幼馴染の息子に転生した俺は人生を復讐に捧げます。

西脇 るい

文字の大きさ
25 / 27
黒への分かれ道

第二章:10話  『黒白の代行者』

しおりを挟む
「はぁ……はぁ…や、やっと着いた……」

 息を切らしながら、登校によって疲れていた体をさらに疲労させたアレスが扉に手をかける。
 そしてアレスたちはぎりぎりのタイミングで教室に入ることになった。なぜそうなってしまったかというと、ダインがアイリスの鉄拳制裁をすべて避けきったからだ。結局、それはアイリスが殴るのを止めたことによって幕を閉じた。アイリスはアレスの次に息を切らしているようだ。ちなみにダインは余裕な顔を………。

 彼らは廊下側に3つ並んで空いていた席に座ると、ため息をついて同時に顔を伏せた……ダインを除いて……。

「何であんたはいつもいつも正解を選んでくるのよ…」

「はっはは~悪いな~、でも勘違いしないでくれよ。俺だって何の犠牲もなく正解を導き出しているわけじゃなんだからな」

「どの口がいうんだよ……」

 二人の会話に割り込んでダインにツッコミを入れたのはアレスだ。今にも死にそうな顔をしているが、その目ははっきりと騒動の元凶を視界に捕らえ、今のも噛み付きそうな勢いで睨みつけている。

「それにしても先生なかなか来ないわね…」

「『来ない』じゃなくて『いらっしゃらない』だろ………あれ?…どっちが合ってんだ?」

 そんなことどうでもいいだろ、と内心思いながら教師が来ないことに着眼点を戻し、再思考を始めるアレス。次の教科は『魔法科学』。それを担当する教師は、いつもなら時間ぴったりに号令をかけられるように、教室にいる。しかし、今この時、この場所に、その人はいない。他の生徒は、休み時間が延長していることに少しの疑問と多くの喜びの感情を持ち、各々やりたいことをしている。隣同士でしゃべっている者や復習している者、、そこに無いものを見ているかのようにボケ~っと座っている者もいる。

 そんな中、アレスの心には他の者にはない感情が芽生え始めている。なぜなら、いつもと違うことが日常で起こることに対して、アレスはかなり敏感になっていたからだ。入学式でも、屋敷でも、でも………。

 一方のアイリスは不安……というか、何か別の感情を持っている感じがする。教師が来ないことに対する不安や心配というよりは、別のことに対する……期待感…?
 さらにダインはというと、いつもどおりの陽気な面構えで頬杖をつきながらニコニコしている。何を考えているのかはまったくわからない。

「心配して損をしたっていうのが一番いい形なんだけどな……」

 アレスがつぶやいた直後に教室の扉が開かれて、教師が姿を見せる。だが、それは同時に、アレスの期待を裏切る結果を示していた。

「やァー皆さんこんにちはー。遅れて申し訳ない」

 講義開始予定時間を5分遅れてきたのは見覚えのある男だった。男は黒のタキシード(蝶ネクタイ)の上から白衣を着ている。その人は、巨大な黒板の前に申し訳ないていどにある教卓に教材をドサっと置き、両手をついて、

「前任の先生が急に病気で長期の休暇が必要になったため、代理として短い間だけ皆さんの教師をやることになりました。名をカイン・ヴェーテンと申します」

 名前を名乗った。屋敷以来何の動きも見せなかった男が今になって動き出してきたのか、そのことに疑問を持ったが、そんなことよりも先に、些細な疑問がアレスの頭を支配した。

『ぜんぜん年とってなくね………』

 カインの見た目は6歳のころに出会ったころと何も変わっていなかった。年からくる外見の変化があまり反映されない体質なのかも知れない。もしかしたらあの日よりも若々しく感じる……まるで高校生のころに戻ったような………。

 しかし、アレスの中ですぐに自己解決し、本題の疑問に戻る。なぜ今頃なのか。

「時間通りに始められなくて申しわけありません。では、講義を開始します―――」

 しかし、アレスが思考をめぐらせる前に講義が始まり、何事も起きず講義は進行。そして、そのまま講義は終了した。ちなみに講義の評判はよく、女子生徒からのうけも悪くは無かった…………チッ………。



 


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです

しーしび
恋愛
「結婚しよう」 アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。 しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。 それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】 積み上がった伏線の回収目前!! 夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。 長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。 待っていたのは、凍てつく絶望。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。 「夫は愛人と生きればいい。  今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」 それでも私は誓う―― 「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」 歪で、完全な幸福――それとも、破滅。 “石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...