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殿下は救世主にご執心?
しおりを挟む今まで貴族令嬢としての社交をほとんどしてこなかった私に、お母様はティーパーティーを開いてくれた。
招いたのは、私と年齢が近くてオルフェ伯爵家と親交の深い家門の令嬢たち。
神殿に籠りきりだった私に女同士の駆け引きなんて無理だと判断しての人選だと思う。
ティーパーティーに参加してくれたのは、カトリーナ様と、レイス様、そしてメイジー様。皆様私の婚約解消の件には触れず、最近の社交界の動向や流行っている物を教えてくれた。
打ち解けてくると、女同士の話題はもっぱら恋のお話。この中で婚約者がいるのはレイス様だけ。カトリーナ様とメイジー様には想いを寄せる男性がいた。
頬をピンクに染めながら、好きな人の話をするカトリーナ様とメイジー様は可愛くて……。みんなでキャーキャー言いながら、恋の話を楽しんだ。
「今度パジャマパーティーを予定してますの。リズリーネ様も参加しませんか?」
「パジャマパーティー?」
「ええ。最近流行っているんですの。女同士の内緒話が出来て面白いですわよ。パジャマパーティーにはナイトキャップ交換がありますから、小さなプレゼントを用意してくださいね」
別れ際にカトリーナ様から誘われたパジャマパーティーは、リラックスして一晩一緒に過ごすことで親密さが増して、お茶会よりも恋のお話が盛り上がるそうだ。
ナイトキャップ交換は、ナイトキャップに入る大きさのプレゼントを持ち寄ってお互いに交換する余興。
練り香水やオルゴールなど、自分の好みで選べばいいそうだ。
夜更かしすらした事の無い私は、深夜まで起きている事自体が楽しみで……。ワクワクしながらその日を待った。
☆
初めて出席した夜会はお兄様がエスコートしてくれた。
アルフレード殿下との婚約解消があったから、好奇な視線に晒されるのかと思ったけれど、カトリーナ様たちがずっとそばに居てくれたので、幸いほとんど詮索されることは無かった。
社交界は救世主と殿下の話題でもちきりだった。
アルフレード殿下は毎日神殿を訪れている。
仲睦まじげに街を散策する二人を見た。
殿下が高価なプレゼントを救世主に贈っている。
そんな噂話を聞くとほんの少し悲しい気持ちになる。
「王宮に働く者の話では、殿下は救世主様に随分とご執心のようですわね……。最近では執務さえも後回しなのだとか……」
「救世主様は、小さくて可愛らしい印象の女性だそうですね」
アルフレード殿下は私と婚約していた時は毎日神殿に来ることは無かった。それに、プレゼントもそんなにたくさん貰った記憶は無い。
王太子だから忙しいのだと思っていたけれど、本気になれば毎日会うための時間を作れるのか……。
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