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浅上秀

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番外編 上京してきた大学生の末路

1話

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リクエストをいただきました、「上京してきて金がない大学生に出資してみた」のコウジくんのお話です。



コウジが生まれ育ったのは田舎だった。
ロクな娯楽もない、かわいい女の子もいない、コウジはドラマ等で描かれる都会での生活にどんどんと憧れを募らせていく。

「俺、大学から一人暮らしするから」

親に宣言してから都会の大学に合格するべく、そこまで頭はよくなかったがかなり努力をしていた。
なんとか下の方のランクではあるが国立大に合格して、春には上京してすることになる。
夢にまで見た都会での一人暮らしが幕開けたのだ。



「君、よかったらうちのサークル入らない?」

「あ、すいません、これからバイトなんです…」

しかし思い描いていた大学生活にはならなかった。
一人暮らしをするにはどうしてもお金が必要だ。
バイトをしながら慣れない長時間の講義を受けて、課題をこなして。
入学して半年もたつとどんどんとコウジは疲弊していってしまった。

そんなコウジを見かねたのか、何個かの授業が被っている一人の男子大学生が声をかけてくれた。

「あぁ、なんで実家出たんだろう」

そう嘆くコウジを慰めてくる。

「大変だよな、一人暮らしって。俺は実家暮らしだからわからないけど…」

その男子大学生はサークルに所属して、毎日楽しそうだ。
友達も多いようで飲みに行ったり、たまに合コンにも参加しているとのこと。
コウジが憧れていた大学生活をそのまま体現している彼は、コウジには非常にまぶしく見える。

「いいなぁ…」

しきりに羨ましがるコウジを哀れに思ったのか彼はコウジを誘ってくれた。

「今度、飲み会に一緒に行こうな」

「でも俺、そんなにお金ないし…てかまだ俺未成年だし」

そういうと彼は虚を付かれた顔をした。
しかし先ほどまでと同じ表情になって言う。

「大丈夫、金なんて払わずに未成年でも参加できる飲み会ってあるんだよ」

「へ、へぇ」

うまい話には裏がある。
この言葉を疲弊するコウジの脳みそは思い出してはくれなかったのだった。
ただひたすらに憧れていた都会での生活を送りたい、それだけだったのだ。



「あ、こっちこっち」

「ご、ごめん、お待たせ」

約束が果たされたのはそんな会話をして一週間ほどが経った時だった。
駅前で待ち合わせて二人でお店に向かって歩く。

「どんな人が来るんだ?」

「飲み会?う~ん、社長さんとかかな」

「え?そんなすごい人が来るのか!?」

コウジはてっきり大学生同士で飲むものだとばかり思っていた。

「うん、まぁなんていえばいいのかな…インターンの面接も兼ねてるみたいな感じかな」

「インターンって今から?」

大学に入学したばかりなのにもう就活を始めているという都会の大学生事情にコウジは追いついていけない。

「なんでも早い方がいいでしょ」

そう言い放った彼はずいぶんと大人びて見えた。
彼はコウジが来たこともない路地を慣れているようでスルスルと進んでいく。
そしてある雑居ビルの前で立ち止まった。

「さ、お店こっちだよ」

建物の中にはいてガタガタと音がする古いエレベーターに乗り込む。
彼がボタンの前にいるので何階を押したのか見えない。
やがてエレベーターが止まって扉が開いた。

「ありがと」

彼がボタンを押して扉を開けていてくれる間にコウジはエレベーターを降りた。

「行こうか」

「う、うん」

薄暗い廊下を進むと一つの扉が見えてきた。
彼はノブをつかんで扉を開いた。

「失礼します」

大声でそう言いながら中に入る。

「し、失礼します」

コウジも彼に倣って小声だがそう言って入る。

「やぁ、来てくれたんだね」

スーツ姿の男性が二人を出迎える。

「そりゃあ、今野さんのお願いですからね。あ、これ、俺の友達です」

「どうも…」

彼に背中を押されたスーツ姿の男性の前に押し出される。

「俺はここの主催をやってる今野っていいます。よろしく」

握手の為に手を差し出してきた若い男性はコウジとそんなに年齢が変わらなさそうだった。

「よ、よろしくお願いします」

「今日はお金はこっちもりだから存分に飲んで食べてってね」

今野さんはウインクをしてコウジたちの次にやって来た別のグループを出迎える。

「こっち、いこ」

彼に連れられるがままにコウジは歩いた。
カウンターで好きな飲み物を手に取ると適当なソファに二人で向かい合って腰かける。
二人が座ってすぐに二人組の男性が近づいてきた。

「やっほ~、友達連れてくんの珍しいね、どしたの急に」

片方の男性がものすごく軽いノリの男性が近づいてきた。

「あれ?喜多野さん、お連れの方がいらっしゃるの珍しいですね」

彼が声をかけると、まだ紹介もされていたいのにお連れの方は彼とコウジの前に身を乗り出してきた。

「俺、アプリゲームの会社で社長やってる平田っていいます、よろしくっ」

そういって差し出された輝く名刺をコウジはまじまじと眺めている。
彼はスマホを取り出してアプリ画面を開いて平田に見せた。

「このゲーム、平田さんの会社のですよね?」

彼の問いかけに平田は指パッチンで答える。
その様子に、彼もノリの軽い男性も白けた目をしていたが、コウジだけはキラキラした目をしていた。

そんなコウジの様子を見て気に入ったのか、平田は急にコウジの隣に腰を下ろしてコウジに話しかけ始めたのだった。






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