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第三章 運命の決闘《デート》@練習試合
23話
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23
敵のコーナー・キック。ショート・コーナーのボールは、静かだが凄まじい迫力を纏う水池未奈に渡る。
「沖原ー、とりあえず、遅らせようやー」俺は、半ばパニックになりながら、沖原に指示を出した。我ながら超情けない声だった。
極限の集中状態の未奈ちゃんが、左足アウトでボールを押し出す。何のフェイントもないドリブルに、沖原は為す術もなく振り切られた。
突破後の隙を突くべく俺は素早く寄せる。だが未奈ちゃんは、ノー・ルックでイン・サイド・キック。俺のマークだった7番に落とす。
どフリーの7番は左足を鋭く振り抜いた。低い弾道のシュートがネットを揺らす。二対三。
ゴール・マウスの中でわずかに跳ねるボールを見ながら、俺は呆然と考える。
何すか、このワンサイドゲームは? 想定の外にも限度ってもんがあるでしょ。
俺はこの一ヶ月、生活のぜーんぶをサッカーに捧げてきた。努力度だけなら、竜神の全運動部員でナンバー・ワンの自信がある。
それに今回は大きいコートでのゲームだ。テクニックの比重が大きいミニゲームでの惨敗とは質が違う。このままやられたら、ヤバ過ぎるんだって。
ボールがセンターに戻り、試合再開。俺たちはゆっくりとパスを回す。だが最前列の佐々が、痛恨のトラップミス。あおいちゃんが足を伸ばし、ボランチが拾った。
「あおいー、ナイス・ディフェンス。落ち着いてる落ち着いてる」
未奈ちゃんの、大きくはないがやけによく通る声が、俺の鼓膜を揺らす。
立ち上がったあおいちゃんは、曖昧な笑顔を未奈ちゃんに向ける。
「ありがとね、未奈ちゃん。ちょっと冷静になれたよ。これ以上はやられないように頑張るわ」
遠慮がちな声色だった。あおいちゃんも、今の状態の未奈ちゃんは、初体験と見える。
ペナルティ・エリアの少し外で、沖原を抜いた未奈ちゃんと対峙する。再び、一対一。
左にフェイント。左イン。左アウト。縦への突破だ。スライディング。
しかし、未奈ちゃんは左インでボールを浮かし、ショート・バウンドをスルー・パス。追い付いた相手11番のシュートは、ぎりぎり枠を外れた。だが俺の焦燥は加速を続ける。
ちょっと待ってくれよ。今日勝てないと、俺は一生、追い付けないって。そんなの絶対に──。
「星芝ー! お前らしくないぞー! 気ぃ、詰め過ぎずに、やりたいようにやれよー!」
ベンチから、柳沼コーチの冷静な怒鳴り声がする。
やりたいようにやれ? そりゃあ光栄っすわ。でも指示がずいぶん曖昧じゃあいないかい?
俺はいったい何がしたい? 原点に立ち返ろう。そもそも俺は、未奈ちゃんを追って竜神サッカー部に入って──。
閃いた俺は、稲妻の如き早さで立ち上がり呆然としている沖原に近づいた。
「沖原。俺、未奈ちゃんの専属マークになるわ。そんでもって今の神憑り未奈ちゃんを、脳内メモリにがっつり焼き付けるよ」
返事も聞かずに、未奈ちゃんの元へと向かう。なんでか全然わからないけど、気分は最高だった。
敵のコーナー・キック。ショート・コーナーのボールは、静かだが凄まじい迫力を纏う水池未奈に渡る。
「沖原ー、とりあえず、遅らせようやー」俺は、半ばパニックになりながら、沖原に指示を出した。我ながら超情けない声だった。
極限の集中状態の未奈ちゃんが、左足アウトでボールを押し出す。何のフェイントもないドリブルに、沖原は為す術もなく振り切られた。
突破後の隙を突くべく俺は素早く寄せる。だが未奈ちゃんは、ノー・ルックでイン・サイド・キック。俺のマークだった7番に落とす。
どフリーの7番は左足を鋭く振り抜いた。低い弾道のシュートがネットを揺らす。二対三。
ゴール・マウスの中でわずかに跳ねるボールを見ながら、俺は呆然と考える。
何すか、このワンサイドゲームは? 想定の外にも限度ってもんがあるでしょ。
俺はこの一ヶ月、生活のぜーんぶをサッカーに捧げてきた。努力度だけなら、竜神の全運動部員でナンバー・ワンの自信がある。
それに今回は大きいコートでのゲームだ。テクニックの比重が大きいミニゲームでの惨敗とは質が違う。このままやられたら、ヤバ過ぎるんだって。
ボールがセンターに戻り、試合再開。俺たちはゆっくりとパスを回す。だが最前列の佐々が、痛恨のトラップミス。あおいちゃんが足を伸ばし、ボランチが拾った。
「あおいー、ナイス・ディフェンス。落ち着いてる落ち着いてる」
未奈ちゃんの、大きくはないがやけによく通る声が、俺の鼓膜を揺らす。
立ち上がったあおいちゃんは、曖昧な笑顔を未奈ちゃんに向ける。
「ありがとね、未奈ちゃん。ちょっと冷静になれたよ。これ以上はやられないように頑張るわ」
遠慮がちな声色だった。あおいちゃんも、今の状態の未奈ちゃんは、初体験と見える。
ペナルティ・エリアの少し外で、沖原を抜いた未奈ちゃんと対峙する。再び、一対一。
左にフェイント。左イン。左アウト。縦への突破だ。スライディング。
しかし、未奈ちゃんは左インでボールを浮かし、ショート・バウンドをスルー・パス。追い付いた相手11番のシュートは、ぎりぎり枠を外れた。だが俺の焦燥は加速を続ける。
ちょっと待ってくれよ。今日勝てないと、俺は一生、追い付けないって。そんなの絶対に──。
「星芝ー! お前らしくないぞー! 気ぃ、詰め過ぎずに、やりたいようにやれよー!」
ベンチから、柳沼コーチの冷静な怒鳴り声がする。
やりたいようにやれ? そりゃあ光栄っすわ。でも指示がずいぶん曖昧じゃあいないかい?
俺はいったい何がしたい? 原点に立ち返ろう。そもそも俺は、未奈ちゃんを追って竜神サッカー部に入って──。
閃いた俺は、稲妻の如き早さで立ち上がり呆然としている沖原に近づいた。
「沖原。俺、未奈ちゃんの専属マークになるわ。そんでもって今の神憑り未奈ちゃんを、脳内メモリにがっつり焼き付けるよ」
返事も聞かずに、未奈ちゃんの元へと向かう。なんでか全然わからないけど、気分は最高だった。
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