異界からの救世主が来て、聖女の私はお役御免です。

文字の大きさ
22 / 26

私の友達

しおりを挟む

 カトリーナ視点

 
 私の友達リズリーネは、聖女。
 8歳から神殿に籠りきりだったらしくて、驚くほど世間知らず。 
 最初はお母様の友人のオルフェ伯爵夫人から頼まれて、社交界の噂話から彼女を守るために友達になった。
 
 だけど今では本当にリズの事が大好き。親友って言っていいと思う。

 ちょっとずれたところもあるけれど、人懐っこい笑顔が可愛くて、私達の悩み事も親身になって聞いてくれる。

 だから私の友達も皆リズが大好きになった。

 親密な友人しか誘わないパジャマパーティーにも誘ったし、みんなで旅行にも行った。

 よく笑ってよく食べるリズはごく普通の少女に見えた。

 だから、こんな風に別れることになるなんて思わなかった。







 ある日、神殿の守護水晶が破壊され、国が瘴気に覆われそうになった。空の色は変わり、私の家でも使用人たちが国が滅びると大騒ぎしていた。
 リズの代わりに守護水晶を守ることになった救世主の仕業。

 私も空を見た。不吉な暗赤色は胸をざわつかせた。

 その空を元の色に戻してくれたのはリズだった。
 彼女は国を守るため犠牲になったんだって、お父様が教えてくれた。

「カトリーナ、君との時間が聖女様にとって一番楽しい思い出だったそうだ」

 リズからの手紙を、お父様がそっと差し出した。
 そこには友達になったお礼が書かれていて……。こちらこそって思う。

 普通の女の子に見えたけど、彼女はやっぱり聖女だった。


 ☆


 神殿に救世主が現れて、リズが聖女の役割から開放された後、一番最初に友達になったのは私達。
 社交界にはリズと殿下との婚約解消について、良からぬ噂を立てるような人もいた。

 だけど、仲良しになってから知った。
 リズとアルフレード殿下は政略的な間柄じゃないんだって。

 アルフレード殿下はリズとの婚約解消の後からどんどん窶れていったし、リズも他の男性のアプローチは断っていた。

 リズが居なくなり、救世主も捕まり、アルフレード殿下の婚約者の座は空くことになった。一部の令嬢が、殿下の婚約者の座を狙ってるけど、私は無理だと思う。

 アルフレード殿下はリズが居なくなってから人が変わったようになったって噂。
 自分を追い込むように執務に励み、その顔には悲壮感すら漂う。
 今は救世主ルナの裁判に向けて、睡眠も食事も削っていて、王宮で会う殿下はガリガリになったってお父様が言ってた。

 そして、救世主ルナの裁判が終わったら、アルフレード殿下が、魔法王国イシュールに行くことが発表された。
 王太子としての政務は、しばらく王弟殿下が代行なさる。

 魔法王国イシュールは海を渡った向こうの大陸。海賊たちが多くて危険だと言われている海域を渡らなければ行けないから、命懸けの旅になる。
 だけど、それでもイシュール王国に向かうのは、リズのことがあったからだと思う。

 アルフレード殿下は、誰も犠牲にしないで国を守る方法を探しに行くらしい。
 
 

しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

召喚聖女が来たのでお前は用済みだと追放されましたが、今更帰って来いと言われても無理ですから

神崎 ルナ
恋愛
 アイリーンは聖女のお役目を10年以上してきた。    だが、今回とても強い力を持った聖女を異世界から召喚できた、ということでアイリーンは婚約破棄され、さらに冤罪を着せられ、国外追放されてしまう。  その後、異世界から召喚された聖女は能力は高いがさぼり癖がひどく、これならばアイリーンの方が何倍もマシ、と迎えが来るが既にアイリーンは新しい生活を手に入れていた。  

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

義妹に苛められているらしいのですが・・・

天海月
恋愛
穏やかだった男爵令嬢エレーヌの日常は、崩れ去ってしまった。 その原因は、最近屋敷にやってきた義妹のカノンだった。 彼女は遠縁の娘で、両親を亡くした後、親類中をたらい回しにされていたという。 それを不憫に思ったエレーヌの父が、彼女を引き取ると申し出たらしい。 儚げな美しさを持ち、常に柔和な笑みを湛えているカノンに、いつしか皆エレーヌのことなど忘れ、夢中になってしまい、気が付くと、婚約者までも彼女の虜だった。 そして、エレーヌが持っていた高価なドレスや宝飾品の殆どもカノンのものになってしまい、彼女の侍女だけはあんな義妹は許せないと憤慨するが・・・。

過去の青き聖女、未来の白き令嬢

手嶋ゆき
恋愛
私は聖女で、その結婚相手は王子様だと前から決まっていた。聖女を国につなぎ止めるだけの結婚。そして、聖女の力はいずれ王国にとって不要になる。 一方、外見も内面も私が勝てないような公爵家の「白き令嬢」が王子に近づいていた。

黒の聖女、白の聖女に復讐したい

夜桜
恋愛
婚約破棄だ。 その言葉を口にした瞬間、婚約者は死ぬ。 黒の聖女・エイトは伯爵と婚約していた。 だが、伯爵は白の聖女として有名なエイトの妹と関係をもっていた。 だから、言ってはならない“あの言葉”を口にした瞬間、伯爵は罰を受けるのだった。 ※イラストは登場人物の『アインス』です

自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?

長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。 王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、 「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」 あることないこと言われて、我慢の限界! 絶対にあなたなんかに王子様は渡さない! これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー! *旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。 *小説家になろうでも掲載しています。

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

処理中です...