16 / 35
フェルナンド殿下の来訪二回目
しおりを挟む
私達がリテック王国に来て一週間になる。セインは相変わらず、商談や、組合の会合で忙しく日々を過ごしていた。
私は殆どの時間をセインと一緒に行動した。
ユウは元来自由人らしく、セインが同行を求めなければ、自分の好きなように行動しているようだった。
「異世界でユウは女性だったからな。男としての生活が窮屈なんだろう。」
セインはそう言って、ユウを好きにさせていた。
シイネは町で腕の良いマッサージに通い、かなり楽に動けるようになっていた。
「疲れたな。甘い物でも食べるか?」
商談の後、セインに誘われ小洒落たカフェに入った。
「うん。香ばしくって甘すぎなくて美味しい!!」
「ああ、いい味だ。」
私は見慣れない赤いフルーツを乗せたタルトを食べている。もう二つ目で、一つ目は黄色いゼリーを食べた。
働いた後の甘い物はこれ以上ないご褒美だ!!
甘い味が与えてくれる、幸福感に浸っていると、背後から声を掛けられた。
「リリアベール。」
振り向くと見覚えのある外套を羽織った殿下が。
少し離れた場所に顔見知りの護衛も確認できる。
「フェルナンド殿下。」
「一緒にいいかい?」
私の承諾を得る前に、隣の座席に腰を下ろした。
フェルナンド殿下が近い距離で座ったのが嫌で慌てて立ち上がりセインの隣の席に移動した。
フェルナンド殿下は一瞬不満そうな表情を見せるが、直ぐに余裕のある笑みを浮かべる。
「リリアベール、リタ王国に帰っておいで。心配事は解決したよ。母上にはリリアベールが誤解していることを話しておいた。直接話せば蟠りも解けるだろう。」
何を言っているのだろう?直接話せば盛大な嫌みを言われるに決まっている。
「嫌です。」
「どうしてそんなに頑なになるの?母上が気を遣ってくれているのにっ!」
「私は帰りません。」
「父上もリリアベールに帰って来て貰う事を望んでいる。ロリィのせいで、母上は今離宮で療養しているんだよ。」
ロリィのせいって、……何かあったのだろうか?
「どうしてですの?」
「ロリィが…、母上に虐められたって新聞に話したんだ。母上は今国民の批判を受けて大変なんだ。」
「そうですか。」
ロリィは今までも私に虐められたと嘘を吐いていたのだ。
あんなお妃教育を受けたのなら当然だろう。
「もしかして、まだ正妃に拘ってるの?」
「正妃だろうと側室だろうと関係ありません。戻るのは嫌です。絶対イヤ!!」
殿下は私の強い口調に一瞬怯むが、直ぐに何かに思い当たったようだ。
「ああっ!!そうか!君はロリィと仲が悪かったから一緒の宮に住むのが嫌なんだな。分かったよ。解決してみせる!!」
「嫌ですってば!!」
「兎に角、父上の命令なんだ。リリアベール帰るよっ!!」
フェルナンド殿下が立ち上がり私の腕を引こうとする。
そこで、黙って聞いていたセインが止めに入ってくれた。
「もう、リリアはリタ王国民ではない。」
「え?」
「命令を聞く義務は無い筈だ。」
フェルナンド殿下が怨めしそうに私を見る。
「リリアベール、今まで私に尽くしてくれただろう?どうしたのさ?この男の悪い影響受けたの?」
「違います。セインは私を助けてくれたんです!」
殿下は仕方がないとでも言うように溜め息を吐いた。
「はー、分かったよ。兎に角、住む場所の問題を解決してから迎えに来よう。」
フェルナンド殿下は護衛を引き連れ颯爽と去っていった。
私とセインは呆気にとられていた。
「ねぇ、私ハッキリ断っていたわよね?」
「そうだな。『嫌です』って繰り返してたな。」
「迎えに来るって言ってなかった?」
「言ってたな。また来そうだな。」
二人で同時に溜め息を吐いた。
★☆★☆★
王妃視点
「あー、腹立たしい。平民風情のせいでわたくしがこんな目に合うなんて。リリアベールの方が余程ましね。」
「そうですよ。王宮の中の事を漏洩するなんて……。」
何とかロリィを排除しないと………そうだわ!その手があった。
「ニナ、ロリィに止めさせられた下働きの者が居たわよね?」
「ええ。給仕の者もいますし、侍女もいます。」
「ロリィの横暴なエピソードが話せる者を集めて。」
「え?」
「大衆紙にロリィの横暴な振る舞いを暴露させて。」
「ああ、そういうことですか。かしまりました。」
「あと、彼女王宮に働く男性に色目を使ってないかしら?そういう情報も洩れてくれると助かるわね。」
「あーー、そうですね。そのような素振りを見掛けましたわ。手配致します。」
「お願いね。」
私は殆どの時間をセインと一緒に行動した。
ユウは元来自由人らしく、セインが同行を求めなければ、自分の好きなように行動しているようだった。
「異世界でユウは女性だったからな。男としての生活が窮屈なんだろう。」
セインはそう言って、ユウを好きにさせていた。
シイネは町で腕の良いマッサージに通い、かなり楽に動けるようになっていた。
「疲れたな。甘い物でも食べるか?」
商談の後、セインに誘われ小洒落たカフェに入った。
「うん。香ばしくって甘すぎなくて美味しい!!」
「ああ、いい味だ。」
私は見慣れない赤いフルーツを乗せたタルトを食べている。もう二つ目で、一つ目は黄色いゼリーを食べた。
働いた後の甘い物はこれ以上ないご褒美だ!!
甘い味が与えてくれる、幸福感に浸っていると、背後から声を掛けられた。
「リリアベール。」
振り向くと見覚えのある外套を羽織った殿下が。
少し離れた場所に顔見知りの護衛も確認できる。
「フェルナンド殿下。」
「一緒にいいかい?」
私の承諾を得る前に、隣の座席に腰を下ろした。
フェルナンド殿下が近い距離で座ったのが嫌で慌てて立ち上がりセインの隣の席に移動した。
フェルナンド殿下は一瞬不満そうな表情を見せるが、直ぐに余裕のある笑みを浮かべる。
「リリアベール、リタ王国に帰っておいで。心配事は解決したよ。母上にはリリアベールが誤解していることを話しておいた。直接話せば蟠りも解けるだろう。」
何を言っているのだろう?直接話せば盛大な嫌みを言われるに決まっている。
「嫌です。」
「どうしてそんなに頑なになるの?母上が気を遣ってくれているのにっ!」
「私は帰りません。」
「父上もリリアベールに帰って来て貰う事を望んでいる。ロリィのせいで、母上は今離宮で療養しているんだよ。」
ロリィのせいって、……何かあったのだろうか?
「どうしてですの?」
「ロリィが…、母上に虐められたって新聞に話したんだ。母上は今国民の批判を受けて大変なんだ。」
「そうですか。」
ロリィは今までも私に虐められたと嘘を吐いていたのだ。
あんなお妃教育を受けたのなら当然だろう。
「もしかして、まだ正妃に拘ってるの?」
「正妃だろうと側室だろうと関係ありません。戻るのは嫌です。絶対イヤ!!」
殿下は私の強い口調に一瞬怯むが、直ぐに何かに思い当たったようだ。
「ああっ!!そうか!君はロリィと仲が悪かったから一緒の宮に住むのが嫌なんだな。分かったよ。解決してみせる!!」
「嫌ですってば!!」
「兎に角、父上の命令なんだ。リリアベール帰るよっ!!」
フェルナンド殿下が立ち上がり私の腕を引こうとする。
そこで、黙って聞いていたセインが止めに入ってくれた。
「もう、リリアはリタ王国民ではない。」
「え?」
「命令を聞く義務は無い筈だ。」
フェルナンド殿下が怨めしそうに私を見る。
「リリアベール、今まで私に尽くしてくれただろう?どうしたのさ?この男の悪い影響受けたの?」
「違います。セインは私を助けてくれたんです!」
殿下は仕方がないとでも言うように溜め息を吐いた。
「はー、分かったよ。兎に角、住む場所の問題を解決してから迎えに来よう。」
フェルナンド殿下は護衛を引き連れ颯爽と去っていった。
私とセインは呆気にとられていた。
「ねぇ、私ハッキリ断っていたわよね?」
「そうだな。『嫌です』って繰り返してたな。」
「迎えに来るって言ってなかった?」
「言ってたな。また来そうだな。」
二人で同時に溜め息を吐いた。
★☆★☆★
王妃視点
「あー、腹立たしい。平民風情のせいでわたくしがこんな目に合うなんて。リリアベールの方が余程ましね。」
「そうですよ。王宮の中の事を漏洩するなんて……。」
何とかロリィを排除しないと………そうだわ!その手があった。
「ニナ、ロリィに止めさせられた下働きの者が居たわよね?」
「ええ。給仕の者もいますし、侍女もいます。」
「ロリィの横暴なエピソードが話せる者を集めて。」
「え?」
「大衆紙にロリィの横暴な振る舞いを暴露させて。」
「ああ、そういうことですか。かしまりました。」
「あと、彼女王宮に働く男性に色目を使ってないかしら?そういう情報も洩れてくれると助かるわね。」
「あーー、そうですね。そのような素振りを見掛けましたわ。手配致します。」
「お願いね。」
21
あなたにおすすめの小説
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
惚れた男は根暗で陰気な同僚でした【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
イベント企画会社に勤める水木 茉穂は今日も彼氏欲しさに合コンに勤しむ、結婚願望が強い女だった。
ある日の週末、合コンのメンツが茉穂に合わず、抜け出そうと考えていたのを、茉穂狙いの男から言い寄られ、困っていた所に助けに入ったのは、まさかの男。
同僚で根暗の印象の男、【暗雨】こと村雨 彬良。その彬良が会社での印象とは全く真逆の風貌で茉穂の前に現れ、茉穂を助けたのである………。
※♡話はHシーンです
※【Mにされた女はドS上司に翻弄される】のキャラを出してます。
※ これはシリーズ化してますが、他を読んでなくても分かる様には書いてあると思います。
※終了したら【プラトニックの恋が突然実ったら】を公開します。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
一目惚れは、嘘でした?
谷川ざくろ
恋愛
代打で参加したお見合いで、「一目惚れです」とまさかのプロポーズをされた下級女官のシエラ・ハウエル。
相手は美しい公爵、アルフレッド・ベルーフィア。
疑わしく思いつつも、病気がちな弟の治療と領地への援助を提示され、婚約を結んだ。
一目惚れと言っていた通り溺愛されて相思相愛となり、幸せな結婚生活を送るシエラだったが、ある夜、夫となったアルフレッドの本音を聞いてしまう。
*ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
【完結】君は私を許してはいけない ーーー 永遠の贖罪
冬馬亮
恋愛
少女は、ある日突然すべてを失った。
地位も、名誉も、家族も、友も、愛する婚約者も---。
ひとりの凶悪な令嬢によって人生の何もかもがひっくり返され、苦難と苦痛の地獄のような日々に突き落とされた少女が、ある村にたどり着き、心の平安を得るまでのお話。
婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!
柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる