婚約破棄を回避しないと ~頭を打ったら前世の記憶が蘇りました!

夜空のかけら

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5 公爵家の闇部隊

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翌朝、早起きをし朝食を食べ、いつもよりも早く馬車で公爵邸にサージュを迎えに行った。
サージュは準備万端で待っていてくれた。

「おはようサージュ」
「おはようございますセネクス王子」
「今日はよろしく頼む」
「はい」

手出しはいいようだ。
でも、馬車が走り出してから何を話せばいいのか分からない。

「セネクス王子は、マスミさんのことはもういいのですか?」
「マスミとは縁を切る。マスミは地位と金、貴金属やドレスのことしか頭にない。邪魔になればどんな手でも排除するだろう。君にも影響が及ぶかもしれない。だから、しばらくの間王家の影をつけさせてもらう。それで危険はなくなるはずだ」

王家の影は、親衛隊と違い姿を見せずに対象者を完全に守る。
全体を知っているのは、父…国王だけだが、事情を話せば王家の者の要望には従ってくれる。
まだ得体の知れない力は見たことがないが、大事があってからでは遅い。
先手先手を打たなければ、あの光景に似たものを見たら破滅だ。

「王家の影ですか。お父さまも私に護衛を付けると言っていました」
「公爵家の闇か」

公爵家にも王家の影と同じような組織がある。
国王からの王命により、なんでもこなす必要のある彼らのことは公爵家の闇と言われ、最強の暗躍部隊である。
知っているのは、国王と俺、公爵、サージュなど少ない。

「はい。どこにいるのか分かりませんが、朝から付いているとのことです」
「それは安心だ。彼らでうまくやってくれるだろう」

同種の暗躍部隊だけあって、意思疎通は任せておけばいいか。
そして、サージュとの会話も少しできた。
久しぶりに貴族らしい会話ができた気がした。

マスミとの会話は貴族にはない新鮮さというのがあったと思っていたが、よく考えると軽い会話が多かった気がする。
知的な会話は皆無だったのに、それが好ましいと思っていたのだから、今から思えば異常としか思えない。
これもあの前世の記憶の影響だ。
あれがなかったらと思うと恐ろしい。

馬車は学園に到着し、先に降りてサージュを支える。
2人で連れ立って教室へ向う。
あの4人はやはり教室にはいなかった。
きっとマスミの所へ行っているのだろう。

ホームルームが始まる直前に彼らが教室へ入って来た。
そして、俺の姿を見ると、何も言わずに各々の席へ着いた。
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