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「ターミャちゃん・・・、もう少し心の中を隠す術を身につけた方がいいわ」
多美江がマリリーネを見上げると、呆れたような瞳と出会う。
「そ、そんなにわかりやすいですか?」
「ダダ漏れよ」
大きく頷きながら肯定された。
何てことだ。隠していたつもりがすべて見抜かれていたらしい。
「ケルベルスはね、本来SS級の獲物よ。確実に捕える必要が今回はあるから、隊を編成するのは当然ね。S級がもう一人くらいいてくれればいいのだけど・・・。今回はA級からしかいないわね。カポードさんがいてくれてたら、また違ったのに」
どれだけカポードは凄いのか、この言葉でわかる。
「それにターミャちゃんはもう少し冒険者のことと魔獣のことを勉強しないとね」
「・・・はい」
その本を捜しに行こうと、今日は宿を出たのに。今はそれどころではなくなってしまった。
「ターミャ、場所はわかるな? 案内してくれ」
「え・・・? でもエブリンさんにお昼には帰るって言ってしまったし・・・」
エブリンを怒らせると怖そうだ。だから約束は守りたい。
それにケルベルスにも会いたくない。
「私がエブリンさんには伝えておくわ」
あ~っ! 何てご親切にっ!
むんずと腕を掴まれて、もう逃げられないのを察した。
「・・・わかりましたよ」
もう逃げないから手を離して欲しいと思うけど、どんなに引っ張ってもぴくともしない。
「ターミャは足は速い方か?」
「速いとは・・・思いますけど」
どれくらいが基準なのかわからないので、言葉を濁しておく。
「急ぐから担いで行くぞ。道案内だけしてくれ」
ギルドを出る前から、担がれるってどういうこと?
しかも片手で子供を抱くみたいに・・・。もう一方の手には剣が握られていた。
ギルラスはどうやら剣士のようだ。
でもまだ血を見る覚悟・・・できてないんですけどと、多美江は顔色を青褪めさせた。
道案内自体は、矢印があれば大丈夫。でも皆に見えなくするには、どうすればいいのか。
少し今の内に試してみよう。
小さな声で多美江は呟いた。
「人には見えない矢印出てこい」
前回と同じ矢印が出てきたが、果たして本当にこれが皆に見えているのかいないのかは疑問である。
試しにマリリーネで確認しておこう。
人差し指をマリリーネの前に持ってきて、矢印を示す。多美江の意図を酌んだかはわからないが、マリリーネの視線が思惑通りに矢印を捕えた。
「・・・何? ターミャちゃん」
「あ、ゴミが落ちてるのかと思ったけど・・・違いました。虫だったみたい」
「え~っ!! 虫っ? 何処、何処~っ? 嫌だぁ~っ」
マリリーネの意外な女部分が見られて、ちょっと面白い。虫なんて平気で踏み潰しそうなほど気が強く見えるのに。
「あ、虫も・・・勘違い」
「・・・ターミャちゃん、もしかして私で遊んでる?」
「ち、違うよ~?」
マリリーネの手が届きそうなところで冷や汗をかいていると、ギルラスに助けられた。
「後で、遊んでもらえ」
いや、違うのだが。まあ今は助かった。
確認したところ矢印は人には見えないようです。
「マリリーネ、騎士団の方にも連絡を入れろ。魔獣の森に入るからな。また結界に触れることになる」
「あ~・・・、ジェリオさんがまたお冠ですね~」
「しかし、今回は皇太子の為だ。奴も納得するだろう」
「は~い、一応報告はしておきます」
ギルラスは集まった冒険者と共に、ギルドを出た。
用意してあった馬に飛び乗る。
多美江は少々焦る。
(馬も初めてなんですけど~っ!)
抗議の声を出す前に馬が駆け出した。
「口を開くな。舌を噛むぞ」
「・・・あい」
もう少し早く言って欲しかった。もう噛んだ後です。
口の中に広がった血の味を、もぐもぐさせながら多美江はギルラスにしがみついた。
多美江がマリリーネを見上げると、呆れたような瞳と出会う。
「そ、そんなにわかりやすいですか?」
「ダダ漏れよ」
大きく頷きながら肯定された。
何てことだ。隠していたつもりがすべて見抜かれていたらしい。
「ケルベルスはね、本来SS級の獲物よ。確実に捕える必要が今回はあるから、隊を編成するのは当然ね。S級がもう一人くらいいてくれればいいのだけど・・・。今回はA級からしかいないわね。カポードさんがいてくれてたら、また違ったのに」
どれだけカポードは凄いのか、この言葉でわかる。
「それにターミャちゃんはもう少し冒険者のことと魔獣のことを勉強しないとね」
「・・・はい」
その本を捜しに行こうと、今日は宿を出たのに。今はそれどころではなくなってしまった。
「ターミャ、場所はわかるな? 案内してくれ」
「え・・・? でもエブリンさんにお昼には帰るって言ってしまったし・・・」
エブリンを怒らせると怖そうだ。だから約束は守りたい。
それにケルベルスにも会いたくない。
「私がエブリンさんには伝えておくわ」
あ~っ! 何てご親切にっ!
むんずと腕を掴まれて、もう逃げられないのを察した。
「・・・わかりましたよ」
もう逃げないから手を離して欲しいと思うけど、どんなに引っ張ってもぴくともしない。
「ターミャは足は速い方か?」
「速いとは・・・思いますけど」
どれくらいが基準なのかわからないので、言葉を濁しておく。
「急ぐから担いで行くぞ。道案内だけしてくれ」
ギルドを出る前から、担がれるってどういうこと?
しかも片手で子供を抱くみたいに・・・。もう一方の手には剣が握られていた。
ギルラスはどうやら剣士のようだ。
でもまだ血を見る覚悟・・・できてないんですけどと、多美江は顔色を青褪めさせた。
道案内自体は、矢印があれば大丈夫。でも皆に見えなくするには、どうすればいいのか。
少し今の内に試してみよう。
小さな声で多美江は呟いた。
「人には見えない矢印出てこい」
前回と同じ矢印が出てきたが、果たして本当にこれが皆に見えているのかいないのかは疑問である。
試しにマリリーネで確認しておこう。
人差し指をマリリーネの前に持ってきて、矢印を示す。多美江の意図を酌んだかはわからないが、マリリーネの視線が思惑通りに矢印を捕えた。
「・・・何? ターミャちゃん」
「あ、ゴミが落ちてるのかと思ったけど・・・違いました。虫だったみたい」
「え~っ!! 虫っ? 何処、何処~っ? 嫌だぁ~っ」
マリリーネの意外な女部分が見られて、ちょっと面白い。虫なんて平気で踏み潰しそうなほど気が強く見えるのに。
「あ、虫も・・・勘違い」
「・・・ターミャちゃん、もしかして私で遊んでる?」
「ち、違うよ~?」
マリリーネの手が届きそうなところで冷や汗をかいていると、ギルラスに助けられた。
「後で、遊んでもらえ」
いや、違うのだが。まあ今は助かった。
確認したところ矢印は人には見えないようです。
「マリリーネ、騎士団の方にも連絡を入れろ。魔獣の森に入るからな。また結界に触れることになる」
「あ~・・・、ジェリオさんがまたお冠ですね~」
「しかし、今回は皇太子の為だ。奴も納得するだろう」
「は~い、一応報告はしておきます」
ギルラスは集まった冒険者と共に、ギルドを出た。
用意してあった馬に飛び乗る。
多美江は少々焦る。
(馬も初めてなんですけど~っ!)
抗議の声を出す前に馬が駆け出した。
「口を開くな。舌を噛むぞ」
「・・・あい」
もう少し早く言って欲しかった。もう噛んだ後です。
口の中に広がった血の味を、もぐもぐさせながら多美江はギルラスにしがみついた。
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