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私の友達
しおりを挟むカトリーナ視点
私の友達リズリーネは、聖女。
8歳から神殿に籠りきりだったらしくて、驚くほど世間知らず。
最初はお母様の友人のオルフェ伯爵夫人から頼まれて、社交界の噂話から彼女を守るために友達になった。
だけど今では本当にリズの事が大好き。親友って言っていいと思う。
ちょっとずれたところもあるけれど、人懐っこい笑顔が可愛くて、私達の悩み事も親身になって聞いてくれる。
だから私の友達も皆リズが大好きになった。
親密な友人しか誘わないパジャマパーティーにも誘ったし、みんなで旅行にも行った。
よく笑ってよく食べるリズはごく普通の少女に見えた。
だから、こんな風に別れることになるなんて思わなかった。
☆
ある日、神殿の守護水晶が破壊され、国が瘴気に覆われそうになった。空の色は変わり、私の家でも使用人たちが国が滅びると大騒ぎしていた。
リズの代わりに守護水晶を守ることになった救世主の仕業。
私も空を見た。不吉な暗赤色は胸をざわつかせた。
その空を元の色に戻してくれたのはリズだった。
彼女は国を守るため犠牲になったんだって、お父様が教えてくれた。
「カトリーナ、君との時間が聖女様にとって一番楽しい思い出だったそうだ」
リズからの手紙を、お父様がそっと差し出した。
そこには友達になったお礼が書かれていて……。こちらこそって思う。
普通の女の子に見えたけど、彼女はやっぱり聖女だった。
☆
神殿に救世主が現れて、リズが聖女の役割から開放された後、一番最初に友達になったのは私達。
社交界にはリズと殿下との婚約解消について、良からぬ噂を立てるような人もいた。
だけど、仲良しになってから知った。
リズとアルフレード殿下は政略的な間柄じゃないんだって。
アルフレード殿下はリズとの婚約解消の後からどんどん窶れていったし、リズも他の男性のアプローチは断っていた。
リズが居なくなり、救世主も捕まり、アルフレード殿下の婚約者の座は空くことになった。一部の令嬢が、殿下の婚約者の座を狙ってるけど、私は無理だと思う。
アルフレード殿下はリズが居なくなってから人が変わったようになったって噂。
自分を追い込むように執務に励み、その顔には悲壮感すら漂う。
今は救世主ルナの裁判に向けて、睡眠も食事も削っていて、王宮で会う殿下はガリガリになったってお父様が言ってた。
そして、救世主ルナの裁判が終わったら、アルフレード殿下が、魔法王国イシュールに行くことが発表された。
王太子としての政務は、しばらく王弟殿下が代行なさる。
魔法王国イシュールは海を渡った向こうの大陸。海賊たちが多くて危険だと言われている海域を渡らなければ行けないから、命懸けの旅になる。
だけど、それでもイシュール王国に向かうのは、リズのことがあったからだと思う。
アルフレード殿下は、誰も犠牲にしないで国を守る方法を探しに行くらしい。
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