私は姉の婚約者を奪うような悪女じゃない!

文字の大きさ
17 / 20

★アーヴァイン殿下視点★

トルマト国との交渉の成功でカイルが王太子に内定してしまった。
この苦境を覆すには何か大きな事件を起こす必要がある。
第一王子派の不祥事。一番効果的なのはレーモント公爵家だ。
俺はサーフィスに目を付けた。
あの臆病な男を罠に嵌め、王子暗殺未遂の罪を被せてやろう。
最近目障りになってきたところだった。

「おい、サーフィスを嵌めるぞ。協力しろ!」

俺は側近や護衛を集めて計画を説明した。

シナリオはこうだ。

セレナを誘拐して俺を呼び出したサーフィスが俺を殺害しようとして剣を向けるが、俺が咄嗟に剣をよけてサーフィスを拘束。そこに護衛騎士が到着する。


シナリオ通りの状況を作り出すため、サーフィスを誘拐した。今は薬で眠っている。

「お前の人生はもう終わりだ。お前のような弱虫にはこんな事出来ないだろう?」

俺は自分の腕に剣を当て滑らせた。

ポタ、ポタ、ポタ
服と表面の皮膚が薄く斬れ、俺の腕から血が滴り落ちる。

俺はサーフィスに腕を斬って血が付いている剣を握らせた。


★サーフィス視点★


目が覚めると僕は床に寝かされ、手には剣を握らされていた。
「なに?」

目の前には腕を押さえるアーヴァイン殿下が。腕からは血が流れ、床を血で汚している。

「きゃーーーーーーー!!!!アーヴァイン様~~~。」

切り裂くような甲高い叫び声に驚いて、声のする方を見ると椅子に縛られたセレナ嬢がいて泣き喚いている。

そこへアーヴァイン殿下の護衛三名が室内へなだれ込んで来た。
「サーフィスっ!貴様!殿下に剣を向けるとはっっ!!」
あっという間に僕は拘束された。

「アーヴァイン殿下の暗殺未遂だ!」
「僕は何もしていない!」
「とぼけるなっ!お前の握っている剣で殿下の腕が斬られているではないか!!」
「っ!」



しかし、次の瞬間別の近衛騎士数名が部屋になだれ込んできた。

「な、なんだ!」

殿下と僕を取り押さえている護衛は何が起こったのが分からない様子で慌てている。
そして僕も見たことのある近衛騎士団長が最後に部屋に入って来た。そしてアーヴァイン殿下にゆっくり近づく。

「殿下……。」
「よく来てくれた、レイト!こいつがセレナを誘拐して俺を呼び出したんだ!セレナを人質にして俺に斬りかかったが間一髪で避けた。だが腕を切られてしまったようだ。」

アーヴァイン殿下は興奮して捲し立てるように近衛兵団長に状況を説明しているが、近衛騎士団長は眉一つ動かさず、冷静な表情で殿下を見つめていた。

「ど、どうした?」

流石にレイトと呼ばれる近衛騎士団長の様子がおかしい事に殿下が気付いた。

「アーヴァイン殿下、……殿下が自ら腕を斬ってその剣を眠っているサーフィス殿に握らせるところまで全部を見ていました。」

旧知の仲であったであろう近衛騎士団長は残念そうに殿下へと真実を告げた。

「なっっ!!」
「一緒に陛下の元へ。」

椅子に縛られたままのセレナ嬢が声を上げる。

「あなたっ!相手は殿下よ!殿下の言うとおりにしなさいよ!」

近衛騎士団長は冷たい視線をセレナ嬢に向けた。

「貴女も狂言誘拐の罪で拘束します。」 
「そんなっ!」

アーヴァイン殿下が僕をギラリと睨んだ。

「こんなこと……こいつ一人の口を塞げば済む話だ。」
「っ!」

殿下が僕から剣を奪った。

キィーン、ガシャーーン

僕を斬ろうとした殿下の剣を近衛騎士団長が叩き落とした。

「無駄です。殿下。もう計画は漏れていましたし、目撃者は他にもいます。私達近衛だけではなく、街の自警団の団長もサーフィス様の捜索でこの場に来て全てを見ていました。勿論私も目撃したことはそのまま陛下に報告しますよ。」

アーヴァイン殿下は力無く項垂れて近衛騎士に連れて行かれた。
もう諦めているのだろう。

セレナは一旦縄を解かれて椅子から立たされる。回り込んだ騎士に後ろ手を拘束されながら俺を睨み付けた。

「元婚約者をこんな風に罠に嵌めるなんてっ!サイテー!!やり方が陰湿だわ!」

僕は何も言い返さずセレナを見送った。
感想 39

あなたにおすすめの小説

拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様

オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

ただ誰かにとって必要な存在になりたかった

風見ゆうみ
恋愛
19歳になった伯爵令嬢の私、ラノア・ナンルーは同じく伯爵家の当主ビューホ・トライトと結婚した。 その日の夜、ビューホ様はこう言った。 「俺には小さい頃から思い合っている平民のフィナという人がいる。俺とフィナの間に君が入る隙はない。彼女の事は母上も気に入っているんだ。だから君はお飾りの妻だ。特に何もしなくていい。それから、フィナを君の侍女にするから」 家族に疎まれて育った私には、酷い仕打ちを受けるのは当たり前になりすぎていて、どう反応する事が正しいのかわからなかった。 結婚した初日から私は自分が望んでいた様な妻ではなく、お飾りの妻になった。 お飾りの妻でいい。 私を必要としてくれるなら…。 一度はそう思った私だったけれど、とあるきっかけで、公爵令息と知り合う事になり、状況は一変! こんな人に必要とされても意味がないと感じた私は離縁を決意する。 ※「ただ誰かに必要とされたかった」から、タイトルを変更致しました。 ※クズが多いです。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※独特の世界観です。 ※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

婚約破棄でみんな幸せ!~嫌われ令嬢の円満婚約解消術~

春野こもも
恋愛
わたくしの名前はエルザ=フォーゲル、16才でございます。 6才の時に初めて顔をあわせた婚約者のレオンハルト殿下に「こんな醜女と結婚するなんて嫌だ! 僕は大きくなったら好きな人と結婚したい!」と言われてしまいました。そんな殿下に憤慨する家族と使用人。 14歳の春、学園に転入してきた男爵令嬢と2人で、人目もはばからず仲良く歩くレオンハルト殿下。再び憤慨するわたくしの愛する家族や使用人の心の安寧のために、エルザは円満な婚約解消を目指します。そのために作成したのは「婚約破棄承諾書」。殿下と男爵令嬢、お二人に愛を育んでいただくためにも、後はレオンハルト殿下の署名さえいただければみんな幸せ婚約破棄が成立します! 前編・後編の全2話です。残酷描写は保険です。 【小説家になろうデイリーランキング1位いただきました――2019/6/17】

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

婚約者を寝取った妹に……

tartan321
恋愛
タイトル通りです。復讐劇です。明日完結します。

「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ

猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。 当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。 それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。 そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。 美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。 「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」 『・・・・オメエの嫁だよ』 執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?