はぁぁぁぁっ!!」
黒フルフェイスの足元に蹴り終わった左足を踏み出し、回し蹴りの回転力を応用して思い切り握った右の拳を男の顔中央に叩き込む。パキィィィッッ!!という音とともに黒フルフェイスのマスクが中央から亀裂を生じ、時間とともに破壊の道をたどっていく。黒フルフェイスは隠すことすらしなかった。
マスクの中央が割れ、黒フルフェイスの素顔が明かされていく。
「痛いな~。自慢のマスクが割れちゃったじゃん…。」
その男の言葉とは裏腹にまったく遺憾さが感じられなかった。それよりも重要なことがある。
それは、
「いや~素顔見られると恥ずかしいね!」
アレスにはその男の顔には見覚えがあったことだ。
「―――っ!」
「―――カイン……ヴェーテン……!?」
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