努力するのが嫌なので監禁エンドを選びましたが、そろそろ外の空気が吸いたいです【R18】

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7.殿下視点

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ーーシェイラ

 彼女を想うと胸を掻き毟られるような焦燥感に襲われる。

 彼女の事になると、俺は正常な判断が出来ない。
 狂ってるーー自分でもそう思う。

 学園で彼女に出逢った瞬間、運命だと思った。

 最初は春の陽だまりのような温かい恋心だった。
 彼女は俺だけの運命のひとだ。

 なのに

 ジャックは彼女を『俺の天使』 

 ロイは『俺の片翼』

 シリルは『俺の最愛』

 アルベールは『俺のミューズ』

 などと勝手に呼んでいる。

 どす黒い感情が心の奥底に湧き上がる。

 やがてその温かだった恋心は、ほの暗い執着へと姿を変えた。
 彼女が他の男に微笑むだけで気が狂いそうになる。
 彼女を求めるどうしようもないこの飢餓感は、彼女自身以外で埋めることが出来ない。俺は卒業と同時に彼女を強引に自分の愛妾として、後宮に召し上げた。誰にも会わせない。彼女は俺だけのものだっ。

 彼女を抱いているとどうしようもなく心が満たされて幸せだった。
 何度も何度も彼女の身体を貪り、シェイラは俺だけのものだと確認する。彼女を抱くと、そっと俺の背中に手を回してくれる。「好き」だと言ってくれる。熱の籠った目で見上げてくれる。

 そんな日々の中、俺を悩ますのは正室を娶るようにとの貴族からの圧力だった。

 俺は正室候補たちにシェイラへの寵愛を見せつけた。もし、無理矢理に婚姻を結ばせたとしても、俺は絶対にシェイラ以外と閨を共にすることは無い。だが、王宮行事ではお飾りの妃をエスコートせねばならぬだろう。俺の隣にシェイラ以外の女性が並ぶことも許せなかった。

 だから、令嬢に嫌がられるように振る舞った。
 
 俺の思惑通り、晩餐会の後、俺の不名誉な噂は貴族の間で拡がった。

『セドリク殿下は無類のサディストだ』という噂。

 そんな噂の中、まだ俺の正室を諦めない貴族がいた。ファンハーレー侯爵だ。
 侯爵は他の令嬢たちが、正室を諦め別の嫁ぎ先を探し始めたとの情報を掴んですぐに面会を申し込んできた。

 どうしても正室を座を諦められないようだ……。

「ファンハーレー侯、噂は聞いているであろう?娘の安全は保証出来んぞ?後で文句を言うなよ?」

「臣下として、王家のために身を削るのは当然です。娘にもその覚悟があるはずです。私はそのように娘を育てております。殿下のお気持ちのままで結構です。娘は正室としてお世継ぎを産むため、どんな苦難も受け入れる覚悟があります。」

「……そうか。臣下は身を削るのが当然か……。」

「はい。わたしはそのように考えております。」

 この男は野心家だ。娘も自分の出世のための道具にすぎない。娘の幸せなんて望んでいないのだろう。ほんの少し令嬢に同情を覚えた。

「ふむ。気に入った。ならば、俺にファンハーレー侯爵領のテグサ鉱山の権利を献上してくれ。王家のためだ。その代わり娘のことは俺に任せろ。」

「え?テグサ鉱山……ですか?」

「ああ。」

「侯爵、忠誠心を見せてくれ。そうすれば娘のことは任せてくれて構わない。」

 侯爵は少しの逡巡の後、大きく頷いた。

「……はい。正直テグサ鉱山の権利を失うのは痛いですが、殿下のためです。喜んで身を削りましょう。」

 侯爵は僅かの時間で、鉱山の権利の失うことより、娘が正室になることの方が利益になると判断したのだろう。

「そうか。感謝する。」

 俺がニヤリと侯爵に笑顔を向けると侯爵も微笑み返してきた。
 ふふふ。後で悔しがるこの男の顔が目に浮かぶ。

 あの気の強そうな令嬢に良い嫁ぎ先を準備してやろう。父親の道具として扱われてきた令嬢だ。せめて、愛のある家庭を築けるように。

 侯爵は娘が正室になれると思い込んだようだが、俺は別の嫁ぎ先を用意し、テグサ鉱山は持参金代わりに娘に持たせるつもりでいた。

 そしてそれ以降、俺に釣書が届くことは無くなった。





「殿下、影からの報告です。」

 ある日、執務中に王家の影から至急の報告を受けた。ジャック、ロイ、シリル、アルベールがシェイラの救出作戦を立てていると……。

「シェイラが虐待されていると誤解してると?」

「はい。ご令嬢の噂話を聞いてシェイラ様が無理矢理監禁されていると誤解しているようです。」

「そうか……。」

 自分でそういう噂がでるよう仕向けたのだから仕方がない。けれど、彼らがお互いに協力して救出に動くとは予想外だった。

 俺はシェイラを愛妾にするつもりなど無い。正室にしようと思っていたのだ。

 けれど、俺が何度プロポーズしてもシェイラは「監禁エンドの方が楽そう。」などと、訳の分からない事をぶつぶつ呟いて断わるのだ。
 俺の妃はシェイラじゃないと耐えらないのに、彼女に妃の座は魅力的では無いようだった。
 彼女はお妃教育を「面倒そうね。」などと言って話すら聞かない……。

 強引に彼女を後宮に召し上げた日、彼女は「これが監禁ね。これで楽チンニート生活」と意味不明な事を言って喜んだ。

「そんな誤解があるなら早々に解かねばなるまい。シェイラが望んで俺のそばにいるということを、彼らに知らしめよう。」

 そうして俺は彼らの具体的な計画を知るために情報を集めるよう指示をだした。
    
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