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罠
★アーヴァイン殿下視点★
トルマト国との交渉の成功でカイルが王太子に内定してしまった。
この苦境を覆すには何か大きな事件を起こす必要がある。
第一王子派の不祥事。一番効果的なのはレーモント公爵家だ。
俺はサーフィスに目を付けた。
あの臆病な男を罠に嵌め、王子暗殺未遂の罪を被せてやろう。
最近目障りになってきたところだった。
「おい、サーフィスを嵌めるぞ。協力しろ!」
俺は側近や護衛を集めて計画を説明した。
シナリオはこうだ。
セレナを誘拐して俺を呼び出したサーフィスが俺を殺害しようとして剣を向けるが、俺が咄嗟に剣をよけてサーフィスを拘束。そこに護衛騎士が到着する。
シナリオ通りの状況を作り出すため、サーフィスを誘拐した。今は薬で眠っている。
「お前の人生はもう終わりだ。お前のような弱虫にはこんな事出来ないだろう?」
俺は自分の腕に剣を当て滑らせた。
ポタ、ポタ、ポタ
服と表面の皮膚が薄く斬れ、俺の腕から血が滴り落ちる。
俺はサーフィスに腕を斬って血が付いている剣を握らせた。
★サーフィス視点★
目が覚めると僕は床に寝かされ、手には剣を握らされていた。
「なに?」
目の前には腕を押さえるアーヴァイン殿下が。腕からは血が流れ、床を血で汚している。
「きゃーーーーーーー!!!!アーヴァイン様~~~。」
切り裂くような甲高い叫び声に驚いて、声のする方を見ると椅子に縛られたセレナ嬢がいて泣き喚いている。
そこへアーヴァイン殿下の護衛三名が室内へなだれ込んで来た。
「サーフィスっ!貴様!殿下に剣を向けるとはっっ!!」
あっという間に僕は拘束された。
「アーヴァイン殿下の暗殺未遂だ!」
「僕は何もしていない!」
「とぼけるなっ!お前の握っている剣で殿下の腕が斬られているではないか!!」
「っ!」
しかし、次の瞬間別の近衛騎士数名が部屋になだれ込んできた。
「な、なんだ!」
殿下と僕を取り押さえている護衛は何が起こったのが分からない様子で慌てている。
そして僕も見たことのある近衛騎士団長が最後に部屋に入って来た。そしてアーヴァイン殿下にゆっくり近づく。
「殿下……。」
「よく来てくれた、レイト!こいつがセレナを誘拐して俺を呼び出したんだ!セレナを人質にして俺に斬りかかったが間一髪で避けた。だが腕を切られてしまったようだ。」
アーヴァイン殿下は興奮して捲し立てるように近衛兵団長に状況を説明しているが、近衛騎士団長は眉一つ動かさず、冷静な表情で殿下を見つめていた。
「ど、どうした?」
流石にレイトと呼ばれる近衛騎士団長の様子がおかしい事に殿下が気付いた。
「アーヴァイン殿下、……殿下が自ら腕を斬ってその剣を眠っているサーフィス殿に握らせるところまで全部を見ていました。」
旧知の仲であったであろう近衛騎士団長は残念そうに殿下へと真実を告げた。
「なっっ!!」
「一緒に陛下の元へ。」
椅子に縛られたままのセレナ嬢が声を上げる。
「あなたっ!相手は殿下よ!殿下の言うとおりにしなさいよ!」
近衛騎士団長は冷たい視線をセレナ嬢に向けた。
「貴女も狂言誘拐の罪で拘束します。」
「そんなっ!」
アーヴァイン殿下が僕をギラリと睨んだ。
「こんなこと……こいつ一人の口を塞げば済む話だ。」
「っ!」
殿下が僕から剣を奪った。
キィーン、ガシャーーン
僕を斬ろうとした殿下の剣を近衛騎士団長が叩き落とした。
「無駄です。殿下。もう計画は漏れていましたし、目撃者は他にもいます。私達近衛だけではなく、街の自警団の団長もサーフィス様の捜索でこの場に来て全てを見ていました。勿論私も目撃したことはそのまま陛下に報告しますよ。」
アーヴァイン殿下は力無く項垂れて近衛騎士に連れて行かれた。
もう諦めているのだろう。
セレナは一旦縄を解かれて椅子から立たされる。回り込んだ騎士に後ろ手を拘束されながら俺を睨み付けた。
「元婚約者をこんな風に罠に嵌めるなんてっ!サイテー!!やり方が陰湿だわ!」
僕は何も言い返さずセレナを見送った。
トルマト国との交渉の成功でカイルが王太子に内定してしまった。
この苦境を覆すには何か大きな事件を起こす必要がある。
第一王子派の不祥事。一番効果的なのはレーモント公爵家だ。
俺はサーフィスに目を付けた。
あの臆病な男を罠に嵌め、王子暗殺未遂の罪を被せてやろう。
最近目障りになってきたところだった。
「おい、サーフィスを嵌めるぞ。協力しろ!」
俺は側近や護衛を集めて計画を説明した。
シナリオはこうだ。
セレナを誘拐して俺を呼び出したサーフィスが俺を殺害しようとして剣を向けるが、俺が咄嗟に剣をよけてサーフィスを拘束。そこに護衛騎士が到着する。
シナリオ通りの状況を作り出すため、サーフィスを誘拐した。今は薬で眠っている。
「お前の人生はもう終わりだ。お前のような弱虫にはこんな事出来ないだろう?」
俺は自分の腕に剣を当て滑らせた。
ポタ、ポタ、ポタ
服と表面の皮膚が薄く斬れ、俺の腕から血が滴り落ちる。
俺はサーフィスに腕を斬って血が付いている剣を握らせた。
★サーフィス視点★
目が覚めると僕は床に寝かされ、手には剣を握らされていた。
「なに?」
目の前には腕を押さえるアーヴァイン殿下が。腕からは血が流れ、床を血で汚している。
「きゃーーーーーーー!!!!アーヴァイン様~~~。」
切り裂くような甲高い叫び声に驚いて、声のする方を見ると椅子に縛られたセレナ嬢がいて泣き喚いている。
そこへアーヴァイン殿下の護衛三名が室内へなだれ込んで来た。
「サーフィスっ!貴様!殿下に剣を向けるとはっっ!!」
あっという間に僕は拘束された。
「アーヴァイン殿下の暗殺未遂だ!」
「僕は何もしていない!」
「とぼけるなっ!お前の握っている剣で殿下の腕が斬られているではないか!!」
「っ!」
しかし、次の瞬間別の近衛騎士数名が部屋になだれ込んできた。
「な、なんだ!」
殿下と僕を取り押さえている護衛は何が起こったのが分からない様子で慌てている。
そして僕も見たことのある近衛騎士団長が最後に部屋に入って来た。そしてアーヴァイン殿下にゆっくり近づく。
「殿下……。」
「よく来てくれた、レイト!こいつがセレナを誘拐して俺を呼び出したんだ!セレナを人質にして俺に斬りかかったが間一髪で避けた。だが腕を切られてしまったようだ。」
アーヴァイン殿下は興奮して捲し立てるように近衛兵団長に状況を説明しているが、近衛騎士団長は眉一つ動かさず、冷静な表情で殿下を見つめていた。
「ど、どうした?」
流石にレイトと呼ばれる近衛騎士団長の様子がおかしい事に殿下が気付いた。
「アーヴァイン殿下、……殿下が自ら腕を斬ってその剣を眠っているサーフィス殿に握らせるところまで全部を見ていました。」
旧知の仲であったであろう近衛騎士団長は残念そうに殿下へと真実を告げた。
「なっっ!!」
「一緒に陛下の元へ。」
椅子に縛られたままのセレナ嬢が声を上げる。
「あなたっ!相手は殿下よ!殿下の言うとおりにしなさいよ!」
近衛騎士団長は冷たい視線をセレナ嬢に向けた。
「貴女も狂言誘拐の罪で拘束します。」
「そんなっ!」
アーヴァイン殿下が僕をギラリと睨んだ。
「こんなこと……こいつ一人の口を塞げば済む話だ。」
「っ!」
殿下が僕から剣を奪った。
キィーン、ガシャーーン
僕を斬ろうとした殿下の剣を近衛騎士団長が叩き落とした。
「無駄です。殿下。もう計画は漏れていましたし、目撃者は他にもいます。私達近衛だけではなく、街の自警団の団長もサーフィス様の捜索でこの場に来て全てを見ていました。勿論私も目撃したことはそのまま陛下に報告しますよ。」
アーヴァイン殿下は力無く項垂れて近衛騎士に連れて行かれた。
もう諦めているのだろう。
セレナは一旦縄を解かれて椅子から立たされる。回り込んだ騎士に後ろ手を拘束されながら俺を睨み付けた。
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僕は何も言い返さずセレナを見送った。
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