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【容疑者1:マネージャー】
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しおりを挟むマネージャー・パスカルの証言は続く――
パスカル
「事件当日、午前9時頃――俺は1番にスタジオ入りしまして。飲み物は事前にスーパーで購入したもので、マリアの楽屋のテーブルにまとめて置きました。缶コーヒーの他にも、ペットボトルのお茶やミルクティーなど。ミルクティーはマリアの好物なんですよね」
ノア
「購入した飲み物の種類や本数、もっと詳しく教えてほしいんだけど」
パスカル
「訊かれるだろうと思い、当日と全く同じものを用意してあります」
パスカル
「ペットボトルのミルクティーが2本、水が2本、緑茶が2本、麦茶が2本。缶コーヒーはカメラマンとヘアメイクが好きだと伺い、2人のために買ったのですが。砂糖とミルクに関する好みまで分からなかったので、種類の違うコーヒーを1本ずつ用意したんです。俺は自分用に別で水を持参していましたから、ここにある分は全て、俺を除く4人で分けてもらうつもりでした」
ノア
「……2種類の缶コーヒー? 1本はマリアが持ち帰って飲んで……もう1本はどこに行ったんだ?」
エリック
「事件当日に誰かが飲んだらしいぞ。スタジオ内にある自販機横のゴミ箱から空き缶が見付かった(……と資料に記載がある)」
パスカル
「俺、自分で豆を挽くくらいコーヒーが大好きなんですよ。缶コーヒー選びにも自信がありましてね。カメラマンとヘアメイクには当日の朝、『マリアの楽屋に缶コーヒーがあるのでどうぞ』と伝えておきました」
ノア
「マリアが持ち帰った缶コーヒーと、消えた1本の缶コーヒー。消えた方のコーヒーを飲んだ人物は聞き込みをしていく中で分かるかな? なんらかの形で事件に関与してるかも」
パスカル
「俺はもう1本の行方より、コーヒー嫌いのマリアが持ち帰ったことの方が引っ掛かりますね。そのまま楽屋に置いておくよう伝えたのに」
ノア
「マネージャーさん、マリアが缶コーヒーを持ち帰ろうとしていたことを知ってたの?」
パスカル
「えぇ。あの日は急な電話対応が入ってしまって、撮影終了後1時間以上経ってからマリアの楽屋に顔を出したんです。帰り支度をしていたマリアが『パスカルのために残しておいた』とコーヒーを渡してくれました」
ノア
「でも飲まなかったんだ。毒が付着していると知っていたから……じゃないよな?」
パスカル
「違いますよ。どのみち翌日も撮影に来るわけですから、明日のために置いておけばいいと思ったんです。俺は帰宅してから自分で淹れたコーヒーを飲むつもりでしたし。俺にとっては癒しの時間なんですよね」
エリック
「当日持ち込まれた飲み物の内訳に関して、パスカルの証言に間違いはないようだ。撮影スタジオからは未開栓のペットボトルが4本、空のペットボトルが4本回収された(……と資料に記載がある)」
ノア
「思いっきり疑ってみたけど、マネージャーさんが動揺する素振りはない……か。マリアを恨んでいた人物に心当たりは?」
パスカル
「彼女に振り回されて困っていた人なら何人もいると思いますが、殺意を抱くほど恨まれていた可能性など……俺の身近では思いつきませんね。しいて言えば、マリアが気にしていたストーカー男でしょうか」
ノア
「どんなヤツなのか全然分からないの?」
パスカル
「マリアが言うには『いつも物陰から私のことを見てるオッサン』とのことでしたが、俺はそれらしき男を目撃したことがなくて。相談を受けた日から周囲に気を配り、できる限りマリアの傍にいたのですが……俺がいるときは近付いてこなかったようですね」
ノア
「相手も警戒してたってことか」
パスカル
「ただ、撮影スタジオの出入口には警備員が立っていますし、内部も警備員が巡回していますからね。無関係の人間が警備をかい潜ってスタジオに侵入し、毒物を仕込むなんて不可能でしょう。事件当日の夜、マリアがストーカー男を自宅へ招き入れたなら話は別ですが。そんなことはありえない」
エリック
「事件概要によると、マリア以外の人物が当日自宅に入った形跡はないんだよな……」
ノア
「マネージャーさんへの聞き込みはこのくらいでいいか。次の容疑者に会いに行こうぜ!」
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