学校にいる人たちの卑猥な日常

浅上秀

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かなづち克服プログラム

中編  上

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嫌なものほど早く訪れるものだ。
水泳部の合宿は初日をむかえてしまった。
大きなプールを貸し切って朝から夜まで泳ぎ放題だ。
江川は特別にマンツーマンでの指導が行われた。
クロールの練習はもちろんのこと、合宿で三船は江川にクロール以外も泳げるように特訓すると宣言していたのだ。
江川は泳げる他の部員たちと同じくらいの時間をプールの中で過ごした。
そしてヘトヘトになりながらようやくプールから上がることを許されて、食堂に駆け込んだのだった。

「江川、フォームの練習をするからお風呂上りに部屋に来なさい」

「わ、わかりました」

まだ練習初日。
折角苦しい練習が終わったと思ったのに寝るまで水泳三昧かよと夕食を食べていた江川は肩を落とした。



「失礼します」

風呂で身体を温めて少しだけ癒され江川は髪を軽く乾かして館内着である浴衣姿で三船の部屋を訪れる。
生徒たちは6人くらいで一部屋の大部屋だが先生やコーチは一人一部屋が与えられている。
部屋に入ると三船は夕食の時に見たようにジャージ姿のままだった。
部屋の机の上にはパソコンが置かれており、電源がついているため仕事でもしていたようだ。

「ちゃんと来たんだな、偉いぞ」

三船は江川の頭を撫でる。

「それじゃあまず浴衣を脱げ」

「は、はい」

「なんだ不満か?脱がないと筋肉の動きが見えないだろ」

「いえ、脱ぎます」

江川は浴衣を脱ぐとたたんで布団のわきに置いた。
トランクス一枚になり、敷布団のうえにうつぶせになる。

「まずはクロールからだ」

「はい」

足をばたつかせて手を回す。

「顔の角度はこうしろ」

「はい」

三船に触れられながらフォームを修正していく。

「平泳ぎもやるぞ。足を開け」

「ううっ、はい」

今日、初めて習った平泳ぎの足の動きもやらされる。

「もっと膝を開け」

「はい」

三船の視線が尻を見ていることに江川は全く気付かない。
しばらくすると三船は江川に声をかけた。

「この合宿で背泳ぎもできるようになってもらうからな。フォームだけ教えておいてやる。仰向けになれ」

「は、はい」

仰向けになると三船と視線が合う。
江川は若干、気まずく感じた。

「両手をまずあげろ、耳のところでそろえて。足はバタ足だ」

言われた通りにフォームを取って動き出す。

「そうだ、水の中では足が沈みやすくなるから気をつけろよ」

「はい、わかりました」

「今日はこの辺にしておいてやる。浴衣を着ていいぞ。また明日もやるから風呂上りに来いよ」

二日目も一日中泳いで夕食を食べて風呂から上がるとフォームの指導に呼ばれた。
フォームの練習が終わると部屋に帰された。




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