上 下
104 / 120
第十三章 新婚旅行

6話

しおりを挟む
グレンはそのまま意識を手放したようで、気がつくと朝を迎えていた。

「おはよう」

マルクの爽やかな笑顔が飛び込んでくる。

「お、おはよ」

グレンは腰の痛みを若干覚えていた。

「朝ごはん運んできてくれるって」

「そ、そうか」

「その前に一回…しよ?」

「し、しねーよ!」

グレンは痛みを忘れてベッドから飛び上がるとシャワールームに駆け込んだ。

「っっってぇっ」

シャワールームに入った途端に腰の痛みがぶり返してきた。

「はははっ、腰痛い?」

「笑いごとじゃねーよ」

笑うマルクをジト目で睨んだ。



朝ごはんは豪華だった。
味も屋敷で食べるものと相違ないくらいのクオリティーでグレンは満足だった。
マルクも文句はないようだ。

「で、今日はどうするんだよ?」

グレンが尋ねる。
リゾートに来てからのプランは全く聞かされていなかったのだ。

「ちょっと行くところがあるんだ」

マルクが答える。

「へぇ」

「どこか気になる?」

揶揄うようなマルクの声色にグレンは少し拗ねた。

「い、いや、別に」

グレンはパンを頬張って誤魔化した。

「そう」

マルクはニヤリと口角をあげたままだった。



朝食が終わるとマルクは出かける準備を始めた。

「もう出るのかよ」

「うん、早い方がいいかなって」

「そ、そうかよ」

グレンは不貞腐れたようにベッドに寝転がった。

「え、グレンも一緒に行くんだよ?」

「お、俺も?」

てっきり置いていかれると思っていたグレンは驚いた。

「当たり前だろ」

「お、おう」

「さっさと準備しろよな」

グレンは慌てて準備し始めるのだ。
その姿をマルクは愛おしそうに眺めていた。





しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

石女と呼ばれますが......

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,644pt お気に入り:46

いっぱいの豚汁

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:809pt お気に入り:0

王子殿下の慕う人

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,391pt お気に入り:5,371

RUBBER LADY 屈辱のポニープレイ

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:5

職も家も失った元神童は、かつてのライバルに拾われる

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:575pt お気に入り:34

黒狼の可愛いおヨメさま

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:383pt お気に入り:4,630

わたしたち、いまさら恋ができますか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,463pt お気に入り:379

ある国の王の後悔

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,881pt お気に入り:99

処理中です...