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パジャマパーティー
しおりを挟む今日はパジャマパーティー。
友人とお泊りなんて初めてだからちょっと緊張しながら、ガレフ侯爵邸に向かった。
ガレフ侯爵邸は門をくぐってから大きな庭園が広がっていて、整備された小道を馬車で進むと、豪華絢爛な本邸とは別の可愛らしい白とグリーンの建物があった。
「リズリーネ様っ!!」
夜会やお茶会のような、形式的なお出迎えではなく、カトリーナ様は気楽な雰囲気で、私に手を振ってくれた。
「この度はお招きいた……」
「やだ、畏まった挨拶はなしよ。奥に行きましょ」
カトリーナ様は私の手をぐいっと引っ張った。
連れて行かれたのは、簡単な夜食が用意されたサロン。皆様もうネグリジェの上にガウンを羽織っていてリラックスした様子だった。
「さあ!リズも来たし私も着替えてくるわ。リズも別室で着替えてね。それからパジャマパーティーではみんな愛称で呼んでね。その方が盛り上がるからっ!」
夜食にはサンドイッチやカットフルーツ、そして焼き菓子など、一口サイズのものが並んでいた。
男性のパジャマパーティーではカードゲームをするみたいだが、女性はほとんどお喋りしながら過ごすそうだ。室内の照明は薄暗くて、秘密のお話にはぴったりな雰囲気。
「私は太り易くてドレスを直さないといけなくなっちゃうから、普段はダイエットしてるんだけどねー。今日は特別っ」
リーナは小さく舌を出して笑うと、ピンク色のロッシェを口にいれた。私も同じロッシェ取って食べると、ベリーのような甘酸っぱい匂いがして、口の中でホロホロと砕けて溶けた。
「美味しいっ」
「でしょ?パクパク食べちゃうわ」
冷たいハーブティーは爽やかな香りで、甘いお菓子によく合う。このままだといくらでも食べれちゃいそうだ。
「リーナは良いわね。婚約がまだってだけで、キース様の気持ちはわかりやすいもの」
リーナは嬉しそうに笑いながら、今度はマカロンを食べた。締め付けるコルセットも無いから、みんなも次々とお菓子を食べていた。
「そう?レイのネッド様も、物静かで素敵な人じゃ無いの」
「うーん。ネッド様の気持ちって分かりにくいのよね。ちゃんと表現してくれないから、不安よ?本当はもっと好きだって言って欲しいんだけどー」
「そういうクールなところが好きなんでしょ?」
「……まあね」
友達の恋愛話は楽しい。幸せのおすそ分けをしてもらっているみたい。みんな、それぞれに悩んでいるのだろうけど、最終的には惚気話を聞くことになった。
ちょっと揶揄うと、赤くなってモジモジしちゃうリーナもレイも可愛い。恋する女の子って感じだ。
「さあ!そろそろナイトキャップ交換にしましょ?バラバラにプレゼントを入れたからね。みんなどれがいい?」
並べられたナイトキャップは膨らんでいて、中に何が入っているのか見えない。
だけど、自分のものが当たると悲しいから私は一番小さな物を選んだ。
すると、メイが
「リーナかレイが薄紫を選んでね。私とかリズは暫く使わないから……」
そう言われて、リーナが薄紫のナイトキャップを選んだ。中には小さな箱に入ったピンク色のリップクリーム。
「これね、眠るときに付けると唇がしっとりと潤うんだって。キスの前に付けると良い香りがして、相手がキスに夢中になるって触れ込みのリップクリームよ」
メイったら、何て大胆なプレゼントっ。
私とレイは顔を見合わせると、二人で手を合わせてきゃあきゃあ言って盛り上がった。
「リーナのファーストキスはいつなの?」なんて、メイが聞くから、リーナは恥ずかしそうに「内緒」って、クッションで顔を隠してしまった。
幸せそうなリーナを見ていると、私も恋をしたくなってしまう。
楽しい時間はあっと言う間。ガレフ侯爵家の使用人が様子を見に来たのに気づいたリーナが
「さあ、そろそろ寝ましょう」と言ったのを合図に、私達は客室に向かった。
窓から外を見ると真っ暗。庭園の所々に灯された明かりが幻想的だった。こんな真夜中まで起きているなんて、神殿に住んでいた時には考えられない。
私が選んだナイトキャップに入っていたプレゼントはポプリ。私はそのポプリを枕の下に入れて、お花の匂いに包まれて眠った。
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