魔力なしの私と魔術師を目指した少年

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小話(ハムちゃん視点)

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小さな生物の姿をしているが僕は精霊。
凄い力をもっている(えっへん)

残念ながら下位精霊の僕は、質の悪い魔力の前では居心地が悪い。

ある日魔力が無くて傍に居ると居心地の良い女の子を見つけた。
この子にくっついていると気持ちがいいんだ。
女の子は僕の事を
「もふもふきもちー」
と言いながら指先でこちょこちょしてくる。
結構これが気持ち良い。
もっと撫でたいか?
女の子が撫でやすいよう彼女の傍に行って寝そべってみる。
「かわいー。」
女の子は少し興奮してますます僕の身体を撫で回す。

うおーー!そこは、…あっ…だめっ……。
精霊のそこは…ちょっと……

我慢してやるか……。

嬉しそうだし……。

その女の子はディアナと言って、いつも同じ屋敷に住む高慢ちきなおばさんと同じ顔だけど意地の悪い少女に虐められていた。

★★


ある日ディアナが今までで一番辛そうに泣いていた。
声を押し殺して鳴く彼女に何かしてあげたくなった。
本来精霊は人間のために何かすることは無いんだけど……。
精霊の力を使ってディアナの記憶を見ると、切れ長の目に黒髪の少年が遠くへ行くことが分かった。
僕が手紙を運んであげるぜ!
ディアナに手紙を運ぶことをゼスチャーで伝えた。

「大きいわね。もう少し小さくしないと……。」

…………ディアナ?

僕、もうちょっと力持ちだよ?そのサイズなら2つは余裕だよ?

「これでよし。重くない?」

………。

ディアナは僕は力が無いと思い込んでいて、小さな手紙を僕に巻いてくれた。

★★★

精霊の力でディアナが好きな少年の居場所を探り、手紙を運んだ。
おっ、こいつ魔力の質がいい!
ディアナは見る目があるな。

ディアナのすきなヤツはバルドルという名前らしい。

「ありがとう。疲れたろ?これ食べるか?」

バルドルが差し出したのはキャベツの芯。
……こいつ、侮れない。
一発で僕の好物を当ててきたぞ。

甘い……この歯応えが……なんとも……。

「…………は………なのか?」

ん?
今バルドルはなんて喋った?

キャベツに夢中の僕に話し掛けても聞いてないよーー。

「ディアナは元気なのか?」

そんな事は僕は知らないよ。
それより今はキャベツが美味しいんだ。

「もっと食べるか?」

……遠慮なく……。

バルドルは手紙を書いて俺の身体に括りつけた。
帰り道に食べる分もくれた。
バルドル、いいやつ。

「頼む。」

任せとけ!相棒。

ーー僕は来た道を引き返した。

    
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