悪役令嬢とオッサン商人の不器用な純愛

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フェルナンド殿下視点2

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王宮に戻って、母上の部屋へ急ぐ。

「母上!!」

気持ちが急いて大きな声を出してしまう。

「どうしたの?フェル?」

私の突然の訪問にも驚く事なく、母上がおっとりとした笑みを浮かべる。

「母上のお妃教育でリリアベールが罵られて嫌な思いをしていたと言うのは本当ですか!!」

母上はゆっくりと扇を閉じるが、その表情は変わらない。

「わたくしはそんな事しませんわ。」

母上のいつものゆったりとした口調だ。
私を見る母上の瞳はいつも優しい。
こんなに慈愛に満ちた母上が嫁いびりなんて………何か行き違いがあったに違いない。
リリアベールの誤解を解かねば。 
「そうですよね。リリアベールは何か勘違いしているようです。」
「あら?そうなの。わたくしが至らなかったのね。気を付けるわ。」
「母上程優しい人が、至らない筈が無いです。」
「そう?」
「リリアベールの誤解を解くためにも、母上が直接話をしてもらえませんか?」
「いいわよ。連れてらっしゃい。」
「ありがとうございます。母上。」
「可愛いフェルのためですもの。わたくしに任せなさいね。」
「はい。」

きちんと話をすれば、仲良く出来るに違いない。
こんなに優しい母上をリリアベールは誤解している。

直接話せば母上の優しさに気が付くに違いない。

私はそう確信して、リリアベールを迎えに行く算段をしていた。

★翌日★

「フェルナンド殿下!!大変です。大衆紙にこんな記事がっ!!」

私の側近が慌てた様子で一冊の大衆紙を持って、執務室に入ってきた。

「どうした?そんなに慌てて。」
大衆紙を受けとると、一面の大きな文字が目に入る。

《王妃が光の乙女を平民出と蔑む!!》

別の大衆紙にも

《王妃陛下が光の乙女に嫁いびり??》

他の大衆紙も似たような記事だ。

「どういう事だ?」
「そ、それが……ロリィ様が教会でお妃教育の愚痴を言っているようで………。」

苛立たしい。思わず新聞を握り潰す。

「フェルナンド殿下。陛下がお呼びです。」

このタイミングだ。良い話では無いだろう。


父上に呼ばれて執務室に赴くと、父上はいつになく険しい顔をして玉座に凭れるように座っていた。

コツ、コツ、コツ、コツ
硬い音が室内に響く。

肘掛けに腕を置き、指でリズムを取るように音を鳴らす。
これはかなり機嫌が悪い時の癖。
側近達のピリピリした雰囲気がこちらまで伝わってくる。

「お主の勝手な婚約破棄の結果がこれだ。どう責任を取るつもりだ?」
「………。」
威圧感で皮膚がビリビリするようだ。言葉が出ない。

「国民の人気が高い、光の乙女ならまあ良いかと思っておったが………。………王妃は病気療養のため暫く離宮に移る。」
「はい。」
「あのような人間に王妃が務まると?」
「はい。そう思っていました。今は……勉学も嫌がっていますが、少しずつ自覚も芽生えるかと。」
「………。」
「………。」
「あれには無理だ。務まらん。リリアベールを連れ戻しに行け。」
「はい。」
「貴族の相手や教会関係以外の公務はリリアベールに任せる。ロリィは表向きは正妃として扱うが王宮内での行動は慎んでもらう。今更どうにもならん!!」

陛下は吐き捨てるように言うと、手を振って下がるよう合図した。
私は肯定の返事しか返すことが出来ずにその場を後にした。
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