約束の続き

夜空のかけら

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第9章 理の使命2

78 隠蔽された街

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お姉ちゃんは、遠くなった出発地点の辺りを凝視していたようだった。
あいつと私が少し歩いて、お姉ちゃんの方を見たら、立ち止まって出発地点の辺りを見ながら口が少し動いていた。でも、何を言っているのか分からない。声は、出ていなかったようにも思う。
そんな私に気が付いたのか、くるっとこっちを向いて、
「ん?どうしたの?先は長いから、どんどん行きましょう。」
急に明るくなったような印象があったけれど、街までは、確かに遠い。だから、お姉ちゃんを見て、すぐに前を向いてしまった。
お姉ちゃんは、また、少し後ろを見て、顔を下にして頭を左右に振らしてから、吹っ切りましたという感じで先頭を切って、歩き出した。だから、お姉ちゃんがどういう顔をしているか、分からなかった。
お姉ちゃんに、声を掛けようとしたら、あいつが、
「そっとしておきな。何か、思いつめたような感じで、今、刺激するのはまずい。」
手を伸ばしかけた、その腕を身体で抱え込まれた上に、少し抑え気味の声で言われてしまい、雰囲気に飲まれるように、腕を下げ、少し暗いような、お姉ちゃんの明るい声。でも、少し無理をしているような感じの複雑な状況のまま、街へ向かって歩いていった。

***
ちょっとびっくり。街へ向かっている時だった。
まだ、街は遠いねぇなんて話をしていた時に、いきなり隣に人が現れた。
あいつとお姉ちゃんは、やっと話しかけてくれたという感じだったのに、私は分からなかったから、驚いで倒れそうになってしまった。
…ええ、あいつに抱き着かれながら、転倒は阻止されました。
変な修羅場だった私たちを見ないことにしたのか、出現した人はお姉ちゃんに、街への来訪目的などを聞いています。

「こんにちは、失礼ですが、3人でどちらを目指して、いらっしゃいますか?」
「遠くに見えている、あの街へ行こうかと思っています。」
「ああ、街へ来られるということですね。目的は何かありますか。」
「いいえ、他に行くところもないので、とりあえず目に入った街と言うことですが。」
「なるほど。非常に不躾なのですが、3人…いえ、3神さまたちは、固有名称がおありですか?」
「私とこの子が、創世の女神。この男の子が、破壊の神さまです。」
「…。」
ちょ!私は慌てて、あいつを引き剥がしつつ、小声で
「お姉ちゃん!そんなことしゃべっていいの?」
聞いたら、
「なんだか、私たちのこと、バレているっぽいよ。言い直したし。」
あいつが、引き剥がされないように、更に強く抱き着いてくる。ええい、鬱陶しい。
あいつと私の一進一退の攻防のさなかに、会話は、終わってしまったらしい。
あいつを引き剥がすのに成功した私は、お姉ちゃんに向き合うと、さっきまでの人は既にいなくなってた。
お姉ちゃんは、
「街へは、到着したようよ。」
と、意味不可解な言葉。
「え?ここは、まだ街から遠いでしょ。ほら、あんなに遠いところに街が…え?」
遠いところに、確かに今まで見てきた街はありました。
でも、そうするとすぐ隣でカーテンを揺らすかのように波打っている巨大な建造物はなんなのでしょうか。
今まで、そんなの見えていなかったのに。
お姉ちゃんが、
「ここは、外敵から街を守るための結界があって、それで見えていなかったんだって。しかも、神様でも分からないくらいの隠蔽技術というか何かがあるみたいね。」
神様を出し抜く隠蔽技術とは、何なんだろう?
「まずは、街へ入るための門まで来てほしいようよ。そこで、この街の説明をするって、さっきの人は言っていたわね。」
その言葉に従い、ゆらゆらする建造物沿いに歩き、門のところまで来た。
門は開け放たれていた。誰もいないように見える。
3人で、門をくぐる。
すると、いきなり多くの人が行きかう大通りに出た。思わず、後ろを見ると、門が閉まった状態でそこにある。門の両隣は、門の外で見た巨大な建造物だった。もう、ゆらゆらしていない。

「ようこそお越しくださいました。先ほどは、失礼しました。私が、この街を簡単に説明させていただきます。」
そう言って、頭に白くて高さがある帽子をかぶり、服装は真っ白な男性が会釈をした。
帽子が落ちるって心配したけれど、落ちなかった。
お姉ちゃんが、
「えー、パン屋さん?」
何故か嬉しそうな顔をした方が、
「はい。そうなんです。パン屋の主人で、第20代、のんびり猫亭のパン屋の主人で、トリアと言います。よろしくお願いします。ああ、説明はこんなところで立ち話もなんなので、私のパン屋でしますね。自慢のパンを食べながら、いろいろ説明します。もちろん、飲食代は不要ですよ。」
そのパン屋さんは、大通りの左側にあった。その反対側にも1軒のパン屋さんが…パン屋さんの名前は
「…すばやい犬亭。」
ライバル店か?
私の視線を追って、そのパン屋を見た主人は、にっこり笑って、私たちをパン屋さんへ誘導。パン屋さんの中に併設されているカフェに案内すると、この街について、話を始めた。
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