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第五章 結婚

3話

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二人でもそもそと昼食を食べ続けた。
先に食べ終わったグレンはなんだかソワソワしていた。
マルクが食べ終えると二人は食堂を出た。

「どこ行くんだよ」

グレンはぶっきらぼうに尋ねる。

「庭でも行こうか」

「ん」

二人はいつもグレンが鍛錬している庭に向かった。



庭の中には日差しが差し込んでいた。
いつも鍛錬中にグレンが荷物を置いているベンチに二人で腰かける。

「なぁ」

「んー?」

「本当に俺と結婚する気かよ」

グレンとマルクのいる国では同性婚が認められている。
各人、同性と異性のパートナー一人づつと婚姻を結ぶことができるのだ。

「うん、俺はグレンと結婚したい。あと俺の本命になって欲しい」

結婚したパートナーの内、どちらかを本命として登録すると離婚できなくなるのだ。
それに対して本命ではないパートナーとはいつでも離婚ができる。

「リディア嬢はどうするんだよ…」

「お互い家のために結婚するんだから、そのうち向うも本命見つけると思うし…あては用意しておいた」

マルクはほくそ笑んでいる。

「そ、そうか…」

「グレンは?俺のこと本命じゃないの?」

マルクは一歩距離を詰め、グレンの耳元で囁く。

「うっ…俺だってマルクのことが一番…」

「だよね?俺以外に本命にしたい人間なんていないよね?」

「う、うん…」

マルクはベンチから立ち上がると、グレンの前に跪いた。

「グレン、よく聞いて、一度しかやらないから」

マルクはグレンの左手を取った。

「お、おう」

グレンは姿勢を正した。

「グレン、俺と結婚しよ?一生、隣にいてください」

マルクは真剣な目でグレンを見つめる。

「…わかった。結婚しようぜ、マルク」

グレンはくしゃりと笑いながら答えた。

「よかった。断わられたらどうしようかと思ってた」

マルクはグレンの左手にキスをすると婚約の証として腕輪を嵌めた。

「これでグレンは俺だけのモノ…」

マルクはそのままグレンの腕を引いて立ち上がらせると、ぎゅっと抱きしめて肩に顔をうずめた。
グレンはそんなマルクの頭を撫でながら、マルクの肩越しに自分の腕に嵌められた腕輪を見た。

「マルクも…俺だけのモノだからな」

「はは、もちろん」

二人は柔らかな陽だまりの仲、キスを交わしたのだった。






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