私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

91、説明。

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「本人って、セシリアは公爵家の末っ子として……え?どういう事?」

「……異種族婚になる人間の番は、寿命こそ短いが『生まれ変わってくる』というのは聞いたことがあるな?」

「あるね。番が亡くなっても、その魂の番としての縁は繋がったままだから、また逢えるって」

「……輪廻転生の輪の中で、新たに生を受けるときに、それまでの記憶や経験は失うが番の縁は切れない。シシリーの場合は縁とともに記憶も失わずにここにいる、という事だ」


まぁ、ルークの説明で一応あってるかな。
あってるけど、情報不足というか、ちょっと違う感じがしたので付け足そう。


「あー……いくつか訂正して良い?」


「何か間違ってたか?」と物言いたげなルークと、ぽかんと呆気にとられたような表情で、そもそも理解が追いついていなさそうなユージア。
まぁ、そうよね、頭おかしい人か不思議ちゃん発言としか聞こえないだろうし。


「忘れずにいた、という意味では、記憶は『シシリー』だけじゃ無いんだよ。私はシシリーの死後に何度か転生をしていて……実はそれらの記憶もある。あと、シシリーは『導師』じゃ無い。まぁ資格は持ってたけど……ルークと一緒に試験受けとったものね。でもシシリーは『法師』だよ」


読んで字のごとくなんだけどさ、魔法、魔術を使う人のことを『魔術師』『魔法師』『魔導師』と色々な呼ばれ方をしてるよね。

当時はそこに階級制のようなものがあってさ『魔導師』っていうのは大学教授のようなものだったんだよ。
だから資格取得の試験があったの。
『導』っていう字が使われているあたりで、その通りだよね。

『魔法師』っていうのは、ちゃんと学校に通って、魔法の基礎をしっかり学んで魔法が使える人のことね。
だから、院卒、大卒、高卒でも、みんな『魔法師』

ちなみに今のセシリアわたしは生まれる前の記憶がなければ『魔術師』になる。
魔法のお勉強してないし。
魔力を単純に感覚だけで使ってるから。


「教鞭はとらなかったのか?」

「研究に没頭してたら、毎度、申請期限が過ぎちゃっててね……」


あはは……と、苦笑いしか出てこないわけですが、この学園、簡単に言うと日本での保育園から始まって、大学院相当までがある。
大体は、大学生あたりで就職先が見つかったり、実家に帰ったりが多いのだけれど、院生まで残る子もいれば、そのまま学生から先生に転向する子も出てくる。


(まぁ、大体大学付近で辞めていく子っていうのは、貴族階級の子たちで、結婚やらの家の問題だったんだけどね。魔力も知識欲も高かったのに、もったいないよね)


ちなみにだけど、両親が学園のスタッフであれば、学院内の附属の病院もあるので、生まれた時点で学園内からのスタートとなる。
そして学院内の保育園と…成長して就職で初めて学園外に出た!となる子も多かった。

シシリーわたしの場合は、魔導師の資格持ちで、尚且つ学園に残ってたわけだから、教師として働くという道もあったのですよ……。


「まぁ……そんな感じで研究が忙しくて、むしろ研究しかしてなかったのよね。そのうち王専魔法師・・になっちゃったし…だから『法師』なんだよ」

「王専って何?」


ユージアが不思議そうに首を傾げている。

大興奮だったスリングショットの出し入れは満足したのか、今は収納して、お皿に少し残っていたサンドイッチをもきゅもきゅ食べながらだけど。

メアリローサ国では聴き慣れない役職なのかな?
まぁ魔力持ち自体が貴重な世の中みたいだから、魔法イコール魔術師団に丸投げみたいな構図になってるんだろうなぁ。


「王族専門の…そうだなぁ、今で言う王族お抱えの錬金術師みたいな感じ?……研究が楽しくてね、ずっと魔導学園ここで研究してたの。それに引き換え、ルークは凄かったんだよ?今もだけど、当時の、ここにあった国の魔術師団みたいなとこのトップまで登り詰めてたんだから。今は技術専門っぽいけど、当時は実戦もこなしてて、すごいカッコ良かったんだから」

「嘘……やっぱバケモノ」


まぁ、部屋に篭りっぱなしで研究に明け暮れてたシシリーわたしと違って、ルークは歌って踊れる……じゃなくて、戦闘もできちゃう魔導師だったのですよ。

ユージアは、信じられない、という顔でルークを凝視してるけど……って、幼い顔の眉間にしっかりとシワがっ!可愛すぎる。

ルークはといえば、いつも通りの無表情……さっきまでの豊かな表情の変化はどこに行ったのやら。ちょっとくらい、照れてくれても良いのよ?


「そう?討伐隊としてよく話題に上がっててね。研究所内でもカッコいいって評判だったのよ?」

「……当時のシシリーの作った薬や道具も画期的で、王国の騎士団や魔導師団の中でもよく話題にあがっていたよ」

「やだ照れる~」


騎士団や魔導師団は国の防衛の要だからね、要求値が凄く高い。
使い勝手命、というやつです。
いざという時に使えなかったらどうしようもないもんね。
そこで好感触がもらえていたとは、名誉なことなんだよ。


「ちなみにどんなの作ってたの……」

「……催淫剤?」


ルークがにやりと意地の悪そうな笑みを浮かべて、ポツリと呟いた。
即座に、ユージアからの視線が氷点下のように下がっていくのがわかった……。


「いや、待って?!それは私じゃ無いよっ!部門は一緒だけど……ていうか王家にしか卸してない物が、どうして騎士団や魔導師団内で話題になってるのよっ!?」

「セシリア、最低……」

「えぇぇ……むしろ、ルークが最低だわ……」


思わず顔を両手で覆い、唸ってしまう。
教会での事があったから、どれだけ時間がかかるのかはわからないけど、ユージアが落ち着くまでは性的というか倒錯者だよなぁ……そういうの全般から遠ざけたいのに、何をしやがる!

そんな当のルークほんにんは気づけば、紅茶を片手に私たちの反応を見て楽しそうに笑ってる。
いつの間にやら、食事カートが新しいものと入れ替わり、紅茶とほんのりと甘い香りを漂わせた焼き菓子がテーブルに置かれていた。

……というか、ふわふわと各自の席に移動中でした。
「お茶ありがとう」と言いたいのにいえないこの状況。どうしてくれようかね。


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