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第二
月下草
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次の日、僕は温室にいた。少し前からこの温室の手入れを僕がしているからだ。
心地が良くて気に入っているという話をしたらミナホ様が「なら、温室に管理をしてみるか?」と言って下さり、それからは僕が管理をしている。
色とりどりの温室は僕の癒しの場所のひとつになっている。
「おはよぉ。今日も綺麗に咲いてるね」
キラキラと輝いて見える花々にそうやって話しかけて水やりをする。太陽光に反射した水滴は輝いて花をさらに際立たせる。
「ふふ。今日も綺麗だね」
花に話しかけながら水やりを進めると、一部に花が萎れているのを見つけてしまった。
「あれ...?この花、まだ咲いてる時期だけど...」
まだ開花時期であるはず花を見ながら僕はそっと触れてみた。
明らかに元気はなくその姿に僕も眉を下げてしまう。
花にもそれぞれ個性があるし、早く枯れてしまうのも仕方ないと思うがそれでも昨日まで綺麗に咲いていたのを思い出すと少しだけ寂しい...
「ユマ様」
しょんぼりしているとふいに声をかけられた。声の方をむくとそこにはガオン様が、音質の入口でにっこりと笑っていた。
昨日とは打って代わりきちんとした身なりをしており、その姿は余計にミナホ様にそっくりだった。
「こんにちわ。昨日は失礼しました」
「あ、こんにちわ!」
にこやかなミナホ様のお顔...ガオン様は温室の中をキョロキョロしながら「懐かしいな」と言葉を漏らす。
「あの、昨日はご挨拶もせず申し訳ございません...」
そういえば挨拶もしてなかったと思い再び頭を下げようとしたが、すぐにそれはガオン様に止められる。
「ふふ、あなたのことはよく知っております。私の可愛い弟の姫君だ。ミナホが昔から繰り返し話していましたし、昨日の様子を見てミナホの言った通りだと思いましたよ」
「え...?」
昔からという言葉に首を傾げると優しい微笑みを崩さず小さく頷く。
「ユマ様も未来視についてはご存知なのでしょう?ミナホは幼い頃よりその話をしてました。自分の将来について。悲観なく。なので私も知っているのです」
にこやかに話すガオン様にふと疑問が浮かんだ。
「あの...つかぬ事をお伺いしますが、ガオン様なぜ王位を...その...」
そこまで聞いてやってしまった後悔した。王位を捨てるということだ。並々ならぬ理由があったに違いない...
「あぁ、ミナホから聞きませんでしたか?私は精霊が見えないのですよ」
ずっと...笑顔でそう話すガオン様の言葉に驚いた。
精霊の国は精霊と人間が共存する国だ。ただ、精霊は王族や、一部の貴族たちしか視認できず、力を借りた強力な魔力は使えないと花の国で習った...
王族はその魔力に関係なく見えるものだと...それだけ特別なのだろうと勝手に思っていたが...
「あはは!気にしないでください。元々王位に興味などなかったので。私などよりが持つよりミナホの方が王の器です」
その優しい笑顔が少しだけ寂しそうに見えた。
「本来の役目を放り投げ、ミナホに押し付けてしまったのは申し訳なく思っているんです。...ですが、昨日のミナホの様子に安心しましたよ」
良かったと笑うガオン様にミナホ様のことを本当に思っているのを感じて胸が熱くなった...だから、僕もガオン様にミナホ様がどれだけ素敵かお伝えしようと思った。
「ミナホ様はとても素敵な方です!」
だが出てきた賞賛の声はなんとも語彙の無い言葉で...それを聞いガオン様は一瞬驚いたような呆れたような顔をした。
だが、すぐに声を上げて笑った。
「えぇ。私の弟とてもいい男です。そして、そのいい男と心を交わしたあなたも素敵な方ですよ」
すぐにあの笑顔になってそういうガオン様に少しだけ胸を撫で下ろした。
「それで、その素敵な方へ...少々相談と申しますか...お伺いしたいことがございます」
さっきまで爆笑という笑顔から真剣な眼差しになったガオン様にビクッと肩が揺れた。なんとも...掴めない人だと思った...
「な、なんでしょう...」
「旅の途中、ある噂を聞きました。花の国の王族が持つ、誕生花。その誕生花は特別であり、各誕生花によって王族一人一人には特別な能力があると...」
悪いことも隠し事もしていないが、何故だろう...ガオン様の言葉一つ一つに心臓が大きくなり、不安という血液が体内で暴れている気がした...
「あなた様の誕生花は月下草。その花の蜜をコップ一杯飲めば永遠の命が手に入る...そんな花を誕生花を持つあなたの能力は...いかがのものですか...?」
萎れた花が風に揺れた...
心地が良くて気に入っているという話をしたらミナホ様が「なら、温室に管理をしてみるか?」と言って下さり、それからは僕が管理をしている。
色とりどりの温室は僕の癒しの場所のひとつになっている。
「おはよぉ。今日も綺麗に咲いてるね」
キラキラと輝いて見える花々にそうやって話しかけて水やりをする。太陽光に反射した水滴は輝いて花をさらに際立たせる。
「ふふ。今日も綺麗だね」
花に話しかけながら水やりを進めると、一部に花が萎れているのを見つけてしまった。
「あれ...?この花、まだ咲いてる時期だけど...」
まだ開花時期であるはず花を見ながら僕はそっと触れてみた。
明らかに元気はなくその姿に僕も眉を下げてしまう。
花にもそれぞれ個性があるし、早く枯れてしまうのも仕方ないと思うがそれでも昨日まで綺麗に咲いていたのを思い出すと少しだけ寂しい...
「ユマ様」
しょんぼりしているとふいに声をかけられた。声の方をむくとそこにはガオン様が、音質の入口でにっこりと笑っていた。
昨日とは打って代わりきちんとした身なりをしており、その姿は余計にミナホ様にそっくりだった。
「こんにちわ。昨日は失礼しました」
「あ、こんにちわ!」
にこやかなミナホ様のお顔...ガオン様は温室の中をキョロキョロしながら「懐かしいな」と言葉を漏らす。
「あの、昨日はご挨拶もせず申し訳ございません...」
そういえば挨拶もしてなかったと思い再び頭を下げようとしたが、すぐにそれはガオン様に止められる。
「ふふ、あなたのことはよく知っております。私の可愛い弟の姫君だ。ミナホが昔から繰り返し話していましたし、昨日の様子を見てミナホの言った通りだと思いましたよ」
「え...?」
昔からという言葉に首を傾げると優しい微笑みを崩さず小さく頷く。
「ユマ様も未来視についてはご存知なのでしょう?ミナホは幼い頃よりその話をしてました。自分の将来について。悲観なく。なので私も知っているのです」
にこやかに話すガオン様にふと疑問が浮かんだ。
「あの...つかぬ事をお伺いしますが、ガオン様なぜ王位を...その...」
そこまで聞いてやってしまった後悔した。王位を捨てるということだ。並々ならぬ理由があったに違いない...
「あぁ、ミナホから聞きませんでしたか?私は精霊が見えないのですよ」
ずっと...笑顔でそう話すガオン様の言葉に驚いた。
精霊の国は精霊と人間が共存する国だ。ただ、精霊は王族や、一部の貴族たちしか視認できず、力を借りた強力な魔力は使えないと花の国で習った...
王族はその魔力に関係なく見えるものだと...それだけ特別なのだろうと勝手に思っていたが...
「あはは!気にしないでください。元々王位に興味などなかったので。私などよりが持つよりミナホの方が王の器です」
その優しい笑顔が少しだけ寂しそうに見えた。
「本来の役目を放り投げ、ミナホに押し付けてしまったのは申し訳なく思っているんです。...ですが、昨日のミナホの様子に安心しましたよ」
良かったと笑うガオン様にミナホ様のことを本当に思っているのを感じて胸が熱くなった...だから、僕もガオン様にミナホ様がどれだけ素敵かお伝えしようと思った。
「ミナホ様はとても素敵な方です!」
だが出てきた賞賛の声はなんとも語彙の無い言葉で...それを聞いガオン様は一瞬驚いたような呆れたような顔をした。
だが、すぐに声を上げて笑った。
「えぇ。私の弟とてもいい男です。そして、そのいい男と心を交わしたあなたも素敵な方ですよ」
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「な、なんでしょう...」
「旅の途中、ある噂を聞きました。花の国の王族が持つ、誕生花。その誕生花は特別であり、各誕生花によって王族一人一人には特別な能力があると...」
悪いことも隠し事もしていないが、何故だろう...ガオン様の言葉一つ一つに心臓が大きくなり、不安という血液が体内で暴れている気がした...
「あなた様の誕生花は月下草。その花の蜜をコップ一杯飲めば永遠の命が手に入る...そんな花を誕生花を持つあなたの能力は...いかがのものですか...?」
萎れた花が風に揺れた...
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