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ランザ王国
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やっとランザ王国へ到着した。
「なんだか街並みが整然としていて、清潔な感じがするわ。」
「そうだな。都市整備に力を入れているらしい。その効果もあって大陸一の治安の良さを誇る。商会としても活動しやすい。従業員の安全確保も俺の仕事だ。」
私達はランザ王国に到着した。
ランザ王国に着いたら直ぐに王国民になるための手続きをする。
既に根回しは終わっていて、私達はスムーズにランザ王国民となった。
セインに案内されたキャシュール商会の本部は思った以上に巨大で敷地内に私兵の訓練施設に兵舎もあった。
私兵の保持は叙爵と引き換えに認められたそうだ。
但し領地の保持は辞退し、爵位も一番下の男爵位だ。
セインは爵位も嫌だったらしいが、爵位があった方が動きやすい場面もあり、この国に縛られることを受け入れた。
「本邸は人の出入りが激しくて落ち着かないから別館を建てようと思う。リリア、好きなデザインは?いつかのサルス公爵邸か?」
確かにサルス公爵邸の水色と白の宮殿のような屋敷は可愛かった。
彼は屋敷ごと私にプレゼントしてくれる気なのか???
可笑しくなってクスクス笑ってしまう。
「うん?どうした?」
「いえ、二人で住む屋敷だもの。二人で考えましょう。子供の事もあるし……。」
「ああ。」
セインの両親はおっとりした人たちで、とても商売人には見えない。
「リリアちゃん、緊張しないで沢山食べてね。」
「ああ、遠慮しないで、楽にしていてくれ。」
彼の両親は仲が良くて、ラブラブだ。
初めて皆で囲む夕食でも、初めは私に話し掛けていたが、やがて二人だけの世界に入り始めた。
リタ王国で国王夫妻と食事を共にしたことが何度もあったが、国王夫妻はほとんど会話することが無く、王妃様は殿下との会話に始終し、私への嫌みばかりで良い思い出が無い。
セインの両親との夕食は二人とも私達には干渉しないため気楽なものだった。
二人は食べさせ合いをしそうなほどの甘い甘い雰囲気を醸し出し始めた
「うちの両親は仲が良くて、昔からこんな感じだ。リリアも好きに過ごしたら良い。」
「ずっと仲が良くて素敵だわ。うちの両親はほとんど一緒には食事しなかったから………。」
「そうか。……俺は両親のような夫婦が普通だが……。」
「緊張しなくて楽だわ。マナーや振る舞いで怒られる事もないし……。」
実際食事の最中に注意されていると、味すら感じなくなっていた。
これからはあの気の重い食事会は無いのだと思うと気が楽だ。彼の両親が気さくで本当に良かった。
四人で旅していた頃とうって変わって賑やかで騒々しい毎日を送っていた。
それは祖国や元婚約者の事など思い出す暇もないほどで…………。
かさり
部屋を掃除しながら荷物を整理していたら、フェルナンド殿下からの手紙が床に落ちた。
「……。」
どうしているのだろうか?
「……。」
もう、この国の民となった今捨てても良い物だろう。
「セイン、これ捨ててもいいよね?」
「うん?ああ、捨てようか?」
セインは手紙の封蝋を見て、全てを悟ってくれた。
「ええ、お願い。」
「……分かった。」
自然と俯いて、声が小さくなってしまう。
「思い出したく…ないの。……見ると学園の事……思い出すから。」
セインはぽんと私の肩に手を置くともう片方の手で手紙を受け取る。
「……。」
「ありがとう。」
私が顔を上げるのを確認すると、セインはくしゃりと手紙を握り潰し、部屋を出ていった。
あの頃の事を思い出すと、重石が乗ったように気分が沈む。
誰にも本当の事を信じて貰えなかった。
今はそんな心配をする事すら無い。
もう忘れよう。
元婚約者の事を思い出すなどセインに失礼だ。
思い出さなければ記憶もいつか風化する。
苦い記憶ごと消え去るよう、………もう思い出さないよう心に決めた。
「なんだか街並みが整然としていて、清潔な感じがするわ。」
「そうだな。都市整備に力を入れているらしい。その効果もあって大陸一の治安の良さを誇る。商会としても活動しやすい。従業員の安全確保も俺の仕事だ。」
私達はランザ王国に到着した。
ランザ王国に着いたら直ぐに王国民になるための手続きをする。
既に根回しは終わっていて、私達はスムーズにランザ王国民となった。
セインに案内されたキャシュール商会の本部は思った以上に巨大で敷地内に私兵の訓練施設に兵舎もあった。
私兵の保持は叙爵と引き換えに認められたそうだ。
但し領地の保持は辞退し、爵位も一番下の男爵位だ。
セインは爵位も嫌だったらしいが、爵位があった方が動きやすい場面もあり、この国に縛られることを受け入れた。
「本邸は人の出入りが激しくて落ち着かないから別館を建てようと思う。リリア、好きなデザインは?いつかのサルス公爵邸か?」
確かにサルス公爵邸の水色と白の宮殿のような屋敷は可愛かった。
彼は屋敷ごと私にプレゼントしてくれる気なのか???
可笑しくなってクスクス笑ってしまう。
「うん?どうした?」
「いえ、二人で住む屋敷だもの。二人で考えましょう。子供の事もあるし……。」
「ああ。」
セインの両親はおっとりした人たちで、とても商売人には見えない。
「リリアちゃん、緊張しないで沢山食べてね。」
「ああ、遠慮しないで、楽にしていてくれ。」
彼の両親は仲が良くて、ラブラブだ。
初めて皆で囲む夕食でも、初めは私に話し掛けていたが、やがて二人だけの世界に入り始めた。
リタ王国で国王夫妻と食事を共にしたことが何度もあったが、国王夫妻はほとんど会話することが無く、王妃様は殿下との会話に始終し、私への嫌みばかりで良い思い出が無い。
セインの両親との夕食は二人とも私達には干渉しないため気楽なものだった。
二人は食べさせ合いをしそうなほどの甘い甘い雰囲気を醸し出し始めた
「うちの両親は仲が良くて、昔からこんな感じだ。リリアも好きに過ごしたら良い。」
「ずっと仲が良くて素敵だわ。うちの両親はほとんど一緒には食事しなかったから………。」
「そうか。……俺は両親のような夫婦が普通だが……。」
「緊張しなくて楽だわ。マナーや振る舞いで怒られる事もないし……。」
実際食事の最中に注意されていると、味すら感じなくなっていた。
これからはあの気の重い食事会は無いのだと思うと気が楽だ。彼の両親が気さくで本当に良かった。
四人で旅していた頃とうって変わって賑やかで騒々しい毎日を送っていた。
それは祖国や元婚約者の事など思い出す暇もないほどで…………。
かさり
部屋を掃除しながら荷物を整理していたら、フェルナンド殿下からの手紙が床に落ちた。
「……。」
どうしているのだろうか?
「……。」
もう、この国の民となった今捨てても良い物だろう。
「セイン、これ捨ててもいいよね?」
「うん?ああ、捨てようか?」
セインは手紙の封蝋を見て、全てを悟ってくれた。
「ええ、お願い。」
「……分かった。」
自然と俯いて、声が小さくなってしまう。
「思い出したく…ないの。……見ると学園の事……思い出すから。」
セインはぽんと私の肩に手を置くともう片方の手で手紙を受け取る。
「……。」
「ありがとう。」
私が顔を上げるのを確認すると、セインはくしゃりと手紙を握り潰し、部屋を出ていった。
あの頃の事を思い出すと、重石が乗ったように気分が沈む。
誰にも本当の事を信じて貰えなかった。
今はそんな心配をする事すら無い。
もう忘れよう。
元婚約者の事を思い出すなどセインに失礼だ。
思い出さなければ記憶もいつか風化する。
苦い記憶ごと消え去るよう、………もう思い出さないよう心に決めた。
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