薄幸の少女は鬼の花嫁となる (旧題)【R18】薄幸の少女は夜叉との淫靡な夢に溺れる

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藪元家の顛末

俯瞰視点


村で一つしか無い駐在所で、男性三人と女性一人、警官一人の計四人が傷だらけの状態で発見された。
男三人と女性一人は頭部に大きな傷があり、何ヵ所もの骨を折る重傷。

ーーー不思議な事件。
どうみても、人の仕業だとは思えなかった。

その場にいた警官は 大きな怪我は無く、駆けつけた他の警官にその場で起きたことを怯えながら話した。

そうやって明らかになった事は直ぐに村長に伝えられた。
地元の名士である藪元直哉の妻と娘が関わっている事件であり、夜叉堂の鬼や妖怪も関わっていたからだ。

事件の内容を聞いて村長である三堂敬介は頭を抱えた。

キヨが話した事件の内容は酷かった。

藪元家の当主の妻キヨは玉の輿を狙い、藪元家の後妻に入る計画を立てた。そして夜叉堂の世話役となる前妻の子供が大きくなった時期をみて、前妻の殺害を無頼漢に依頼し前妻は殺された。
その後キヨは後妻として藪元家に入ると前妻の子供である蓮華を虐待。
夜叉堂の世話も全て蓮華に押し付けた挙げ句、男に襲わせ蓮華の縁談を実の子である牡丹へと回した。
そして、自分の孫が夜叉堂の世話役を背負わされたら可哀想だと考えて、夜叉堂の世話役となるべく子供を産ませるため、蓮華の誘拐と強姦を同じ無頼漢の男に依頼した。

その全てが大きな罪だ。

そうやって利用され、虐げられてきた蓮華はある日忽然と姿を消した。

その後、村に一つ目小僧が現れて村の男たちが捕縛し駐在所に連れて行ったところ、蓮華が夜叉堂の鬼と共に現れ、駐在所にいた人間を襲った。

鬼と蓮華は仲睦まじい様子だったという。

この話の内容を聞く限り蓮華と妖怪たちは激しく人間を恨んでいるのだろう。
その怒りがもう鎮まったとは考えにくい。

そして、村長は地元の男達を集めた。

「それは、藪元家の責任だろ!!」
「藪元家のゴタゴタに巻き込まれるのはご免だっ!何とか鬼の怒りを鎮めないと。」
「そのせいで村人が危険な目に合うのは困る!家には小さい娘も居るんだ。」
「キヨを警察に突き出したところで鬼の怒りは収まらないだろう。蓮華の怨みは相当強いんじゃないのか?」


村の男達との話し合いは紛糾し、……そして村長は一つの決断を下した。


~~~~~


藪元直哉は久しぶりに自宅のある村へと足を踏み入れた。

直哉にとっては忌々しい、夜叉堂のある土地。

妻の起こした事件のせいで、明日は警察署に行くことになっていた。

「おい。帰ったぞ!誰か居ないのか?牡丹っ!?」

返事が無く人気の無い屋敷。
室内は酷く散らかっていた。

屋敷の状態を訝しく思っていると、村長が訪ねてきた。

「牡丹様は我が家に避難しております。ご案内いたしましょう。」

「ああ、世話になったな。案内を頼む。」

村長は愛想笑いを浮かべると、藪元直哉を自宅へと案内した。


~~~~


精神病者を、この村では「気狂い」または「モノ憑き」と呼んでいた。
その人たちを私宅監置するための座敷牢、そこにキヨと牡丹は閉じ込められていた。

包帯を全身のあちこちに巻いて、動けないキヨを牡丹が看病していた。髪も服も乱れ、年頃の娘とは思えないほどに窶れた姿。

「牡丹………か?」

何年もあっていない娘。
自信が無くて、そう尋ねた。
直哉に気付いた牡丹が檻の柵を掴んで激しく揺さぶった。

「お父さんっ!!何とかしてよっ!村人たちにここに閉じ込められたのっ!!私たちを生け贄にするって言うのよっ!狂ってるわっ!!」

「三堂さん、これはどういう事だ?」

その時、隠れていた村の青年たちが姿を現した。

「夜叉堂の鬼の封印を解いた事は藪元家に責任がある。鬼の怒りを鎮めるため、お前達には生け贄になってもらう。」

「な、何を馬鹿なっ!直ぐに警官が探しにくるぞっ!!」

「警官が探しにきても無駄だ。藪元の人間は夜逃げしたと近所の者が証言するだろう。村人がお前たちの本当の居場所を警官に言うことは無い。もう村で決まったことだ。これは村人の総意だ。」

「や、止めてくれっ!!………わあああああああ!!!!」

そして、

藪元家の人間は姿を消した。

次の年、村には新しい夜叉堂が建立された。
前の建物の倍近くある新しい夜叉堂は、竹藪に不似合いなほどの豪華な装飾が施されていた。


その夜叉堂の下には三人の人柱が今も埋まっている。


ーー(完)ーー


拙い文章のこのお話を最後まで読んでくださった方へ。
本当にありがとうございました。
お気に入りやしおりがとても励みになりました。
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