色呆リベロと毒舌レフティ

雪銀かいと@コミックシーモア連載中

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第三章 運命の決闘《デート》@練習試合

21話

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       21

 二十分の二本目が始まった。キック・オフのボールを少しドリブルした佐々は、相手7番の接近を見て、くるりと反転。後ろで呼んでいた35番に落とし、猛然と上がり始める。
 佐々は、ディフェンス・ラインまで到達した。集中で澄んだ顔付きのあおいちゃんが付いく。佐々の背中に右手を置いて、わずかな距離を取っている。
 チェックを受けた35番は、フォローに来ていたボランチの45番にパス。トラップした45番は、左足を振り被る。と同時に佐々が走り出した。
 しかしあおいちゃんは、素早く首を振って周りを確認した。キックの瞬間、すっと前に出る。
 ピーッ! と高らかに、笛が鳴った。佐々、完全にオフサイド(敵最後尾選手の後ろでパスを受ける反則)である。
「あおいー、見事なオフサイド・トラップ(守備選手が位置を変えることでオフサイドを意図的に起こさせること)だったわよー! 敵チーム、みーんなサッカーIQ、低いんだからさー! バンバン引っ掛けていきなさい!」
 右手を口に当てた未奈ちゃんが、一点の曇りもない声色&表情で叫んだ。
 邪気を感じさせない笑みのあおいちゃんは、開き切らない右手を肩の位置まで上げた。
「未奈ちゃん。リクエストー、どんどん答えていっちゃうよー。佐々くんの動き、もうわかっちゃったしねー」
 不敵な宣言の後のフリー・キックのボールは、未奈ちゃんに渡った。ゴールからはまだ遠い位置である。
 左で止めた未奈ちゃんは、ちらりと前を見た。が、すぐに、中にいる7番に戻した。ターンした7番は逆サイドに展開。
 トラップをした右サイド・ハーフの13番は、スルー・パスを供給。14番が追うが、飛び出した五十嵐さんがボールを確保した。下手投げで俺にボールを出す。
「くれ、ホッシー!」焦ったような声の佐々が、俺に身体を向けたまま引いてきた。すぐさま俺はパスを転がす。
 佐々は右でトラップをして、左で反転。
 ただ一連の動きの全てが素人丸出しだ。案の定、すっと出てきたあおいちゃんが悠々とボールを奪取する。
 あおいちゃんは、「ミナ!」と凛々しく叫んで、やや引き気味の未奈ちゃんにパスを出した。沖原が即座に当たりに行く。
 一度、中に行く振りを入れた未奈ちゃんは、ボールを外へと持ち込んだ。沖原の足を躱して大きく蹴り出す。
 先に追い付いてボールを収めた俺は、大きくクリアをしようとする。しかし寄せて来ていた9番に当たり、敵のスロー・インとなった。
 ふうっと息を吐いた俺は、遠くにいるあおいちゃんに目を遣る。
 にしてもあおいちゃん。この前は自分の力を「そこそこ」って謙遜してたけど相当やるよね。来年以降は間違いなく中心選手だわ。
「佐々ー! お前の足元は、まだ川崎には通用せんぞー! 考えてプレーしろよー!」
 ベンチから柳沼コーチが、怒りは感じさせない大声で釘を刺した。近くでは、ちょっと前までスタメンだったフォワードが準備を始めていた。
 柳沼コーチ、動きを封じられ始めた佐々を、代えるつもりなのかね。佐々、なんとかしないといけねえよ?
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