微笑みの貴公子に婚約解消された私は氷の貴公子に恋人のふりを頼まれました

文字の大きさ
22 / 25

アンドレア視点

しおりを挟む

 俺は正直言ってモテる。
 社交界一と言ってもいいだろう。その理由はこの整った顔だけでは無い。
 身嗜みにも気を遣い、肌の手入れも怠らない。そして何より全ての女性にな優しく接するように心掛けている。

 浮気なんてもちろんしない。俺の運命の女神はもちろんビビアンさ。
 彼女を一目見た瞬間に恋に落ちたんだ。この気持ちに嘘偽りなどない。

 俺にはフラヴィアという婚約者がいた。こういってはなんだが、容姿もスタイルも特別魅力的では無い普通の女性。だが俺は政略結婚とはそういうものだと思っていたし、大きな不満があるわけでも無かった。

 けれどあの日、俺はビビアンと運命的な出逢いをした。
 その瞬間世界中から音が消えた。もうビビアンしか見えない。そして、ビビアンが俺を見て微笑んだ時、俺の頭の中でクピドの鐘が鳴り響いた。

 あー、俺とビビアンは結ばれる運命なんだ!

 そう強く確信したさ。

 だけど、俺を求める女性たちがいる限り、冷たくするわけにはいかない。それが色男に産まれた俺の宿命だから、ね。 

「微笑みの貴公子様よ」
「今日も素敵ね」
「きゃー、私を見て微笑んでくださったわ」

 俺を羨望の眼差しで見つめ頬を染める女性たち。可愛くない女性なんて一人も居ない。彼女たちは皆それぞれの美しさを持っているだ。俺は心の中でそんな彼女たちをマイスウィートエンジェルって呼んでるのさ!

 最近留学から帰って来たグラディウス公爵家のシリル様はとても無愛想。俺と同じように、神から美しさを与えられているというのに……その美しさを封じ込めるように冷たい目で女性を見る。本当に悲しいことさ。

 全ての女性に優しくする事。俺はその事を自分に与えられた責務だと思っている。
 俺のスウィートエンジェルたちは、愛らしくて繊細。真っ赤に頬を染めて、潤んだ瞳で俺に話し掛けてくる。そんな女性の誘いを断るなんて可哀想だろう? 
 だから、俺は基本的には誘いを断らない。
 彼女たちがダンスを踊りたいと望めば踊る。もちろん夢のように幸せな時間を過ごしてもらうために完璧なリード、そして蕩けるように甘い眼差しをプレゼントするのさ!








 俺が唯一悲しませた人。フラヴィアには負い目もあった。あんなに俺を好きでいてくれたのに……。

 それだけを俺は後悔していた。

 婚約者になってからのビビアンは少し怒りっぽくなった。俺が他の女性と仲良くするのを嫌がるんだ。

 あー、なんてことだ!
 
 俺のような選ばれし美をもつ男の隣に立つ伴侶として、細かな事は気にしないで欲しかったのに……。
 フラヴィアは俺の行動に文句なんて言ったことは無い。それは俺を深く理解していてくれたから。

 ああ、ビビアン。
 悲しまないでおくれ。
 俺の心は君のものさ!

 ただ、俺の笑顔は全ての女性のものなんだ!

 ビビアンもフラヴィアのように朗らかにいつでも笑っていて欲しい。
 女性は笑顔が一番だから、ね!
しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

王太子妃クラリスと王子たちの絆【完】

mako
恋愛
以前の投稿をブラッシュアップしました。 ランズ王国フリードリヒ王太子に嫁ぐはリントン王国王女クラリス。 クラリスはかつてランズ王国に留学中に品行不良の王太子を毛嫌いしていた節は 否めないが己の定めを受け、王女として変貌を遂げたクラリスにグリードリヒは 困惑しながらも再会を果たしその後王国として栄光を辿る物語です。

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

【完結】1王妃は、幸せになれる?

華蓮
恋愛
サウジランド王国のルーセント王太子とクレスタ王太子妃が政略結婚だった。 側妃は、学生の頃の付き合いのマリーン。 ルーセントとマリーンは、仲が良い。ひとりぼっちのクレスタ。 そこへ、隣国の皇太子が、視察にきた。 王太子妃の進み道は、王妃?それとも、、、、?

結婚5年目の仮面夫婦ですが、そろそろ限界のようです!?

宮永レン
恋愛
 没落したアルブレヒト伯爵家を援助すると声をかけてきたのは、成り上がり貴族と呼ばれるヴィルジール・シリングス子爵。援助の条件とは一人娘のミネットを妻にすること。  ミネットは形だけの結婚を申し出るが、ヴィルジールからは仕事に支障が出ると困るので外では仲の良い夫婦を演じてほしいと告げられる。  仮面夫婦としての生活を続けるうちに二人の心には変化が生まれるが……

完結 愛される自信を失ったのは私の罪

音爽(ネソウ)
恋愛
顔も知らないまま婚約した二人。貴族では当たり前の出会いだった。 それでも互いを尊重して歩み寄るのである。幸いにも両人とも一目で気に入ってしまう。 ところが「従妹」称する少女が現れて「私が婚約するはずだった返せ」と宣戦布告してきた。

【完結】王太子と宰相の一人息子は、とある令嬢に恋をする

冬馬亮
恋愛
出会いは、ブライトン公爵邸で行われたガーデンパーティ。それまで婚約者候補の顔合わせのパーティに、一度も顔を出さなかったエレアーナが出席したのが始まりで。 彼女のあまりの美しさに、王太子レオンハルトと宰相の一人息子ケインバッハが声をかけるも、恋愛に興味がないエレアーナの対応はとてもあっさりしていて。 優しくて清廉潔白でちょっと意地悪なところもあるレオンハルトと、真面目で正義感に溢れるロマンチストのケインバッハは、彼女の心を射止めるべく、正々堂々と頑張っていくのだが・・・。 王太子妃の座を狙う政敵が、エレアーナを狙って罠を仕掛ける。 忍びよる魔の手から、エレアーナを無事、守ることは出来るのか? 彼女の心を射止めるのは、レオンハルトか、それともケインバッハか? お話は、のんびりゆったりペースで進みます。

好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が

和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」 エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。 けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。 「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」 「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」 ──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。

処理中です...