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はじまりはじまり。小さな冒険?
76、自己紹介。
しおりを挟む「さて、本題に入ろうかね」
エルネストを抱っこから解放すると、すごい勢いで私から離れて行った。
そこまで嫌わなくてもいいと思うんだ……。
どうやらみんなが集められた理由についての説明、というよりは、これからの生活についての説明だった。
王家が個人に関わるというのがあまり良くない事態のようで、でも関わらないと関係者、および被害者が口封じをされてしまう危険がある…とのことで。
(誰が口封じの対象かと…まぁ教会関連なら私やユージア、そしてエルネストだよね)
子供だから『証人』という意味では役に立ちにくいけど、捜査という部分であれば存分に役に立てる。その場に居合わせていたのだから。
でも、子供だからこそ『身を守る術がない』守れなかったから、私は親の庇護下にいても攫われてしまったのだし、ユージアだって長く囚われてしまっていた。
今はどうだろうか?相変わらず子供だけど、警備は強化されている。
でもね、この警備だってどう頑張っても一時的なもので、そう長くは続かないし、続けられない。
(そういえば……『籠』とよばれてた部屋から助けられた子達も、どうなるんだろう?あの子達だって被害者で、有力な生き証人だ。私なんかよりずっと……)
少なくとも私は公爵令嬢という立場だから、防犯という意味ではかなり安全な立場に居れる。
ユージアも、父親と再会できたのだから実家に帰ってもいいし、私の従僕としてそばにいてくれるのなら、そのどちらでも比較的安全な場所に居れる。
実家に帰る、という案は凄い勢いでユージアに拒否されてたけど。
エルネストはどうだろう?
彼は孤児で、孤児院にいたところを攫われている。
孤児院の経営は、教会の関係者が多くて、もともと国立ではあったのだけど、ほぼ教会が運営しているような状況だったそうで。
(むしろ、孤児院が国立だったということに驚きだよ。教会の施設だとばっかり思ってた)
『元いた孤児院に戻す』という選択肢を外すにしても、口封じをしたい側に、せっかく助けた子を、わざわざ送り込むような事は避けたいとのことでの、今回の処置とその説明だった。
「……その前に、自己紹介からしようか。私はこの国の守護龍と呼ばれているものだよ。本来であれば守護だけに徹して、国の政治的・宗教的なことには口は出さないんだけどね。今回に関しては……私の子も巻き込まれてしまったので、一応被害者の親と言うことで参加させてもらうよ」
青い髪の美少年が、ふわりと笑う。
王族やらエルフやら顔面偏差値がすごく高い中でも群を抜いて、端正な顔立ちをしている。
中性的な美しさで、思わず見惚れてしまう。
彼の子が私の番らしいんだよね。
……まだ生まれたてらしいけど。きっと美人さんなんだろうなぁ。
「次は私かしら?メアリローサ国の王妃で、この子たちは王子……レオンハルトとシュトレイユよ。被害者、では無いのだけど今回はあなた達にお願いをする立場として同席しています。本来であればセグシュ君やガレット公爵家の当主にも同席をして欲しかったのだけれど……彼らにはもう説明済みなので安心してね」
みんなを安心させるかのように、柔らかな笑顔を浮かべる。
父様達が同席できない理由。多分というより確実に教会関連のお仕事が山盛りなんだろうね……。
「お願いをする立場」って、何をお願いするんだろうね?
「……私か。スルーズヴァン辺境伯をしている…ハンスイェルクだ。立場としては、被害者の親及び、王国の騎士団・魔術師団の代表として同席している。正確には魔術師団の技術部門の統括する立場にいる」
魔術師団の技術部門の統括。つまりハンスイェルクは魔術師団の副師団長……魔法の技術部門のトップ。
ちなみに師団長は父様で、こちらは実働部門のトップとなる。
騎士団も同じように、実働部門…こっちはよく見かけるよね。警護したり、魔物の討伐に行ったりと、勇ましいイメージが強い部門だ。
技術部門は、戦い方の研究や武器防具の管理など、裏方の色が濃いけど大事な部門だ。
「私はセシリアです。セシリア・ハノン・ガレット3歳です。えっと……」
自己紹介って何を言えばいいんだ……。
特に紹介するような肩書は持ってないし。
今回の事件に関しても被害者ってだけなんだけど……。
「わかってるから大丈夫だよ。セシリアの隣がユージア君で、ハンスイェルク所長の息子さんだね。その隣がエルネスト君……君は孤児だと聞いているんだが、出身等は覚えているかい?」
言葉に詰まったところで、守護龍が紹介の続きをしてくれた。
エルネストは孤児だった。出身地が分かるなら、そちらに送られてしまうのだろうか?
「……両親は病死したと聞いています。少し前までは母方の親戚の家にいたのですが、魔力測定会で魔力持ちだとわかって。孤児院で学園入学まですごすために親族の家を出ました。その後すぐ……」
孤児院に入ってすぐに、攫われた……というか連れ出された、という事なんだろうね。
ただ、孤児院へ入る前までは親族と暮らしていたのなら、戻すという選択肢も……でも、無さそうな感じなんだよなぁ
親族とあまり仲が良く無いのか、もしくは、生活の質の関係か。
獣人は差別されている地域が多いから……。
「エルネスト君は4歳で測定会に出たの?」
「う…はい、とても田舎なので魔力測定会が2年に1度しかないのです」
ずいぶん遠くから……って、じゃあ王都までずっとあの奴隷運搬用の馬車で運ばれてたって事だよね。
一応雪は溶けたけど、まだ春で、夜は冬と変わらないくらい寒いのに、毛布とか何も無いままあの檻の中で……さらにだけど、もしかして飲まず食わずだった!?
まぁ、子供達は一応、人買いから見れば商品だし、死ぬような対応はしないだろうけど……。
でも、私たちが合流じゃなくて、放り込まれた以降は、ご飯貰ってなかったし……食事無しだったんだろうか。
「自己紹介はこんな感じでいいかな?じゃあ1人ずつ今後について説明していくよ。わからないことがあったら聞いてね」
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