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王の眼
鹿狩り
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祭りに参するも、王の娘達の役目。
9つ並べられた椅子に、それぞれ座っていた。
快晴の下、見渡す平原を鹿を追い立て走る男達の声が響く。
男達の追う、鹿は森の神。
一つ。
首を狩って捧げる、神への供物。
神自身に神を捧げる。其れは幾重にも重ね続けた聖別だった。
そして、もう一つ。
敵に囲まれた男の持ち物の中で、男が最後まで手放そうとしないのが敵の首級。
敵の、恐ろしいモノの断末魔。
此程までに私は強いのだと、云わずして示し証しする其の凶行を行う精神。
其の表情が歪んでいればいる程、敵対者の恐怖を煽り、我が身の安全を担保する。
其れはとても原始的なお守りだった。
人が考える事は、どれ程に時代が重ねられても そう簡単に変わりはしないと、鹿を狩らんと追い立てる人を見ながら思う。
「良い天気ですこと」
ホロリと、草原の上、落とされた言葉に本人すら驚いて、其の日初めて、ぎこちなく互いに視線を交わし。
「本当に。良い天気ですこと」
「気温も丁度良いですわね」
「ホントに良い春の陽で」
咲いさざめく春の日に、雲雀が高く飛んでいた。
其の日。森一番の枝角も見事な鹿の首が、高く高くに掲げられた。
9つ並べられた椅子に、それぞれ座っていた。
快晴の下、見渡す平原を鹿を追い立て走る男達の声が響く。
男達の追う、鹿は森の神。
一つ。
首を狩って捧げる、神への供物。
神自身に神を捧げる。其れは幾重にも重ね続けた聖別だった。
そして、もう一つ。
敵に囲まれた男の持ち物の中で、男が最後まで手放そうとしないのが敵の首級。
敵の、恐ろしいモノの断末魔。
此程までに私は強いのだと、云わずして示し証しする其の凶行を行う精神。
其の表情が歪んでいればいる程、敵対者の恐怖を煽り、我が身の安全を担保する。
其れはとても原始的なお守りだった。
人が考える事は、どれ程に時代が重ねられても そう簡単に変わりはしないと、鹿を狩らんと追い立てる人を見ながら思う。
「良い天気ですこと」
ホロリと、草原の上、落とされた言葉に本人すら驚いて、其の日初めて、ぎこちなく互いに視線を交わし。
「本当に。良い天気ですこと」
「気温も丁度良いですわね」
「ホントに良い春の陽で」
咲いさざめく春の日に、雲雀が高く飛んでいた。
其の日。森一番の枝角も見事な鹿の首が、高く高くに掲げられた。
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