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しおりを挟む「話にキリもついたので、住人の中でリーダー的存在となっている方を紹介しておきます」
「……リーダー?」
「異彩者の中では珍しく『人が好き』と断言されている方です。住人の皆さまのこともよく把握していますので、何かと力になってくれると思いますよ。それに、リツコさんの隣人となる方ですから」
ハルは「行きましょうか」と言い歩き出した。
向かった先はコンビニ。今日も客がおらず、レジカウンターに店員が一人――初めてマンションを訪れた日と同じ男性が立っている。
男は「こんちわーっす」と言い、続けて「キミは先日の!」と目を輝かせた。あたしに向かってテンション高く挨拶した店員を見て、ハルが首を傾げる。
「お二人とも、既に対面していたのですか?」
あたしが返事をする前に、店員は「そんな感じ」と軽い調子で言った。
この男に話の主導権を持っていかれ、身に覚えのない仲良し設定を作られても困る。先に「事務所の場所を訊いただけです」と付け加えておいた。
「っていうか、この店員さんがあたしの隣人ですか?」
「えぇ。彼は加我シュンスケさん、二十八歳です」
紹介を受けた店員――シュンスケが「シクヨロ!」と鬱陶しいトーンでピースサインを突き出してくる。
住人のリーダー的存在と聞いたため、もう少し年上の人間を想像していたが……こんな軽いノリの男だと分かり、一気にげんなりした。
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