14 / 15
妖怪たちのお正月(番外編)
しおりを挟む
新しい夜叉堂が建立されてから、供物が増え妖怪たちの食生活は豊かになった。
妖怪たちは食べなくても生きていける。
しかし、二口女である風花さんと餓鬼たちは大食漢だし、油なめは油が大好き。
供物は妖怪たちの楽しみの一つだ。
☆
「ねぇ、一夜さん。新年の宴会料理は私が用意してもいい?」
「うん?いいが……大変ではないのか?」
「大丈夫よ。みんなに少しでも美味しいものを食べて貰いたいの。」
お正月には供物が増えて、妖怪達の宴会も大いに盛り上がる。
妖怪達は供物をそのまま机に並べてしまうので、私は宴会らしく皿に盛り付けたり、調理出来る物は調理しようと厨房で作業していた。
果物は皮を剥いて食べやすい大きさに切ってお皿に並べる。
野菜は煮物にしたり、卵で伊達巻きを作ったり……。魚は刺身にして、一部は昆布に巻いて酢漬けにした。人間界とは違うけれど、それなりに宴会出来そうな品数が揃った。
「あら、お餅もあるわ。これはお雑煮ね。」
お雑煮用のお吸い物を作り、お餅を網で焼く。
焼いている間にかき餅を油で揚げて塩を振る。これは疾風ちゃんと雨象くんのおやつになるだろう。
みんなのために料理を作るのは楽しくて……。
張り切って調理していると匂いに釣られて、妖怪達が厨房に集まってきたみたい。
「……ん?」
視線を感じて振り替えると、ガサゴソ音が聞こえる。きっと隠れたのだろう。
妖怪たちは好奇心旺盛で覗き見が大好き。
あっ!簪がチラッと見えた。きっと風花さんだ。
カランコロン音もする。これは雨象くんかな?
何回も入り口を振り返りながら料理を作った。
「蓮華さまぁー。僕、お皿並べ終わったよ。」
疾風くんが頼んでおいたお手伝いを終えて厨房へと戻ってきた。
「ありがとう。」
疾風くんだけは、真面目にお手伝いしてくれるので、出来たばかりのかき餅を一つ掌に乗せてあげた。
「疾風くん、味見してみて。」
疾風くんはボリボリ音を立ててかき餅を食べるとパッと嬉しそうに笑った。
「蓮華さま、これ美味しいねぇ。ありがとう。」
はぁーーーー、疾風くんは私の癒し。本当にかわいらしい。
疾風くんがかき餅を貰ったのを影から見ていた妖怪たちが厨房へと入ってきた。
「蓮華様、我らもお手伝いすることは無いですかな?」
宗玄さんも覗いていたらしい。
妖怪たちを代表するように宗玄さんがお手伝いを申し出てくれた。
「ひっく、蓮華さま、ひっく、私たちもお手伝いしますよ。」
どこかでお酒を盗み飲みしていたのか、汐織さんの首は既に縺れている。
「では、出来た料理を運んでください。」
ぞろぞろと入ってきた妖怪たちにお皿を渡して運んで貰うようお願いした。
☆
「蓮華、皿はもういいぞ。」
一夜さんが厨房に来てそう言うと、妖怪たちがびっくりして慌てだした。意味もなく皆が厨房内を右往左往して狼狽えている。
ん?怪しいな……。
「??……今、料理を運んで貰ってるの。」
「ん?宴会場には皿ばかりが運ばれて来ておるぞ?」
ん?
まさかーー
「宗玄さん、みんな味見しないで運んでますか?」
「……はは……。皆、お腹が空いていたようですな……。」
急いで宴会場に行くと、私が盛り付けた筈の料理は既に無くて、空のお皿だけが机に並べられていた。
もーーーーっ!!
妖怪たちは食べなくても生きていける。
しかし、二口女である風花さんと餓鬼たちは大食漢だし、油なめは油が大好き。
供物は妖怪たちの楽しみの一つだ。
☆
「ねぇ、一夜さん。新年の宴会料理は私が用意してもいい?」
「うん?いいが……大変ではないのか?」
「大丈夫よ。みんなに少しでも美味しいものを食べて貰いたいの。」
お正月には供物が増えて、妖怪達の宴会も大いに盛り上がる。
妖怪達は供物をそのまま机に並べてしまうので、私は宴会らしく皿に盛り付けたり、調理出来る物は調理しようと厨房で作業していた。
果物は皮を剥いて食べやすい大きさに切ってお皿に並べる。
野菜は煮物にしたり、卵で伊達巻きを作ったり……。魚は刺身にして、一部は昆布に巻いて酢漬けにした。人間界とは違うけれど、それなりに宴会出来そうな品数が揃った。
「あら、お餅もあるわ。これはお雑煮ね。」
お雑煮用のお吸い物を作り、お餅を網で焼く。
焼いている間にかき餅を油で揚げて塩を振る。これは疾風ちゃんと雨象くんのおやつになるだろう。
みんなのために料理を作るのは楽しくて……。
張り切って調理していると匂いに釣られて、妖怪達が厨房に集まってきたみたい。
「……ん?」
視線を感じて振り替えると、ガサゴソ音が聞こえる。きっと隠れたのだろう。
妖怪たちは好奇心旺盛で覗き見が大好き。
あっ!簪がチラッと見えた。きっと風花さんだ。
カランコロン音もする。これは雨象くんかな?
何回も入り口を振り返りながら料理を作った。
「蓮華さまぁー。僕、お皿並べ終わったよ。」
疾風くんが頼んでおいたお手伝いを終えて厨房へと戻ってきた。
「ありがとう。」
疾風くんだけは、真面目にお手伝いしてくれるので、出来たばかりのかき餅を一つ掌に乗せてあげた。
「疾風くん、味見してみて。」
疾風くんはボリボリ音を立ててかき餅を食べるとパッと嬉しそうに笑った。
「蓮華さま、これ美味しいねぇ。ありがとう。」
はぁーーーー、疾風くんは私の癒し。本当にかわいらしい。
疾風くんがかき餅を貰ったのを影から見ていた妖怪たちが厨房へと入ってきた。
「蓮華様、我らもお手伝いすることは無いですかな?」
宗玄さんも覗いていたらしい。
妖怪たちを代表するように宗玄さんがお手伝いを申し出てくれた。
「ひっく、蓮華さま、ひっく、私たちもお手伝いしますよ。」
どこかでお酒を盗み飲みしていたのか、汐織さんの首は既に縺れている。
「では、出来た料理を運んでください。」
ぞろぞろと入ってきた妖怪たちにお皿を渡して運んで貰うようお願いした。
☆
「蓮華、皿はもういいぞ。」
一夜さんが厨房に来てそう言うと、妖怪たちがびっくりして慌てだした。意味もなく皆が厨房内を右往左往して狼狽えている。
ん?怪しいな……。
「??……今、料理を運んで貰ってるの。」
「ん?宴会場には皿ばかりが運ばれて来ておるぞ?」
ん?
まさかーー
「宗玄さん、みんな味見しないで運んでますか?」
「……はは……。皆、お腹が空いていたようですな……。」
急いで宴会場に行くと、私が盛り付けた筈の料理は既に無くて、空のお皿だけが机に並べられていた。
もーーーーっ!!
31
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる