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しおりを挟む「僕は……倒れた際に自分の本音を知ったつもりでいましたが、それでもまだ、正確に捉えることができていなかったようです」
「……どういうこと?」
「リツコさんに告白されたとき言葉が浮かんでこなかったのは、無意識下でAIチップの制御に抗おうとしていたからでしょう。僕は……〝妹以外の誰か〟を愛したかったのではなく、リツコさんのことを愛したかった。本当は、あなたの気持ちに応えたかったんです」
「それって――」
ハルに目を向けようとした瞬間、視界に黒い影が映り込んだ。
こちらに駆け寄ってくる足音、息づかい。
ひらひらとなびくものが白衣だと分かる距離まで近付いたところで「無事でよかった」というノブユキの声が耳に届いた。
「この歳になるとダッシュは辛いね。さぁ、帰ろう」
ノブユキがハルに向かって右腕を伸ばす。
それを遮るべく二人の間に割り込んだ。
腕を引っ込めたノブユキの眉間に皺が寄る。
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