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王の眼
糸は、切れた
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_最後に会ってから幾らか経った時に、母親を遠目に見た。
無理だった。
一気に強ばる筋肉。硬直する視線。でもアチラが此方に気づけば、直ぐに駆け出せる…もしくはアチラに飛び掛れる身体の構え。
結局、アチラは気付かずに去って行ったが、あんまりにもアンマリだ。
うっかり、かち合ってしまった人の、母と呼んだ人の、絶叫が鳴り響く。
「可哀相なのは "私"よ!! 娘を8人も喪った"私"こそが、可哀相なのよ!!」
可哀相なのは"私"で、あの子達じゃないわ!!!
…死んだ、私の姉妹たち。
もう喋ることも日を見ることも出来ないのは、彼女達。
「私達の不幸を奪って、胸元に誇らしげに飾らないで欲しい。」
"悪人こそ救われる" と聞いて、人を見る端から殺し、殺した人の首を其処らに散らして『こんなに殺したんだから最大の救いを得る』と正気の目で笑った人のように。
馬鹿な子ほど愛される、と。愚かであればある程に愛される、と知恵を放棄する人のように。
"可哀相な程、慰められる"と信じたのか。此の人は。
ああ、そうか。知らないのか。
順番で定義しているのか。直ぐに崩れ去るものを。
だから汲々としているのか。ぐらつき続ける足下に。
"悪人"は犯罪者そのものでは無い。己の中に"悪"を見つける人。"其れを[[rb:征 > ただ]]さんとする先"に救いを見る。
馬鹿を理由に愛する親は、子が弱々しく巣立てぬ事を喜ぶサディスト。子の風切り羽を切って、飛べぬお前が 愛しいと宣う異常者。
何時迄も、子に赤子であって欲しいと云う独裁者。
此の人は、己の娘の乳を吸う乳飲み子に為りたいと望む人。
貴女と共に、堕ちるは出来ぬ。
私は貴女の、救いになれぬ。
堕ちるは二人か。此の手放せば一人は堕ちぬ。
私を絡め取るには、愛が足らぬ。
貴女が与えた、愛が足らぬ。
絡みついた少しの糸は、貴女の重みで千切れていく。
貴女の堕ちる速度で、千切れていく。
此の人は、母に為るべきで無かった。
無理だった。
一気に強ばる筋肉。硬直する視線。でもアチラが此方に気づけば、直ぐに駆け出せる…もしくはアチラに飛び掛れる身体の構え。
結局、アチラは気付かずに去って行ったが、あんまりにもアンマリだ。
うっかり、かち合ってしまった人の、母と呼んだ人の、絶叫が鳴り響く。
「可哀相なのは "私"よ!! 娘を8人も喪った"私"こそが、可哀相なのよ!!」
可哀相なのは"私"で、あの子達じゃないわ!!!
…死んだ、私の姉妹たち。
もう喋ることも日を見ることも出来ないのは、彼女達。
「私達の不幸を奪って、胸元に誇らしげに飾らないで欲しい。」
"悪人こそ救われる" と聞いて、人を見る端から殺し、殺した人の首を其処らに散らして『こんなに殺したんだから最大の救いを得る』と正気の目で笑った人のように。
馬鹿な子ほど愛される、と。愚かであればある程に愛される、と知恵を放棄する人のように。
"可哀相な程、慰められる"と信じたのか。此の人は。
ああ、そうか。知らないのか。
順番で定義しているのか。直ぐに崩れ去るものを。
だから汲々としているのか。ぐらつき続ける足下に。
"悪人"は犯罪者そのものでは無い。己の中に"悪"を見つける人。"其れを[[rb:征 > ただ]]さんとする先"に救いを見る。
馬鹿を理由に愛する親は、子が弱々しく巣立てぬ事を喜ぶサディスト。子の風切り羽を切って、飛べぬお前が 愛しいと宣う異常者。
何時迄も、子に赤子であって欲しいと云う独裁者。
此の人は、己の娘の乳を吸う乳飲み子に為りたいと望む人。
貴女と共に、堕ちるは出来ぬ。
私は貴女の、救いになれぬ。
堕ちるは二人か。此の手放せば一人は堕ちぬ。
私を絡め取るには、愛が足らぬ。
貴女が与えた、愛が足らぬ。
絡みついた少しの糸は、貴女の重みで千切れていく。
貴女の堕ちる速度で、千切れていく。
此の人は、母に為るべきで無かった。
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