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自覚
しおりを挟む夕食後、ユウと二人で部屋でのんびりお喋りをして過ごした。
ユウは異世界で女性だったことを知ってから、ユウは私にとって姉のような存在だ。
ユウと話をしていると年が近い同性のようで、本音が出てしまう。
特に、私は殿下の婚約者として他の令嬢との間に壁のようなものを感じていたので、このお喋りが殊のほか楽しかった。
「ユウ、私ね、今日セインが仕事をしているのを見て格好良いな、って思ったの。」
「仕事の時には凛々しいもんね。それで?」
ユウはお茶を二人分用意すると、机に置いて私の前の席に座った。
私の話を聞いてくれるらしい。
「何だかセインの事を見てると胸がじんわりと温かくなるの。でも、目が合うと急にドキドキするの。どうしてかな?」
「セインの事が好きなんじゃない?」
「そうなのかな?でもね、フェルナンド殿下の時にはドキドキや緊張なんて感じた事無かったわ。私、フェルナンド殿下の事は本当は好きじゃ無かったのかな?」
「そんな事ないと思うよ。幼い頃からの知り合いでしょ?そんなもんよ。」
「セインって奥様とか恋人は?」
「居ないわよ?」
セインに特別な人が居ないと聞いてほっとした。
やっぱり私はセインの事が好きなんだろうか?
失恋したばかりなのに、どうかしてる。
それでも、いつも辛い時に助けてくれたセインに特別な感情を抱いているのも事実だ。
「こんな子供なんて眼中に無いかしら?」
「大丈夫よ。セインに直接言えば凄く喜ぶわよ。」
ユウは揶揄うような口調で、愉しげだ。
「喜ぶなんて………きっと、呆られちゃうわ。」
それでも、自分の気持ちに整理がついたら私はきっとこの気持ちをセインに伝えたくなるだろう。
★☆★
それから数日間は毎朝キャシュール商会の支部へ行き、セインの書類仕事を手伝った。
そうやって仕事場の中での彼を見ると、彼がいかに部下から頼りにされているかがよく分かる。
「セインって凄いのね。皆が彼を信頼しているもの。」
「そうね。私は異世界から来たから、他の世界の文化を知ってる。だからアイデアは出せるけど実現に向けての具体的な計画は出来ない。それを実行に移せる彼は凄いと思うわ。」
ユウは私と話をするうちにすっかり女性言葉に戻ってしまったらしい。申し訳ないと思う。
商会には色んな人が働いているが、女性も多い事に驚いた。
彼女達は自立していて、男性と同じように仕事をこなし、対等に話をする。
セインも彼女達を男性と同じように扱っている。
そんな光景は貴族社会ではあり得ないことだ。
セインに守られている自分を子供っぽく感じる。
私は一人で生きていく術を知らない。
何だかセインを遠くに感じるようになっていった。
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