私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
89 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

89、鈴。

しおりを挟む



「あぁそうだ、ユージア。武器って何が使える?」


登城して……つまりはおしゃれ着のまま、こっちに飛ばされちゃったわけで、3歳児の私はともかく、ユージアも武器になるようなものは持っていない。
ただ、公爵家うちを襲撃したり、フィアの攻撃を避けたりと身のこなしは良いから、武器があればそこそこの戦力にはなるかな?っていうのと、魔物と対峙してしまったときに、逃げの一手で駆け抜けるにしても、丸腰では助かるものも助からなくなっちゃうからね。


「短剣。投擲とかもできるけど……重い武器はダメかな。あ、弓はアウトね。どう頑張ってもダメだった」

「……筋力不足だな。もう少し鍛えろ」

「弓を持ち歩くと、かさばって身動き取れなくなるから、使えなくて良いんだよ!」


エルフ=弓とかレイピアなイメージでしたごめんなさい。
ユージアは短剣。投擲……暗器的な物が得意なんだろうか?
どうもこの親子は喧嘩口調が多くなるけど、ひとまずルークの言葉も一理あると思うよ?かなり華奢だもん。
筋力がつけば、今使ってる武器だってコントロール性能が上がるだろうし、頑張ってもらおうかな。


「私は杖と……コレだ」

「げ。やっぱり、バケモノ。ていうか、どこに隠し持ってたんだよそれ」


杖はさっきも握ってたからわかってたけど、剣は本当にどこから?
白銀に光る刀身の……うーんミスリルかなぁ。
レイピアと言い張るにはかなりがっちりとし過ぎた、しっかりとした剣が目の前に置かれた。

……普通に騎士団の騎士たちが使うような長剣だった。
持ち手に宝石のような石がいくつかはめられていて……あぁ、魔法の媒体としても使える仕様っぽい。
剣も使えるけど、魔法剣士?ってな感じの動きになるんだろうか?


「魔術師団の事務方でも、一応騎士団の一部だからな。剣が使えないとダメだと言われて使えるようにした」

「使えるように……ってさらっと言えちゃうのがすごいんだけど……討伐とかも可能なレベルで使えそう?」

「あぁ。使える」


にこりと涼やかな笑みで返される。
たしか、学園内での武闘大会……あ、あれだ、体育祭や運動会みたいなものよ?
あれで学園内の問答無用フル出場で、精霊魔法と棒術を組み合わせて出てた記憶があるな。
結構上位まで食い込んでたと思う。

強かったし、これは信頼できる強さなのだと思う。


「……私は一応コレ。杖ね。シシリーのなんだけど、予備サブで持ってた杖だし、セシリアいまのわたしとして魔法をちゃんと使った事がないから微妙。精霊もこの前契約…?しちゃった奴がいるから、ただ、それも制御できるか微妙なので正直、私は戦力にはならないと思う」

「ユージアが使えそうなのが確かあったはずだから、後で探しとくね」


……まぁ、問題というか足引っ張るのは、確実に私な気がするんだけどね。
ユージアは戦えなくても逃げ足だけなら、ピカイチだと思うし。


「そうだ、ね、その剣、ちょっと貸してくれる?」

「どうした?一応手入れはしてあるが……何か変なものでもあったか?」


剣は持ち手部分の両端に…柄頭か鍔に装飾があるんだけどね、どちらかに大体、小さな輪になっている場所があるんだよね。
ちょうど、根付…えっと今の人だとキーホルダーっていうのかしら?あれがぎりぎり通るような、携帯とかスマホとかにも小さな穴、あったでしょう?

……そういえば、最近のスマホには無かったかもしれない。
初期のスマホには、あったんだからね?

まぁいいや、そこに、さっきシシリーわたしの部屋から持ち出してきた、可愛い鈴のついた、青いリボンで作られている根付を取り付けてから返す。


「さっき、シシリーわたしの部屋で見つけたから、良かったら使ってね」

「これは……?シシリーが杖につけてたやつか……?」

「うん、同じやつだね」


私としては昔は普段使いに、さらっとってほどではないけどそれなりには簡単に作れて、重宝するものだったのだけど、今ではきっと高機能な古代魔道具アーティファクトとして高価で取引されてしまうかもしれない。
そういう品である。

まぁ、博物館に飾られたり、高価で取引された挙句に貴族のコレクションと化すくらいなら、使ってもらった方が嬉しい。
使ってもらうために作ってるんだからね。


「これは……って、どうしたの?」


なんか隣でユージアがにやにやと変な笑い方をしてるんだけど、それは放置でいいとして。
ルークまで変だ。
じっと剣を凝視して、頬を赤らめてる。
私の視線に気づいたのか、片手で口を隠すように、長くて艶やかな黒髪で表情を隠すように俯いてしまった。

……その表情、なんだか初々しすぎて、見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうんだけど!
2人の反応の理由が全くわからず、思わず首を傾げる私に、今にも笑い出しそうに顔を引きつらせながら、ユージアが話し始める。


「セシリア……えっと…騎士の剣の柄頭とか鍔に家紋とか宝石とかついてるのって、それぞれにちゃんとした意味と理由があるの、知ってる~?」

「え?魔法効果付与の媒体とか、有効に魔法を使う為の魔力媒体とか…えっと、保護魔法等の強化用の……他に何かあるの?」


「ぶふぉ」と激しく噴き出して、笑い転げるユージア。
いや、知らんものは知らんから。
そもそも私は魔法一筋、というか騎士なんて、絵本や御伽噺でしか知らないから、頑丈な鎧つけて剣持ってる?強いよね?くらいしか知らないからね。


「……騎士の剣は、自分の家紋もだけど、忠誠を誓う主人の紋や、自分の大事な人、守るべき人、そういうのに所以のある装飾とかを付けるんだよ…ぶ…だから、ほら……」


ぷるぷる笑いを我慢しつつ説明してくれてたけど、やっぱり我慢しきれなかったのか爆笑を始めるユージア。
一方、ルークは俯いたまま動かない。
今回はユージアに反撃しないんだな~とか思わず見てしまったのだけど。


「えっと…わかりやすく言えば『私だけの騎士になって♡』とか?あははは…まぁ、そういう意味?幼児ちびっこのくせに…積極的…?ぶ…ふっ!あ~無理!あははは」

「……戦闘中に亡くなった場合は、墓標の代わりにもするから…個人が識別出来るように文様を入れる」


そう言えばメアリローサ国では、軍部にあたる部分が『騎士団』で一括りだったから魔術師団も騎士団所属なのか。
って事は父様もだけど、ルークも騎士になるのか……魔法がメインなんだから魔術師だと思ってたよ。ルークごめん。


「えぇ……そういう意味じゃないんだけどなぁ…じゃあ、ユージアの分もあったんだけど、あげない」

「えっ!ちょうだい!くださいっ!大切にするから!」

「ん~どうしようかなぁ……ま、とりあえずルーク、その鈴に魔力を軽く通してね。リボンの色が変わればOKだよ」


俯いたまま、片手が鈴に伸ばされて、触れるか触れないかで根付の色が白く変わった。

まぁ、これ、なんで色が変わるのかわからないんだけど、個人差でカラフルに変わるんだよ。
色の法則がわかれば、それこそ魔法の相性を見る石版の改良にも使えそうなものなんだけどね。


「ありがとう。じゃ、この鈴の音を覚えておいてね。剣借りるよ~」

「あぁ……」


ちりんと、鈴を鳴らした後、剣をぎりぎり引きずらない程度に、なんとか持って移動する。
剣ってかなり重いんだよね、これを思いどおりに振り回したり、そもそも模擬でも実戦でも、素早く動きながら振り回すって、どれだけ筋力がいるんだろうね。
頑張ったんだろうなぁ。

さて、私の寝室として使っていた部屋まで持って行くついでに、寝室のチェストにしまってあるスリングショットを取り出した。
スリングショット……パチンコですね。
あ、護身用にではなくてね、研究用に使っててね、小さな力でもそこそこ飛ぶから、重宝してたんだ。

ルークの剣はベッドの上にそーっと置いたままにして、2人のいる応接のある執務室に戻る。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜
ファンタジー
この世界は「アステルシア」。 魔法と魔物、そして“従魔契約”という特殊な力が存在する世界。代々、強大な魔力と優れた従魔を持つ“英雄の血筋”。 でも、生まれたばかりの私は、そんな期待を知らず、ただ両親と兄姉の愛に包まれて育っていった。

聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました

AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」 公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。 死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった! 人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……? 「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」 こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。 一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処理中です...