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(ああ~・・・、気持ちいい~。こんなにゆっくり寝られたのっていつ振りだっけ?)
ふわふわとしたお陽様の匂いがする至福のお布団。
身体が浮いているようなイメージに包まれた。
「・・・・・・、・・・・・・っ!」
「・・・・・・、・・・・・・」
誰かがすぐ側で会話している。もう少し離れて話して欲しいと多美江は思う。
こんなに気持ちがいいのに、本当に無粋だ。
全然止まない会話に多美江の眉間に皺が寄る。
「う~・・・、うるさい」
思わず文句が口から洩れた。
「ああ、長官。起きたようですよ」
誰だ? もう少し寝かせてよと思いながら、多美江は重たい瞼を開けた。
見ると、数人の男たちに囲まれていた。
「・・・・・・な、何?」
皆長いローブのような黒い服を着て多美江を見下ろしていた。
多美江はそこでようやく思い出した。
(ああ、そうだ。事故に遭ったんだった)
かなり頭から出血していたように思ったが、どうやら助かったみたいだと思っていると一人の男が一歩進み出てきた。
「立花多美江さん。貴女はこちら側の不手際で申し訳ないのですが、魂を刈り取られてしまいました」
「・・・・・・・・・」
何を言っているのか、多美江は少しばかり頭が混乱してしまった。
「え・・・? どういうことですか?」
多美江が起き上がって周りを見渡すと、驚くことに本当にふわふわ浮いた雲の上に座っていた。
「雲の・・・・・・ベッド?」
不審な男たちが立っている場所も雲の上みたいだし、いったいここは何処なのだろう。
改めて男たちを見ると黒尽くめの服。どう見てもお医者さんには見えない。
「貴方は・・・・・・どなた?」
「失礼、紹介が遅れました。私は死神長官ボーガンと申します。これは貴女の魂を誤って刈ってしまったティモシーといいます」
ティモシーと紹介された男性はまだあどけない顔をして、大人になりきっていない印象を受けた。その男の子は大きな瞳に涙を溜め、顔色を青褪めさせている。
そして急にその場に土下座した。
「も、申し訳ありませんっ!」
「・・・・・・・・・」
もう何がどうなっているのか、多美江にはいっこうにわからなかった。
「えっと・・・・・・、説明お願いします」
「実はこの者はまだ死神になって日も浅く、貴女を死んだものと認識し確認もせずまま魂を刈り取ってしまいました。こちらの者が大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
その場にいる皆が一様に頭を下げた。
「何故勘違いしたのだ?」
長官と名乗る男がティモシーに問いかける。
「死亡名簿には立花さんと同乗していた佐々木という男性が死ぬはずだと記載されていたが」
「僕・・・血が駄目なんです。立花さんの額からどくどくと流れ出る血を見て・・・・・・眩暈が」
(死神が血が駄目なんて・・・、え・・・死神?)
多美江は今更ながら、顔色を青褪めさせる。
「もしかして・・・・・・皆さんは死神さん?」
雲のベッドの周りにいる男性が同じように無言で頷く。
「・・・・・・私、死んでしまったのですかっ?」
「も、申し訳ありません」
長官も部下の不手際に頭を下げるしかないようだ。
とうとう青の人にもなれずに、死んでしまった。
「は、ははは・・・・・・。はあぁぁ~・・・」
思わず笑ってしまった多美江を、居た堪れない表情で見詰める一同。
「それで私、天国へ逝けるのですよね?」
死神の不手際で死ぬなんて滅多にないことだろう。そう考えれば、何だか自分が特別な存在になれたみたいにも思える。
ここは前向きに考えようではないか。
元の世界に未練がない訳ではないが、もう起きてしまったことは覆せないだろう。
「そのことなのですが、冥界の長に相談したところ特別にすぐに転生させてもよいとのことでして・・・。さすがに地球へは戻ることはできないのですが・・・。貴女方がよく言う異世界という世界なら、すぐにでも転生が叶います。いかがいたしますか?」
不運にも三十歳目前で死んでしまったが、これはチャンスなのではないか?
もしかして異世界でヒーローになれる?
多美江は勢い込んで手を上げて叫んだ。
「異世界、行きますっ! 転生させて下さいっ!!」
ふわふわとしたお陽様の匂いがする至福のお布団。
身体が浮いているようなイメージに包まれた。
「・・・・・・、・・・・・・っ!」
「・・・・・・、・・・・・・」
誰かがすぐ側で会話している。もう少し離れて話して欲しいと多美江は思う。
こんなに気持ちがいいのに、本当に無粋だ。
全然止まない会話に多美江の眉間に皺が寄る。
「う~・・・、うるさい」
思わず文句が口から洩れた。
「ああ、長官。起きたようですよ」
誰だ? もう少し寝かせてよと思いながら、多美江は重たい瞼を開けた。
見ると、数人の男たちに囲まれていた。
「・・・・・・な、何?」
皆長いローブのような黒い服を着て多美江を見下ろしていた。
多美江はそこでようやく思い出した。
(ああ、そうだ。事故に遭ったんだった)
かなり頭から出血していたように思ったが、どうやら助かったみたいだと思っていると一人の男が一歩進み出てきた。
「立花多美江さん。貴女はこちら側の不手際で申し訳ないのですが、魂を刈り取られてしまいました」
「・・・・・・・・・」
何を言っているのか、多美江は少しばかり頭が混乱してしまった。
「え・・・? どういうことですか?」
多美江が起き上がって周りを見渡すと、驚くことに本当にふわふわ浮いた雲の上に座っていた。
「雲の・・・・・・ベッド?」
不審な男たちが立っている場所も雲の上みたいだし、いったいここは何処なのだろう。
改めて男たちを見ると黒尽くめの服。どう見てもお医者さんには見えない。
「貴方は・・・・・・どなた?」
「失礼、紹介が遅れました。私は死神長官ボーガンと申します。これは貴女の魂を誤って刈ってしまったティモシーといいます」
ティモシーと紹介された男性はまだあどけない顔をして、大人になりきっていない印象を受けた。その男の子は大きな瞳に涙を溜め、顔色を青褪めさせている。
そして急にその場に土下座した。
「も、申し訳ありませんっ!」
「・・・・・・・・・」
もう何がどうなっているのか、多美江にはいっこうにわからなかった。
「えっと・・・・・・、説明お願いします」
「実はこの者はまだ死神になって日も浅く、貴女を死んだものと認識し確認もせずまま魂を刈り取ってしまいました。こちらの者が大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
その場にいる皆が一様に頭を下げた。
「何故勘違いしたのだ?」
長官と名乗る男がティモシーに問いかける。
「死亡名簿には立花さんと同乗していた佐々木という男性が死ぬはずだと記載されていたが」
「僕・・・血が駄目なんです。立花さんの額からどくどくと流れ出る血を見て・・・・・・眩暈が」
(死神が血が駄目なんて・・・、え・・・死神?)
多美江は今更ながら、顔色を青褪めさせる。
「もしかして・・・・・・皆さんは死神さん?」
雲のベッドの周りにいる男性が同じように無言で頷く。
「・・・・・・私、死んでしまったのですかっ?」
「も、申し訳ありません」
長官も部下の不手際に頭を下げるしかないようだ。
とうとう青の人にもなれずに、死んでしまった。
「は、ははは・・・・・・。はあぁぁ~・・・」
思わず笑ってしまった多美江を、居た堪れない表情で見詰める一同。
「それで私、天国へ逝けるのですよね?」
死神の不手際で死ぬなんて滅多にないことだろう。そう考えれば、何だか自分が特別な存在になれたみたいにも思える。
ここは前向きに考えようではないか。
元の世界に未練がない訳ではないが、もう起きてしまったことは覆せないだろう。
「そのことなのですが、冥界の長に相談したところ特別にすぐに転生させてもよいとのことでして・・・。さすがに地球へは戻ることはできないのですが・・・。貴女方がよく言う異世界という世界なら、すぐにでも転生が叶います。いかがいたしますか?」
不運にも三十歳目前で死んでしまったが、これはチャンスなのではないか?
もしかして異世界でヒーローになれる?
多美江は勢い込んで手を上げて叫んだ。
「異世界、行きますっ! 転生させて下さいっ!!」
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