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二章
筋肉質な背中
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忠頼の手が、俺の火照った体を愛撫する。その手は心なしか、先程より熱を帯びている。
忠頼の掌が、ゆっくり下へと降りていき、一番触れてほしいところに触れる。
「あ……っ」
俺は抑えきれず声を漏らした。忠頼の背中に手を回し、その筋肉質で硬い背中を、ぎゅっと抱きしめる。
忠頼の存在は、既に、しっかりと俺の心身に刻まれてしまっていた。
肌の暖かさも、触れる手の優しさも、その余裕のない声も。ふとした瞬間に、鮮烈な感触を伴って、蘇ってくる。
――体中が、ふわふわと、熱に浮かされたように熱い。
その時だった。急に、忠頼の手が俺から離れた。急に失われた熱が恋しくて、俺は切なく体を捩りながら、忠頼を見上げる。
「忠頼――?」
忠頼は俺の腰に触れながら、呟いた。
「――今日は、いいか……?」
心臓がどきりと跳ねる。
いつか、そうなるだろう、とは、思っていた。いや、正直――期待をしていなかったといえば、嘘になる。
でも、いざ、こうして真っ向から求められると、怖さと羞恥で、訳が分からなくなる。
俺が「あ」とか「う」とか言いながら口籠っていると、忠頼は静かに、重ねるように言った。
「――俺は先の戦で、役目を果たした」
「……は?」
俺が怪訝な声を出すと、忠頼は、甘えるように、俺の首元に顔を埋めた。
「――褒美が欲しい」
言い訳のような忠頼の言い分が可笑しくて、すこし気が緩む。俺は笑った。
「身分の低い物に褒美を求めるのは、武士として、どうなんだ?」
忠頼は俺の肩に頭を預けたまま、少し黙る。
「――今、ここには身分などない。それに――」
忠頼の熱い指先が、俺の頬を撫でる。
「俺の欲しいものは、お前しか持っていないのだ」
ぐっと、俺は胸に溢れそうな何かを感じて、息が詰まった。俺は耐えられなくなって、忠頼の肩を起こすと、己の身体から引き離した。
熱く濡れた忠頼の目が怪訝そうに、そして少し不安そうに、此方を見ている。その率直な欲求の色に、胸がまた締め付けられ、俺は堪らず、小さく呻いた。
「わ――わかったよ」
忠頼の掌が、ゆっくり下へと降りていき、一番触れてほしいところに触れる。
「あ……っ」
俺は抑えきれず声を漏らした。忠頼の背中に手を回し、その筋肉質で硬い背中を、ぎゅっと抱きしめる。
忠頼の存在は、既に、しっかりと俺の心身に刻まれてしまっていた。
肌の暖かさも、触れる手の優しさも、その余裕のない声も。ふとした瞬間に、鮮烈な感触を伴って、蘇ってくる。
――体中が、ふわふわと、熱に浮かされたように熱い。
その時だった。急に、忠頼の手が俺から離れた。急に失われた熱が恋しくて、俺は切なく体を捩りながら、忠頼を見上げる。
「忠頼――?」
忠頼は俺の腰に触れながら、呟いた。
「――今日は、いいか……?」
心臓がどきりと跳ねる。
いつか、そうなるだろう、とは、思っていた。いや、正直――期待をしていなかったといえば、嘘になる。
でも、いざ、こうして真っ向から求められると、怖さと羞恥で、訳が分からなくなる。
俺が「あ」とか「う」とか言いながら口籠っていると、忠頼は静かに、重ねるように言った。
「――俺は先の戦で、役目を果たした」
「……は?」
俺が怪訝な声を出すと、忠頼は、甘えるように、俺の首元に顔を埋めた。
「――褒美が欲しい」
言い訳のような忠頼の言い分が可笑しくて、すこし気が緩む。俺は笑った。
「身分の低い物に褒美を求めるのは、武士として、どうなんだ?」
忠頼は俺の肩に頭を預けたまま、少し黙る。
「――今、ここには身分などない。それに――」
忠頼の熱い指先が、俺の頬を撫でる。
「俺の欲しいものは、お前しか持っていないのだ」
ぐっと、俺は胸に溢れそうな何かを感じて、息が詰まった。俺は耐えられなくなって、忠頼の肩を起こすと、己の身体から引き離した。
熱く濡れた忠頼の目が怪訝そうに、そして少し不安そうに、此方を見ている。その率直な欲求の色に、胸がまた締め付けられ、俺は堪らず、小さく呻いた。
「わ――わかったよ」
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