婚約者はいるから…

夜空のかけら

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1 信じないから、私が候補?

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「王子の婚約者に相応しいのは、聖女の力を持ち公爵令嬢である私です」
「いえいえ、私は賢者です。聖女は教会で無料奉仕が基本。こんな所へ来んな」
「みんな分かっていないなぁ、大魔法使いなら聖女の術も賢者の博識も持ってる。比べものにならないね」

学園では王子の婚約者になろうとしている3人の女性がいる。
しかし、おかしいと思わないのか。
王子の俺は既に17歳で、婚約者がいないと言われて居ること自体が。
王族、第一王子、王位継承者、17歳、婚約者がいない…訳がないでしょう。
きちんと隣国のセルカ王女との結婚を控えています。
卒業後に結婚の予定だから、あと1年と少しだな。
関係は良好だし、聖女の術も賢者の博識も魔法使いではなく魔導師(魔法使いより偉い)。
君たちとは全然比較にならないことを。

「ピクシス王子さま、大丈夫ですかニヤニヤしていますよ」
「大丈夫、大丈夫。それよりここにいるとまた絡まれるよ」
「私は大丈夫です。ピクシス王子さまの傍にいつまでもいさせて下さい。婚約者じゃなくて、幼馴染み…じゃなくて、話相手として」

こいつは、王宮庭師の娘で聖女でも賢者でも魔法使いでもない、ただの平民だがなぜか勘がすごく良く、何度も危機的状況から救ってもらっている。
今は、王家の影に所属しているし、ボディーガードの一人になっているが…周りはそう見ていない。

「ちょっと、抜け駆けですよ。アイリス」
「なんですか自称聖女のエルデさん」
「自称じゃないわよ」
「ぷぷぷ、自称聖女って笑うわね」
「愚者のルールさん。重いって言われませんか」
「そっちのルールじゃないわよ」
「レントさんは混じらないようですね」
「あなたの相手はしない。そう決めているので」

でも律儀に答えを返している。
根が真面目なんだろう。

こんな話を俺中心にしないで欲しい。
セルカ王女が見たら面白がるに決まっている。
見ても誤解などするわけもなく、俺に対する理解度は凄いから、こっちが圧倒される。
ちなみにセルカ王女と庭師娘アイリスはとっても仲が良い。
身分差があっても侍女になれるほどの器量持ちのアイリスには俺以上にベタ惚れなのだ。

そして、3人の自称婚約者候補はいつも騒がしい。
いつになったら、セルカ王女のことに気がつくのか。
別に隠している訳じゃない。
きちんと公開している。

狙いは王妃ではなく側妃なのか?
いや、いらないから君たちは。
あえてなら、アイリスがいい。
本人は拒否するだろうけどね。
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