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7 正しい道へ誘導するための

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お茶会が終わった夕刻、父・国王に呼ばれた。

「4人の側近候補は、お前を蔑ろにしたとして籍を抜くことになった。新しい側近候補を立てることにした」

とうとう前世の記憶とほぼ合致するものが出た。
記憶では、4人は側近候補を取り消され、それまでに得た知識などでの影響を排除するため廃嫡幽閉婚約破棄となるはずだった。
しかし、籍を抜くという一段上の措置になった。
貴族籍を抜いた場合、その者は始めからその貴族家に生まれなかったことになる。もちろん、平民となる。
御用商人の場合なら、後継者として認めず文字通り家からの追放である。4人のうちで最も身分が低い平民になるだろう。いや、もしかすると犯罪奴隷扱いかもしれない。
教祖はどう判断したか分からないが、幽閉は決定だろう。
教会にはいくつかの秘儀があり、それを外部に漏らされては困るからだ。
何はともあれ、4人と学園で会うことはもうないだろう。

そして、マスミの処遇だ。

「4人とお前を唆したマスミは、既に収監してある。罪状は、国家転覆罪だ」
「国家転覆…」

記憶にもある。
彼女は、隣国の軍事国家のスパイである。
目的は、俺らを唆して自分の思い通りの傀儡に仕上げること。
現国王が諸国遊説の際に、クーデターを起こすつもりだったのだ。

国王はその計画が進んでいたことを掴んでいた。
きっと、王家の影をマスミにも付けていたのだろう。

「お前も卒業要件は全て満たしている状態だから、学園に行く必要はない。サージュも同様だから、近いうちに王宮へ住まいを移し王太子妃教育の再開しようと思っているからそのつもりでな」
「はい、分かりました」

急遽決まった内容でも、前世の記憶でも同じようなものがあった。
その時は、俺も含めて廃嫡されてしまっていたのだが。
着実に歴史は変わっている。
大丈夫、大丈夫だ。

部屋への帰り際、たまたま向かいから歩いてきた内務大臣に会った。

「内務大臣、ちょっといいか?」
「セネクス王子、なんでしょうか」
「前世の記憶…そう言えば分かるか」
「ふむ。ここでは話せませんな」
「私室へ行こう」

内務大臣を私室に隣接する客間に案内する。

「セネクス王子は、何度目ですかな」
「何度目?」
「前世の記憶と仰いましたな、最初でしょうか」
「確かに以前はこんなことはなかった」
「王族は、その身の力に国を正しい方向へ導くことができるようになっています。夢や衝撃などで何かを成す時に結果を先に見てしまうのだそうです。そこで、結果が悪ければそうならないように、結果が良ければそうなるように行動を起すのです。セネクス王子は、何か良からぬことを見て、最近の行動を変えようとしたのでしょう。それは正しく王族の力。正しい利用の仕方であれば恐ろしいものではありません。今後も助けられることが何度もあるでしょう。気を楽にしていれば良いと思います」
「そうか。大臣達はこの記憶について知っているのだな」
「記憶自体は知りません。ですが、政策実行前にその効果がどのようなものかの説明を聞けば、そして、前任者からの伝達である程度のことは知っています」
「あの記憶はそうだったのか」

聞いてみれば納得した。
恐ろしい結末を迎えないために、前世の記憶として警告が出ていたのだろう。
そして、それはこれからも似た形での警告があるという。

「警告になるか、通告になるかは分かりません。でも、それに従うだけではなく、きちんと調べて行動することも必要です。私どももセネクス王子が正しい判断をすることを望んでいますよ」

内務大臣は、そう言うと部屋を出て行った。
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