裏クラウドファンディングへようこそ

浅上秀

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レトロなゲームセンターで出資してみた

2話

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画面が暗いリズムゲームの台が立ち並ぶ壁の奥。
男性が一人、あるゲーム台に熱中していた。

「すみません、私も参加させていただきたいのですが」

男性に声をかける。

「いいよ、あちらへどうぞ」

これが今回の合言葉だった。
万が一、イベント参加者じゃない人が迷い込んでしまったときの保険ともいえるだろう。
スタッフオンリーとかかれた黒いカーテンをくぐり、その先につながる廊下をさらに奥へ進む。
そこを抜けると海外さながらのカジノが広がっていた。

「さぁさぁどうぞ」

黒服の男たちが客をもてなしている。
ルーレットが止まるとうなだれる人、反対にトランプを開いて飛び上がる人、スロット台に拳を叩きつける人。
所謂ギャンブラーたちが様々な遊戯に群がっている。

「換金場所は…あそこか」

バーカウンターの隣にあるチップを換金する場所に向かう。

「いらっしゃいませ」

恭しく男性が迎えてくれた。

「これで」

携帯に表示されたQRコードを見せる。

「かしこまりました」

男性は手元の端末でそれを読み取った。

「こちらが本日のチップでございます」

「はい」

渡されたのは一枚の桃色のチップ。

「あちらにございます機械にそちらのチップをお入れください」

男性が指をさした先には扉があり、その隣には両替機のような機械が置かれている。

「わかりました」

「ごゆっくりどうぞ」

男性のお辞儀に見送られながら俺はその機械を目指す。
近づくとコインの投入口、そしておつりが出てくるためのトレイがある。
言われた通りチップを入れる。

「本人認証が完了いたしました」

機械から声が聞こえるとガコンという音と共にプラスチック製のリストバンドのようなものがトレイに降ってきた。
それを手に取り左手首にはめる。

「どうぞ、お通りください」

ガチャンと開錠した音がして隣の扉が自動的に開く。
俺は無言でその扉に入った。



「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

俺は案内されるがまま席に着く。
そう、俺の目的はギャンブルではない。
ここではギャンブルに負けた人を食い物にさせてくれる。

「こちらが本日使用していただく端末になります」

いつも通り出資用の端末が渡される。
操作してみると今日は出金のボタンがない。

「あの、これ支払いはどうやって行うのでしょうか」

「こちらのリストバンドを端末にかざしていただくと自動的にお引落となります。ただ本日お客様は特別会員待遇の為お引落はございません。存分にお楽しみください」

「え?特別会員?」

驚いた。
いつの間にそんなものになっていたのだろうか。
確かに近くの座席に座っている人と俺のリストバンドは色が違うが。

「はい、なんでも運営側が決めたある一定条件を満たされた方がご選抜されているそうですよ」

「へー…」

そんな話をしているとすぐにイベントは始まりの時刻になった。




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