異種の魔道具使い《ゼノマジックアティライザー》

一ノ瀬 レン

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第一章 縛者の跳躍《スプリング・オブ・バインダー》

25 閑話 手紙

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窓から差し込む日の光のまぶしさに目を覚まし、体を起こす。
目に映るのはボロボロの寝室。
掃除はしているため埃はほとんど無いが、壊れかけた壁や床を直す技術は持ち合わせていない。

視線を左側に向ける。
だが、其処には何も無い。いや、いない。
一年前まではずっと傍にあったぬくもりをどこか探してしまう。
メルはそんな自分に気づいて、ため息を吐く。

メルは期待しているのだ。
いつかカイが戻ってきて自分の隣で寝てるのではないかと。
夜にひょっこりと帰って来るのではないかと。

メルはカイがいなくなったあの日からそんな希望を何回も抱いた。
だが、いまだに音沙汰は一切無い。

「カイ…………」


カイがいなくなってから一年。
メルはいまだにカイの生還を諦めきれていなかった。



************************



メルはいつも通り朝食を食べ、日課となっている掃除、洗濯を行う。
一通り終えると、魔力操作の訓練そして弓の練習、更には走り込みなどの基礎体力を上げる尾トレーニングをする。
これは以前からカイに隠れて行っていたことだ。
カイに守られるだけの存在は嫌だったメルはこっそりと自分に出来ることをやっていたのだ。
最近の特訓の成果で魔法は無詠唱で放てるようになり、弓はほぼ百発百中で対象物に当てられる。

午前中は訓練に費やし、午後は依頼を受けに冒険者ギルドへと行く。
冒険者ギルドへ行く時間になるとひとりの女性が現れる。
王国第二王女マリア・リトリアルの近衛兵であるリメル・トモネルだ。
第二王女の指示でメルの護衛を担当している。
彼女のお陰で冒険者ギルドでは絡まれることもなく安心していけるようになったのだ。

「今日もよろしくお願いします」

リネルはメルの言葉に頷くだけで言葉は発さない。
ただ、それはいつものことなのでメルが気にすることは無い。
彼女はメルがスブラスト孤児院の者であるのにも関わらず、文句を言わず護衛をしてくれるのだ。
メルが文句を言うことは決して無い。

メルは冒険者ギルドで簡単な依頼を引き受ける。
メルは弓術師、または魔法術師という後衛職だが近接戦闘も問題なく行えるためソロで活動している。
実力は確かなものがあり、騎士隊長レベル――Cランクモンスターを単独で倒すことが出来るレベル――だ。
その実力が認められ、冒険者ランクはBという高ランク。

故にメルの実力ならばもっと高ランクの依頼を受けることは可能だ。
だが、メルはDランク以上の依頼を受けたことが無い。
それは時間がかかるからだ。

高ランクの依頼は、移動、依頼達成までの過程が長くなる。
それ故に、一度引き受けると数日は帰って来れない。
メルはそれを受け入れがたかった。

生活費を稼ぐために依頼を引き受けるのは仕方が無い。
だが、カイがいつ帰ってくるか分からない状況で数日も家を空けるわけには行かなかった。
メルはカイが帰ってくるときに備え、なるべく家にいたいのだ。

メルは引き受けたラビットフット――ジャンプ力のあるウサギのモンスター――の討伐を行うため町の外へ出る。

リネルは基本的に見守っているだけだ。
手を出すことも、アドバイスすることもほとんど無い。
ただ、守るという護衛の役割を忠実に果たすだけだ。

メルは弓を構え、200メートル先にいるラビットフットへ向け矢を放つ。
ラビットフットが迫り来る矢に気づいたときはもう遅かった。
矢はラビットフットの頭に命中し、その命を刈り取る。

「相変わらず、精度が高い………」

小声でリネルが呟くが、メルの耳に届くことは無い。
メルはラビットフットを解体しバックに詰め込む。

見つけては狩る。その作業を繰り返し、依頼受注から三十分ほどで目標討伐数の20匹を達成する。
自分で解体して食べる物を含め二十一匹のラビットフットを狩ったメルは、近くの森に入り其処になっている果実や薬草をとる。

この森は弱いモンスターが沢山いる。
高ランクの者ならば危険は無いが、初心者にとっては危ない場所だ。
初心者はこの森に近寄らず、かつ高ランクは弱いモンスターしかいないこの森ではなく別の場所に行く。
だから、薬草、果実などが手付かずの状態で残されているのだ。

メルは現れるモンスターを片っ端から刈り取り、果物・薬草を採取する。
メルはこの森でモンスターはできるだけ狩るようにしている。
自分の採取分が食い荒らされないようにするためだ。

モンスターの討伐部位、果物薬草そしてラビットフットの肉でいっぱいになった鞄を背負い町へと戻る。

冒険者ギルドの受付嬢はメルの鞄から次々と出される、モンスターの素材を換金していく。
依頼時間に対して、狩られている量が異常なのだが誰も気にした様子は無い。
なぜならばこれはいつもの事なのだ。毎日同じことが起きるともう誰も驚かなくなる。

メルは依頼達成とモンスター討伐の報酬金を貰い、駆け足で孤児院へと向かう。

メルが孤児院に帰ってくると、其処には人だかりが出来ていた。
メルはその人だかりを見て嫌そうな顔をする。
その人だかりを構成しているのは兵士だ。
ただ王が管理している兵士じゃない。貴族が私的に所有している兵士だ。

後ろから付いてきていたリネルがメルの前に出る。
右手は腰に下げられた剣の柄に伸びていた。

「どきなさい」

リネルが鋭い声を発する。
その声を聞いた兵士は左右に開く。
リネルは王国第二王女マリア・リトリアルのいわば王族の近衛兵。
地位も実力も兵士達より彼女の方が上だ。
だからこそ誰も彼女の指示に逆らわない。

リネルとメルは左右に分かれた兵士の間を通って、孤児院の前まで行く。
其処に一組の親子がいた。カイを奈落へ落とした元凶カズサとその親クズサ・バラリアンだ。

「どきなさい」

いまだに孤児院の扉の前に陣取るカズサ親子にリネルが再度忠告する。
だが、カズサ親子がどくことは無い。

「リネルよ。貴様は我々に命令する立場では無いぞ。控えてろ、私は其処のメルという少女に用がある」

「私はマリア様からメル…様に関する全ての命令権を頂いている。貴様らこそどかないと不敬罪に当たるぞ」

リネルは懐から書状を取り出すと、それをカズサ親子に見せる。
そして、剣を引き抜くとその先をカズサ親子に向ける。

「これで最後だ、其処をどけ」

「その書状が本物とは限らない、精巧に作られた偽者かもしれないだろ。故に貴様に指示される筋合いは無い、俺の邪魔をするな」

カズサも剣を抜き構える。
その場に一触即発の雰囲気が流れる。

本音を言えばメルはリネルの援護をしたい。
だがリネルと違い何の権利も地位も持たないメルが彼らに弓を向けたとなると、それもまた不敬罪にとられ彼らの思う壺になる。
だから何も出来なかった。ただ成り行きを見守るしか出来ないのだ。

「其処までです」

メル達の後方から声が響き、二人の女性が現れる。
一人は第二王女マリア・リトリアル。先ほど声を発したのは彼女である。
その横には青い髪の一人の女性がつき従っていた。
年齢はメルと同じかそれ以下、その顔は無表情で、何を考えているのかが読み取れない。

第二王女の存在に気づいたものが一斉に頭を垂れる。
下げていないのはメルだけだ。
メルは以前頭を下げるなという命令を出されたため下げていないのだ。

「バラリアン男爵は直ぐ兵を引きなさい。この孤児院への干渉は禁じたはずです」

「カズサ引くぞ」

「ッチ。お前ら引け」

カズサ親子は兵を引き連れ、その場を立ち去る。
その場に残ったのはマリア、リネル、メル、そして青い髪の女性だ。

「ありがとうございます、マリア様」

リネルが深々と頭を下げる。メルも立ったままではあるが感謝の意を込めて頭を下げる。

「頭を上げなさい、当然のことをしたまでだから」

「はい、それで王女様、何故こちらへ?」

マリアの指示に従い頭を上げたリネルは、王女に疑問を投げかける。
大体予想は付いているのだが、尋ねずにはいられなかった。

「メルと遊ぶため」

淡々と告げるマリアを見て、頭を抱えるリネル。

「王女様、まだ執務が残っているはずでしょう?それに此処へ来ることはなるべく避けるようにといわれたはずでは?」

「うん。執務は終わらせた、それに此処へ来るのは二日に一回となるべく避けてる」

何故沢山あったはずの執務が終わらせられるのか、そしてなるべくの使い方が間違っているのではないかと突っ込みたい気持ちになるリネルだったか、第二王女相手に突っ込むわけにも行かない。
自分では分が悪いと考えたリネルは隣にいた蒼い髪の女性に協力を申し出る。

「コルア様。コルア様からもマリア王女様に言ってください!!」

「特に言うことはありません。マリア様は執務をそのハイスペックな頭で終わらせていますので」

コルアは抑揚の無い声で淡々と告げる。
メルは初めて会う人だったが、その独特なしゃべり方に少しばかりの違和感を覚える。
マリアは、コルアをメルに紹介して無いことに気づき、改めて紹介する。

「メル、王族専属補助秘書長のコルアよ。とても優秀なの」

「お初目にかかります、王族専属補助秘書長のコルアです。肩書きは立派ですがやってることは雑務です」

「こんな事言ってるけど、実際は王族の次に偉いからね。動き回っていて王城に顔を出すことはほとんど無いから知らない人も多いけど。それよりメル中に入ろう」

「う、うん」

メルは四人を中に招き入れる。
中に入るたび、カイが出迎えてくれはしないかと期待するが、今日もまたその期待は外れてしまう。

「コルア様はどうしてこちらに?」

リネルは後ろを歩くコルアに尋ねる。
マリアが此処を訪れるときはたいてい一人だ。
だが、今日はコルアが付いてきた。その理由が気になったのだ。

「今日はマリア様にわがまま言って同行をお願いしました」

「珍しいですね」

リネルが驚いた表情を浮かべる。コルアは王宮では有能な者という認識である。
常に最適解をとり、王国をいい方向へ導いてくれる。
そんな彼女がわがままを言うことは無いのだが、今回は事情があった。それは――

コンコンと扉の叩く音がする。
リネルが対応すると、其処には一人の男が立っていた。
背後にある馬車があるのを見ると商人のようだ。

「リトリアル孤児院のメルさんという方に手紙と荷物です」

商人は懐から封筒と袋を取り出す。
背後から顔を覗かせたメルが、ひったくるように手紙を奪うと封を切り読む。

「内密にしてほしいのですが、その手紙この国と敵国のトメルニア王国ダスバーダ領の領主から依頼されたものなんですよ。此処まで持ってくるのに苦労しました」

目の前にいるのが王女とその近衛兵そして王族専属補助秘書長であることに気づきもせずべらべらと喋る商人。
だが、コルア以外の誰の耳にもその言葉は届いてなかった。
彼女らが注目しているのは送られてきた手紙、その内容だ。

『メルへ

  久しぶりになるのかな?元気にしてる?
  俺は元気だよ。七日前までは死にかけていたけど今は元気にしてるよ。
  わけ合って今はそちらの国とは敵国のトルメニア王国にいるんだ。
  此処から手紙を送ると半年以上かかる、ってラインが言ってたから
  この手紙が届くころには俺は冒険者になっていると思う。実は、
  仲間も出来たんだ、シュミルっていう天才だよ。
  優男で目の離せない奴だ、また紹介するね。
  
  そしてごめん。
  長い間一人にさせてゴメン。側に居てあげられなくてゴメン。
  寂しい思いさせてゴメン。辛い思いさせてゴメン。
  本来ならメルのところに顔を出さなければいけないのだけど、
  俺の個人的な事情からそれは出来そうに無いんだ。
  けれども、いつか心の整理が付いて、メルに会う決心が出来たら会いに行く。
  そのときに今は言えないことを包み隠さず話すから。 
  受け入れられるかどうかは分からないけど。そのときまで待っててください。

  僕たちの孤児院で。

                                カイより』

メルの目から自然と涙が零れ落ちる。
うれし涙だ。カイが生きていたことに対して流した涙だった。
メルにはカイの事情は分からない。だが、相当つらいことがあったはずだ。
そしてカイの身にもっと酷い何かが起きているのかもしれない。だからカイは手紙にしたのだと思う。
だとしても、メルとしては真っ先に自分に会いに来てほしかった。
どんな事情があるかなんて関係ない。メルにはどんなカイでも受け入れる自信があった。

だが、メルは今はカイの生存が知れただけでよかった。
これからの自分の生活に今まで以上の光が差したのだ。

だからこそ、これからもカイのことを待つ。

敵国であるトルメニア王国に孤児のメルがわたる手段は無い。
だからメルは待つのだ。


カイが再び来るその日をこの孤児院で―――



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