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あの名シーン
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「入れ。」
「お父様。ルマです。只今戻りました。」
「ルマ。」
お父様は私を抱き締めて、久しぶりの再会を喜んでくれた。
「ルマ。心配した。」
お父様はシルクの方を向き
「シルクレン様、ルマを守ってくださって感謝します。」
と頭を下げた。
「いえ。僕は平民です。頭なんて下げないでください。」
「娘の命の恩人に貴族も平民も無い。父親として礼を尽くしたい。」
私はお父様に数日滞在する事を伝えた。
「ルマ。君の冤罪は証明されている。戻っておいで。」
「いえ。私には貴族としての生活より今の生活が楽しくて。このまま平民として暮らしていきたいです。」
お父様は探るように私を見つめる。そして、短く息を吐くと
「あんなに嫌がった王太子の婚約者を避けられなかった私達にも非はある。王妃教育は辛かったろう。長い間不自由をさせた。もう自由にするといい。辛かったら戻っておいで。いつまでもここはルマの家だよ。」
そう言って許してくれた。
そして私達はルイルイの実家の男爵家の近くまで来た。
「僕が見た黒髪の女はこの辺りを歩いていました。」
探すにも手がかりも何も無しにうろつく訳にもいかない。
魔女・・・
あっ洞窟。
「魔女は日中の活動が苦手で確か昼は洞窟にいるかも。でも何処にあるのか・・・」
「洞窟か・・・ここから一番近い山を見に行こう。」
山の麓に移動して手がかりを探す。
すると、山の風景とは不似合いなワンピースを着た少女が見えた。
あっ。あれは・・・
「あのワンピースはゼロ殿下がルイルイに贈った物です。」
「あれがルイルイ・・・」
言葉を失う。その風貌は大きく変わっていた。艶やかなピンクの髪は黒く染まりボサボサになっている。ワンピースは薄汚れ、靴は履いていなかった。
黒い目は光を喪い見えているのかも分からない。無表情で歩くその姿は意思があるようには見えなかった。
「まずいですね。。魔力が桁違いです。逃げましょう。」
そう言ってシルクは転移した。
公爵家に戻ると皆で状況確認のための 話し合いをしていた。
話し合いにはさっき使いに出掛けていたレイラも加わった。
「あれはルイルイで間違い無いですね。」
「そう思います。」
「彼女を元に戻す方法はありますか?」
「分からないです。夢では私が魔女になって正気を失い街を破壊するんです。それをルイルイの光の魔法で洞窟の奥深くに封印してました。昼は洞窟に居るので。確か・・・夜の方が魔力が強いから昼に・・・。」
もっと大切な何かを忘れている。
魔女になった私は何かがきっかけで完全に自我を失い街を襲う。
駄目だ。思い出せない。
「ルマ。今のルイルイの魔力は僕でも被害を出さずに勝てるかは分かりません。念のため聖剣を取りに行きたいのです。一緒に来てくれますか?」
「はい。」
「じゃあ、近くまで転移します。ベン、チャー、こっちは頼んだ。」
そう言うとシルクは私の手を取った。
一瞬で私達の周りが公爵家の室内から、鬱蒼とした森の情景へと変わっていた。
「ここからは歩きます。ここは雁聖山の麓でこの道を真っ直ぐ進むと聖剣があります。簡単では無いですけどね。」
彼の言う通り、山道にはランクBからAの魔獣がゴロゴロいた。彼が的確に指示を出す。
「ルマ。あの魔獣のしっぽを狙ってください。バランスが取れなくなって地面に落ちます。」
「あの魔獣の皮膚は堅くて分厚いです。下腹なら剣が入りますよ。」
シルクも当然他の魔獣と戦っているのだが、常に私の方を気にしてくれた。
2時間ほど歩いた頃
「きゃー。」
「ルマ。」
急に現れた湖に落ちた。
「しまった。まやかしの湖。」
私はいまだに泳げない。息が出来ない怖さで混乱してもがいていると、強く腕を引かれ抱き寄せられた。
離れないよう強く抱き込む腕は力強い。
シルクが私を抱えて泳いでいるのだと気付いた。
「すみません。伝えておくのを忘れました。この道は魔獣の他にも様々な仕掛けがあって、さっきの湖はその一つです。」
私を湖岸に上げるとシルクが説明してくれた。
「ありがとうシルク。私、足手まといじゃない?」
「そんな事無いですよ。ルマがそばに居てくれた方が安心です。私も戦いに集中出来ます。」
うん?
まあいいか。
辺りが暗くなってきた。
「急ぎましょう。」
「走っていい?」
「私の前を走ってください。見えないと心配です。」
身体強化を掛けて森を走る。すぐ後ろにシルクも付いてきている気配がする。
辺りが完全に暗くなった頃、急に木の無くなり開けた場所にでる。
そこには大きな岩が鎮座し、剣が突き刺さっていた。
あっ、RPGっぽい。
その剣はシルクによってあっさりと引き抜かれた。
感慨深い様子も見せず、剣を持って反対の手で私と手を繋ぐ。
あれ?剣を空高く掲げたりは?雷鳴は轟かないの?
そう思って戸惑っている私をスルーし、シルクは転移の術を展開して公爵家に戻った。
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