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7章 赤い珠が映す空想未来
赤い珠玉について 3
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「それで親子は、どうなったの?」
眉は下がり、声がほんの少しだけ震えてる。この話は紅玉を楽しませてくれなかったようだ。
影弥は首を振るだけで答えなかった。
しばし、沈黙が降りた。眠らない二人の夜は酷く長い。
紅玉は静寂を嫌うのを影弥は知っている。
「さて、明日はどうしようか」
話を逸らすのは下手だなと紅玉は落ち込んだ気持ちを仕舞い、作り笑いをする。それに安心して影弥もつられて笑う。
影弥は地図を広げた。そこには×印ばかり描かれており、地図いっぱいの印はほとんどの村を潰していた。
「新しい地図も手に入れたことだし。山を越えるかい」
地図の村は調べ尽くした。だとすれば新しく手に入れて山向こうの地図に描かれているところを探すべきだろう。
「もう少し念入りに調べたいな。かすかに感じるもの」
紅玉は生きていた頃の胎児の記憶を持っている。その時感じていた片割れの魂の波動のようなものを感じ取っていた。
その気配は細い、蜘蛛の糸よりも細い、あるかないかすら怪しい人のようなもので、せっかく見つけたとしても風や光の加減によって見失ってしまう。
それがここ数日、紅玉は妹の気配を失わせるに感じられていた。紅玉に巻きついているようだった。
だからと行ってその糸を辿ればいいというわけでもない。
十歩進めばまだ良いほうで、糸を辿ればまたふいっと見失ってしまう。それで探すのをやめるとふいっと現れる。
それでも影弥にとってはありがたかった。何しろ彼には自分で判断すらままならないのだ。
「そうだね。明弥は隠すのがうまいからどこか見落としがあるかもね」
地図の×印を眺めて、一番最初につけた×印を指差した。
「調べ直そう」
「私はどこ行こうかな」
「君は今日と同じ」
紅玉は目を見張って影弥を見た。
それはつまり何もせずに遊んでろということだ。
「一昨日もそうだった」
「明後日もその次の日も同じだよ」
影弥はいつもそうだった。決断だけはさせて紅玉を蚊帳の外にする。
「私も行く。私なら探せる。子供遊びをする年齢でもないもの」
十四歳の見た目で止まっているが、実際に生きていたら二十二だ。駆けっこで遊ぶ歳でもない。
そもそも紅玉を認識できるものは現世にいない。なんとなく、その存在をぼんやりと感じられるものはいるが、はっきりとした姿は捉えられない。彼女の声をぼんやりと聞ける者はいるが言葉として捉えられるものはいない。
「楽しそうに走ってたじゃないか」
いつまでも子供だなと付け加えた影弥の軽口に紅玉の顔が一気に険しくなった。
寝転んでいた紅玉は素早く立ち上がって焚き火と影弥の間で地団駄を踏む。
「いつまで子供扱いなのよ!」
「怒っても変わらないよ」
影弥から見れば可愛い子供の癇癪で、紅玉からしてみればただ馬鹿にされたようにしか見えない。
「君の頭の高さが変わったら子供扱いはやめよう」
紅玉の顔が更に険しくなった。彼女はもう成長しない。永遠に変わらないとわかっていながらの台詞だ。
紅玉は地面を受けた。蹴られた土は一粒も上がらなかった。
それも腹立たしくて焚き火と影弥に背を向けて林の中へと大股で入っていく。
「どこへ行く」
「どこでもいいでしょ!」
「遠くへは行かないように」
「わかってる!」
荒れた語気で返す。
ああなったら何を言っても無駄だ。しばらくすれば帰ってくるだろう。
影弥は枝木を持ち直して燃える枝を続き、すぐに飽きていた枝木を焚き火にくべた。
眠らない二人の夜は長い。沈黙すれば更に長い。
眉は下がり、声がほんの少しだけ震えてる。この話は紅玉を楽しませてくれなかったようだ。
影弥は首を振るだけで答えなかった。
しばし、沈黙が降りた。眠らない二人の夜は酷く長い。
紅玉は静寂を嫌うのを影弥は知っている。
「さて、明日はどうしようか」
話を逸らすのは下手だなと紅玉は落ち込んだ気持ちを仕舞い、作り笑いをする。それに安心して影弥もつられて笑う。
影弥は地図を広げた。そこには×印ばかり描かれており、地図いっぱいの印はほとんどの村を潰していた。
「新しい地図も手に入れたことだし。山を越えるかい」
地図の村は調べ尽くした。だとすれば新しく手に入れて山向こうの地図に描かれているところを探すべきだろう。
「もう少し念入りに調べたいな。かすかに感じるもの」
紅玉は生きていた頃の胎児の記憶を持っている。その時感じていた片割れの魂の波動のようなものを感じ取っていた。
その気配は細い、蜘蛛の糸よりも細い、あるかないかすら怪しい人のようなもので、せっかく見つけたとしても風や光の加減によって見失ってしまう。
それがここ数日、紅玉は妹の気配を失わせるに感じられていた。紅玉に巻きついているようだった。
だからと行ってその糸を辿ればいいというわけでもない。
十歩進めばまだ良いほうで、糸を辿ればまたふいっと見失ってしまう。それで探すのをやめるとふいっと現れる。
それでも影弥にとってはありがたかった。何しろ彼には自分で判断すらままならないのだ。
「そうだね。明弥は隠すのがうまいからどこか見落としがあるかもね」
地図の×印を眺めて、一番最初につけた×印を指差した。
「調べ直そう」
「私はどこ行こうかな」
「君は今日と同じ」
紅玉は目を見張って影弥を見た。
それはつまり何もせずに遊んでろということだ。
「一昨日もそうだった」
「明後日もその次の日も同じだよ」
影弥はいつもそうだった。決断だけはさせて紅玉を蚊帳の外にする。
「私も行く。私なら探せる。子供遊びをする年齢でもないもの」
十四歳の見た目で止まっているが、実際に生きていたら二十二だ。駆けっこで遊ぶ歳でもない。
そもそも紅玉を認識できるものは現世にいない。なんとなく、その存在をぼんやりと感じられるものはいるが、はっきりとした姿は捉えられない。彼女の声をぼんやりと聞ける者はいるが言葉として捉えられるものはいない。
「楽しそうに走ってたじゃないか」
いつまでも子供だなと付け加えた影弥の軽口に紅玉の顔が一気に険しくなった。
寝転んでいた紅玉は素早く立ち上がって焚き火と影弥の間で地団駄を踏む。
「いつまで子供扱いなのよ!」
「怒っても変わらないよ」
影弥から見れば可愛い子供の癇癪で、紅玉からしてみればただ馬鹿にされたようにしか見えない。
「君の頭の高さが変わったら子供扱いはやめよう」
紅玉の顔が更に険しくなった。彼女はもう成長しない。永遠に変わらないとわかっていながらの台詞だ。
紅玉は地面を受けた。蹴られた土は一粒も上がらなかった。
それも腹立たしくて焚き火と影弥に背を向けて林の中へと大股で入っていく。
「どこへ行く」
「どこでもいいでしょ!」
「遠くへは行かないように」
「わかってる!」
荒れた語気で返す。
ああなったら何を言っても無駄だ。しばらくすれば帰ってくるだろう。
影弥は枝木を持ち直して燃える枝を続き、すぐに飽きていた枝木を焚き火にくべた。
眠らない二人の夜は長い。沈黙すれば更に長い。
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