3 / 29
3.
しおりを挟む
ユーリード視点
★残酷表現があります。
傾国の美姫と有名だったルビーヌが嫁いだインヒィア公爵家に攻め入った。
公爵夫妻は直ぐに捕まり断首された。
しかし、娘が見当たらない。王家の血を引く娘だ。利用されないよう殺さなければならない。
キメ王国の王家は国民の税を搾り取り贅を極めた生活をしていた。ルビーヌも然り。
きらびやかな衣装を纏い、押し入った時には男数人と絡んでいた。ヘドがでる。
国民は全てを搾り取られクーデターを起こす気力も無く、犯罪は横行し、国民は苦しみに喘いでいた。
我が帝国はこの国を善意で助けようとしたわけではない。この国の地下資源に利用価値があったから侵攻を決めた。
インヒィア公爵の娘らしき人物が見つかったと兵士から連絡を受けた。
住み込みの使用人が住んでいる一角にその部屋はあった。
暖房器具もベッドもないその部屋は寒々しかった。何よりも寒々しく感じたのは娘の着ていた白いワンピース。元は真っ白だったのだろうが薄汚れ、とても公爵令嬢には見えない。
裸足で絨毯も引いていない床に娘は座っていた。
ベッドはないが部屋の隅には毛布が畳まれている。
私達を見て、娘は真っ青な顔で震えていた。
サラルーリー・インヒィアか確認すると娘は肯首した。
可哀想だが、王家の血は絶やすしかない、そう思ったとき、娘の指に守りの指輪を見つけた。
彼女の涙を受けて光っている。間違いない。
守りの指輪の事はよく分かっていない。持ち主を傷つけると厄災が起こると言われており、そのせいで滅びた王国があった。
彼女を傷つける訳にはいかない。私は彼女の捕縛を指示した。
ロープで縛られただけで痛がるので怪我でもしているのかと腕を捲って確かめると、ひどく痩せていて骨が浮き出ていた。
自分の娘になんて仕打ちを・・・
私は彼女を抱き抱え帝国に戻った。
帝国の城の医務室に彼女を運ぶ。
医師の診察の結果、長期に渡る栄養失調とそれに伴う発育の遅れ、貧血があると診断された。
私は皇帝にこの事を報告した。
若き皇帝は私の学生時代の親友でもあり、気安い間柄だ。
「うーん。難しいね。守りの指輪を王家の血を引く娘が持っていることを知られたくないなー。」
「その場にいた兵士には箝口令を敷きました。」
「ねー、ユーリーが一目惚れをしたって事にして、その子がどんな子なのか探ってよ。」
「一目惚れはと言うにはあまりにも・・・」
「えっ。傾国の美姫の娘だよ。」
「さあ?とにかく髪も梳いておらず、薄汚れたワンピースを着ておりました。何よりも栄養不良で発育が遅れておりまして、とても18才には・・・。」
「いいんじゃない。庇護欲を掻き立てられた事にしておいてよ。それ以外に君の家に彼女を滞在させる理由が無いよ。」
「それしか方法が無いなら、しょうがないですが・・・。」
「頼むよ。守りの指輪の事は秘密のままでは、どうしてルビーヌの娘を殺さないんだって疑問を口にする者が出てくる。君が一目惚れして連れ帰ったってのが一番自然だよね。長期間滞在させる理由としては花嫁修行か。」
「どうにもならない場合は?」
「結婚かな?」
仏頂面をしている自覚はあるが、了承の意思を伝え退出した。
★残酷表現があります。
傾国の美姫と有名だったルビーヌが嫁いだインヒィア公爵家に攻め入った。
公爵夫妻は直ぐに捕まり断首された。
しかし、娘が見当たらない。王家の血を引く娘だ。利用されないよう殺さなければならない。
キメ王国の王家は国民の税を搾り取り贅を極めた生活をしていた。ルビーヌも然り。
きらびやかな衣装を纏い、押し入った時には男数人と絡んでいた。ヘドがでる。
国民は全てを搾り取られクーデターを起こす気力も無く、犯罪は横行し、国民は苦しみに喘いでいた。
我が帝国はこの国を善意で助けようとしたわけではない。この国の地下資源に利用価値があったから侵攻を決めた。
インヒィア公爵の娘らしき人物が見つかったと兵士から連絡を受けた。
住み込みの使用人が住んでいる一角にその部屋はあった。
暖房器具もベッドもないその部屋は寒々しかった。何よりも寒々しく感じたのは娘の着ていた白いワンピース。元は真っ白だったのだろうが薄汚れ、とても公爵令嬢には見えない。
裸足で絨毯も引いていない床に娘は座っていた。
ベッドはないが部屋の隅には毛布が畳まれている。
私達を見て、娘は真っ青な顔で震えていた。
サラルーリー・インヒィアか確認すると娘は肯首した。
可哀想だが、王家の血は絶やすしかない、そう思ったとき、娘の指に守りの指輪を見つけた。
彼女の涙を受けて光っている。間違いない。
守りの指輪の事はよく分かっていない。持ち主を傷つけると厄災が起こると言われており、そのせいで滅びた王国があった。
彼女を傷つける訳にはいかない。私は彼女の捕縛を指示した。
ロープで縛られただけで痛がるので怪我でもしているのかと腕を捲って確かめると、ひどく痩せていて骨が浮き出ていた。
自分の娘になんて仕打ちを・・・
私は彼女を抱き抱え帝国に戻った。
帝国の城の医務室に彼女を運ぶ。
医師の診察の結果、長期に渡る栄養失調とそれに伴う発育の遅れ、貧血があると診断された。
私は皇帝にこの事を報告した。
若き皇帝は私の学生時代の親友でもあり、気安い間柄だ。
「うーん。難しいね。守りの指輪を王家の血を引く娘が持っていることを知られたくないなー。」
「その場にいた兵士には箝口令を敷きました。」
「ねー、ユーリーが一目惚れをしたって事にして、その子がどんな子なのか探ってよ。」
「一目惚れはと言うにはあまりにも・・・」
「えっ。傾国の美姫の娘だよ。」
「さあ?とにかく髪も梳いておらず、薄汚れたワンピースを着ておりました。何よりも栄養不良で発育が遅れておりまして、とても18才には・・・。」
「いいんじゃない。庇護欲を掻き立てられた事にしておいてよ。それ以外に君の家に彼女を滞在させる理由が無いよ。」
「それしか方法が無いなら、しょうがないですが・・・。」
「頼むよ。守りの指輪の事は秘密のままでは、どうしてルビーヌの娘を殺さないんだって疑問を口にする者が出てくる。君が一目惚れして連れ帰ったってのが一番自然だよね。長期間滞在させる理由としては花嫁修行か。」
「どうにもならない場合は?」
「結婚かな?」
仏頂面をしている自覚はあるが、了承の意思を伝え退出した。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
5,274
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる