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浅上秀

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お誘いお家訪問編

3話

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二人はお互いの話をしながらオムライスを食べた。

「そういえば近藤さんってお仕事は何を?」

「普通のサラリーマンですよ」

「へぇ」

思えば、診察以外で会う機会がないため、お互いのことをほとんど言っていいほど知らなかった。

「ご家族は?」

「両親と弟が一人」

「なんかそんな感じしますよね」

「そうですか?」

「真壁さんは?」

「私は一人っ子ですので」

「そんな感じがします」

「ほんとうですか?」

二人は終始和やかに談笑していた。



食事が終わると、近藤は片付けの手伝いをした。

「お客様だから休んでいただいていて良かったのに」

「そういうわけにいかないですよ」

二人で食器を片付けた。

再びソファに戻ったが、付いているテレビなんて気にも留めずに二人は話し続ける。

仕事、家族、悩み、趣味、話題は多岐に渡った。
話をしているうちにどんどんと近藤の緊張はほぐれた。



「真壁さんは、」

「あ、その真壁さんっていうの辞めませんか?」

「え?」

「敬語も、辞めましょうよ。せっかくの仲ですし、ね?」

真壁は小首を傾げた。

「わかりました」

「じゃなくて?」

「わか、った」

「そう」

近藤は戸惑いながらも敬語を外した。

「でも名前、何て呼べば…」

「下の名前で、健太って呼んで下さい」

「け、んた」

「はい」

近藤は頭を掻きながら続けた。

「あの、健太も、敬語、辞めろよ…」

「え?」

「あと、名前で呼んで…」

真壁は一瞬、目を見開いた。
しかしすぐに笑顔になって言った。

「わかった、猛」

「ふはっ」

なんだか気恥ずかしくなった。



「そろそろ帰ろうかな…」

近藤は時計を見ていった。

「泊まっていけば?」

「それは悪いよ」

「だってなにもしてないよ、今日」

「な、何もしてないって…」

真壁は意地悪そうな顔で近藤を見る。

「明日も休みだろ?」

「そ、そうだけど…」

今日は土曜日なので近藤は明日も休みだった。

「泊まっててよ」

「お、おう」

真壁の押しが強いので結局、泊まることにした。



「乾杯」

「乾杯」

二人は夕食を共にしていた。
ついでにと言って真壁はワインのボトルを持ってきた。

「急患とかで呼ばれないのか?」

「うん、うち別に救急とかじゃないからね」

真壁は嬉しそうにワインに舌鼓を打っていた。

「あー、うま」

「たしかに、このワイン旨いな」

「でしょ?」

二人は和やかに晩酌を楽しんだ。






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